2008年10月29日 09:15
教育懇談会を終えて
―― 親子の語らいのきっかけに
10月4日、本学で開催された広島会場を皮切りに、今年度の教育懇談会は先週末の岡山、三次、福岡会場をもって、11会場での全日程を終了しました。私は、広島会場、高松会場と岡山会場に出席いたしました。
教育懇談会の趣旨は、ご子女の本学での学習・生活について保護者の皆様と懇談し、情報を共有し、本学での学生生活をより有意義なものとすることです。開会にあたり、次のような挨拶をさせてもらいました。
「大学4年間は、平均寿命80年の5%です。長いようで短い、あるいは短いようで長い4年間です。ただ、長いと感じようが短いと感じようが、確実に言えることは、この4年間は人との出会い、知識との出会い、自立しようとする自分との出会いなど人生で重要な意味を持つ『出会い』の4年間ということです。われわれはそのような思いを持って、学生諸君とキャンパスで毎日を過ごしております。保護者の皆様とも連携を密にすることによって、この5%の時間をさらに意義ある時間とさせたいというのが今日の懇談会の目的です」と。
高松会場では徳島や高知から、また岡山会場では鳥取や兵庫からもお見えでした。私は地方会場に出席する時には近くの高等学校を訪問させてもらっておりますが、高松会場では、たまたま前日訪問した高校出身学生の保護者がおられ、学校の歴史や進路指導の先生のことなど、共通の話題がありました。また、以前訪問して校長先生とも親しくお話させていただいた高校の卒業生であるという保護者の方ともお会いできました。広島会場はキャンパスの雰囲気を知るにはよいが、地方会場はこじんまりしていて親しく懇談できるのがよいという感想をお聞きしました。また、下宿やアルバイト先のおばさんと大変仲良くやっているという話や広島工業大学とある大学とを徹底比較して本学を選んだというお話など、貴重なお話を伺うことができました。
地方会場では同窓会コーナーを設けておりますが、岡山会場では4名の同窓生が参加してくださり、就職一般や地元就職の相談にものっていただきました。三次会場でも3名が見えていただいたそうです。後輩のために半日を割いて後輩のために協力して下さる卒業生を嬉しく思うと同時に誇りに感じました。
教育懇談会には毎年忘れることのできない出会いがあります。昨年の松江会場では、「子どもは多くを話してくれないが、卒業研究がうまくいっていないようだ」という相談を受けました。事情を伺い指導の先生とも話をしたこともあって卒業研究は所定どおり終えることができました。ただ残念なことに、総単位数が足りず、半期遅れの卒業となりました。その保護者の方と9月の卒業式でお会いすることができました。半年の回り道をしましたが、卒業を嬉しく思っているとおっしゃっていました。学長日記(9月12日)で紹介した挨拶は、そんな教育懇談会のことを思い出しながら話したことでした。
広島会場では、本学学生相談室の藤巴カウンセラーから「大学生の心の理解と支援について」という講演をしてもらいました。その中で「今日ご夫婦でお越しの方は、教育懇談会が終わってもすぐ家に帰るのではなく、ご一緒にどこかでお茶を飲んで帰って下さい」という冗談めいた話がありました。「心の余裕をもって子どもと付き合う(聞き役をする)ことが肝心」という話に関連して言われた "お勧め"でした。
私自身のことを振り返ってもそうですが、大学生になると自立を目指すからでしょうか、親にあまり語らなくなります。そんなこともあって、私は教育懇談会での懇談が親子の会話のきっかけになってくれればと願っております。「今日、教育懇談会で○○先生とこんな話をしてきたよ」という電話(あるいは夕食の話かけ)が、親子の語らいのきっかけになってくれればと思っております。
11会場で479組(ご夫妻で出席の方があり「組」で数えております)の保護者の方々に参加戴きました。今回ご出席できなかった方も来年度は是非足を運んでみて下さい。 (2008年10月28日記)
2008年10月 7日 12:53
『前略
先般、お父様のご逝去に関する知らせを受けました。つらい思いをされていることと拝察いたします。今は少しは落ち着きましたでしょうか。もう1年で卒業という時に、お父様も無念のことと思います。きっと貴君の卒業を楽しみにしておられたことでしょう。今後はお母様を助け、引き続き学業に精を出すことができますよう、願っております。何かありましたら、遠慮なくチューターの先生なり学務部なりに相談してください。遅くなりましたが、一言お見舞い申し上ました。
