ナンテン |
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ナンテン中野 武登先生 |
| 雪の朝,一面の銀世界の中で庭先を赤く彩るナンテン(南天)の果実は,ことに美しく気品のあるものです。ナンテンの名前は,漢名の南天燭,南天竹に由来しています。 ナンテンは,その名前が「難を転ずる」に通じるため,昔から厄除けの木として親しまれてきました。魔除けや災難除けの木として,庭先,玄関先や門の近くによく植えられています。 また,霊草として,食あたりなどを防ぐためにナンテンの箸を用いたり,葉を赤飯やお祝いの餅の下に敷いたりしますし,縁起の良い植物として正月の床飾り花材に用いられます。果実は一般に赤色ですが,白色や淡紫色の果実をつける品種もあります。 花は咲くのだけれど実がならないという話を良く聞きますが,これは花期が梅雨期にあたり,花が開花した時に雨が降ると,花粉が雨で流されてしまうためです。実がならない場合は,軒下などに植えてみて下さい。ナンテンは一見木のように見えますが,実際には草本です。見せかけの木なのです。 6〜7月ころに光沢のある白い花をつけます。果実は秋に赤く熟し冬を通して鑑賞できます。赤い1個の果実ですが中には一般に2個の種子が入っています。まれに1個のこともあります。 ナンテンの果実には,ナンテニンというアルカロイドが含まれていて,乾燥させた果実を漢方では南天実と呼んで咳止めに用います。また,葉は胃腸,脱肛,眼病あるいは歯の痛みをおさえる薬として使用されています。 ナンテンの果実は小鳥の餌となりますが,私が観察していますと,冬に山で餌がなくなると,先ず庭のクロガネモチ,次にピラカンサ,最後にナンテンの果実をついばむようです。 いずれも赤い果実ですが,それぞれ味が異なり,ナンテンの果実には渋味があります。小鳥も良く知っていますね。 |
| 硝子窓の外の面くれなゐの 南天に雀動きて冬の日かげる |
| 木下 利玄 |
| 深霜に 凍てて落ちたる茶の花の 小さきがあはれ 落ちたまりつつ |
| 松村 英一 |