草々
学長 茂里一紘
学生の保護者が亡くなられると、私のところに連絡があります。いつも重い気持ちになります。大学から心ばかりの弔意をお届けしておりますが、それとは別に、私は簡単なはがきを学生に送っております。上のはがきは8月に届けたものです。直接面識もない学長からのはがきで迷惑かも知れませんし、また何よりも下手な慰めの言葉で傷つけているかも知れません。
昨日も連絡通知を受けました。56歳のお父様でした。昨年10月からの1年間で9名の保護者の方々が亡くなっております。この4月からですと6人になります。思いがけず訪れる肉親の死。3年前、私も娘の死に遭遇しました。私の場合はまだ社会人でしたから、そのことで経済的基盤が変ることはありませんでした。しかし、保護者を亡くされた学生諸君にとっての変化はどんなでしょう。多くはまだ学費の支援を戴いていたのではないでしょうか。はがきを書く踏ん切りがつくのにいつも時間がかかります。今日もまだ書いておりません。
娘の子が通っている幼稚園の運動会がありました。誇らしげに整列して入場行進をする姿に、私はつい心の中で、
『見てますか。君が遺(のこ)し児(こ)が友と 赤白帽で入場するを』
と叫んでしまいました。亡くなられた保護者の方を「君」呼ばわりすることは失礼ですが、「赤白帽で入場するを」を、「ノートを囲んで討論するを」と置き換えたい思いです。亡くなられたお父様、お母様。仲間と一緒に、広島工業大学で勉強し続けている姿が天国から見えますか。(2008.10.7)
2008年10月 3日 15:19
男女共同参画講演会を実施して
本学では毎年人権講演会を開催しております。学びの場にあって人権の意識を高め、かつ現実的な課題にどのように対応したらよいか、ともに学ぶためのものです。今年は、東北大学大学院法学研究科の辻村みよ子先生をお招きして「大学における男女共同参画推進のために」と題して講演をして戴きました。
企画に当たっては、「男女共同参画がなぜ人権問題なのか」というところから議論する必要がありました。それくらい本学にとっては新しい課題でした。しかし、一方では、21世紀の技術には女性の視点と貢献が不可欠であり、10年後20年後の女性技術者の育成は本学の社会的使命であるとの認識のもと、既に「20%の女子学生確保とそのための教育」を掲げ、種々の事業を展開しております(「M20」プロジェクト)。女子学生キャリアデザインセンターはその中心的事業ですが、文部科学省の「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム」や「女子中高生の理系進路選択支援事業」も推進しております。
現在進めている事業はいずれも女子学生を中心とした取組ですが、男子学生に対する教育も劣らず重要です。というのは、将来「男女共同参画」の時代に必ずなりますが、その時、男性技術者である本学男子学生は「男女共同参画社会」に対してそれなりの理解と見識を持っている必要があるからです。そのような教育を展開するには、まずわれわれ教職員が「男女共同参画」に対する基本的理解を持たなければなりません。昨年のアドバイザリーボードでは、一定数の女性教員も必要であるとの指摘も戴いており、その対応も考える必要があります。
講演では、男女共同参画における国際比較、"クオータ(量的割り当て) "や"ポジテイブアクション(積極的改善措置)"に対する基本的理解とその導入に当たって注意すべきことなど、歯切れのいい口調で予定時間めいっぱい多くの興味深いお話をして戴きました。本学で進めている女子学生枠での学生受け入れや女子学生のためのHITスカラシップ制に対しても、指針の制定や制度的整備を行っておいたほうがよいとの指摘を戴きました。女性教員に対する「積極的措置」にあっても同様です。
この種の問題に関する講演会は本学では初めてのものでしたが、72名の教職員の参加がありました。辻村先生からは、技術系大学である本学がこのような課題に取り組むことにエールを送っていただきましたが、同時に、「近い将来、もう一度訪問し進展状況を確認したい」という宿題も戴きました。まだまだ一部の教職員が中心となって取り組んでいる状況ですが、私自身、「男女共同参画教育に力を入れている技術系大学」として社会に情報発信していくことは本学の重要な中期的課題の一つであることを改めて確信させられました。小さな実践を積み重ね、辻村先生から戴いた宿題を成し遂げたいものです。(2008.10.2)