2009年5月

「自校教育論」の講義内容

2009年5月30日 00:00

5月23日付で「自校教育論」の前半を終えた時点での感想めいたものを書きました。ある方から、「ついてはどういう内容の講義をしているのか」という問い合わせを戴きました。

本学では講義ノートをホームページで公開し学生がいつでもアクセスし、復習予習ができるようにするように取り組んでおります。私の「自校教育論」ではまだやっていないのですが、趣旨には賛同している手前、この場を借りて私の講義ノート「自校教育論」を掲載します。

とは言っても、私の講義は、PPT(パワーポイント)を使って行っております。PPTの図には説明がつきます。それがいわば私の講義ですが、ここでは図だけ並べています。40枚の図は2回(週)分です。図はやってみて少し書き換えることがあります。ここにお見せしているものが現時点で最新のものです。どうぞご覧いただき参考にしてください。

■「自校教育論」講義ノート(パワーポイント形式:2.87MB)

「自校教育論」の前半を終えて

2009年5月23日 00:00

「自校教育論」は、大学の理念や学生として学びあるいは学生生活の在り方などについて、1年生を対象に開講されている授業科目です。建学の精神や大学の歴史なども語られ、私立大学にとっては重要な科目の一つです。

私が本学の学長職に着任することになった時でしたが、慶応大学で学んだ知人から「大学はかくありたい」という1965年刊行の新書版の古い本を戴きました。どのような形で使われたかは知人も記憶しておりませんでしたが、どうも新入生全員に配布されたようです。「大学はかくありたい」、「大学における教養課程の意義」、「専門課程とは何か」、「悔いなき青春のために」、「学生の自治活動について」、「大学における課外活動」、「慶応義塾大学一世紀の歩み」、「福沢諭吉先生を理解するために」などのテーマに沿って、高村象平学長、学生部長、学部長のほか評議員の小泉信三先生が執筆しておられます。

この本を読んで、これから着任する広島工業大学でもこのような授業を開設すべきだと思ったことを鮮明に覚えております。しかし着任してすぐ、本学では「総合特別講義」が開設されていることを知りました。鶴襄名誉総長が学長時代、学生に直々語りかけた特別講演がきっかけとなって開設されたものを継承していることも知りました。「さすが」と嬉しく思いました。まさに「広島工業大学はかくありたい」を伝える授業科目です。当時、理事長、総長、学長と熊谷先生が担当しておりました。

その後、教育改革18で、現在の「自校教育論」と名称が変更され内容も改められました。文字どおり「広島工業大学論」すなわち「広島工業大学はかくありたい」という科目になり、現在に至っております。学部長など役職者および客員教授そして卒業生も担当に加わり、その内容は、(1)学園の歴史・建学の精神、(2)大学に学ぶ、(3)広島工業大学の教育方針と教育、(4)各学部の教育目標、(5)広島工業大学の研究、(6)人間形成、(7)情報化社会と大学生、(8)キャリアデザイン、(9)就職・雇用の実態、(10)社会人・技術者に求められるもの、などとなっています。22年度カリキュラムからは、キャリアデザインや就職関係の内容をキャリアデザイン科目として分離することになっております。   

私は、「広島工業大学の教育方針と教育」を担当し、本学の教育方針の意味することはどんなことか、具体的にどのような教育を目標としているかについて話しております。「メモの取り方・レポートの書き方」そして「意見発表」といった基本的な手法のトレーニングの場ともしております。各学科2回づつ担当しておりますが、この20日、そのうち前半の6学科を終えたというわけです。新しい講義棟での講義は気持ちよく、サッカーで言えば、「1―0」くらいのリードでハーフタイムを迎えているような気持ちです。

というのも、教育方針は学生に理解されてナンボです。先般行った学生満足度調査(回答者2973名)によれば、本学の教育方針を「よく理解している」ないしは「自分なりに理解している」と回答した学生数は33%でした。「全く知らない」が10%ありました。約半数が、「理解はしていないが一応知っている」(40%)と「なんとなく聞いたことがある」(15%)でした。この状況をどう受け止めればいいでしょうか。「1―0」の所以です。

本学の教育方針は「常に神と共に歩み、社会に奉仕する」です。赴任して間もないころ出席した同窓会の席で、一人のOBが「学生時代はよくわからなかったが、本学の教育方針は今となっては含蓄のある言葉だ」としみじみと語ったのが忘れられません。私も、技術系の大学なればこそ、意味あることと思っております。「技術に関する基礎知識とそれを応用する力と同時に、社会と環境を重視する認識と環境保全や社会奉仕のために行動する力および高い技術者倫理とそれを実践する力を備えた技術系人材」を人材育成目標としております(学生便覧より)。環境・倫理は、教育方針の前半の言葉に含まれるものです。「社会・環境・倫理」は21世紀の技術にあって、これまでにも増して大切なことです。この教育方針があればこそ、誠実な本学の学風がめんめんと築かれてきたのだとも思っています。

励まされ、また反省しながら6月から始まる後半に備えております。

昼食会

2009年5月14日 10:17

NS昼食会

このところ、三宅の森Nexus21の食堂で楽しいひとときを過ごしている。広島から比較的遠方にあり、先輩も多くない高等学校出身の新入生を招き、一緒に昼食をとっている。今日までに高知県西部、鹿児島県、沖縄県、香川県の高等学校出身グループと共にした。来週は徳島県、島根県、愛媛県南西部が予定されている。
毎回5~10名程度であるが、私にとってはなかなか厳しい時間でもある。高校訪問をした学校の出身者の場合、「君の高校は町の真ん中にあったよね」とか、「校長先生は○○先生だったよね」といった話がきっかけになるが他の高校の記憶と紛れていることもある。土地感のない場合は、地名を聞いても話がかみ合うまでに時間がかかる。何よりも似たような年格好の複数の初対面の学生と同時に対応するのである。その日の話だけでも「混乱しまくり」というのが現実である。
しかし私には文句なく楽しいひと時である(学生の本音はどうかわからない)。「どうして広島工業大学を知ったのですか」あるいは「来て見てどうですか」、そして「これからの抱負は?」が共通に尋ねたことである。「家から離れはするが適当に近いから」、「高校の先生に薦められた」、「卒業生が親戚にいた」、「広くてきれいだ」などと聞くと、目の前で食事をご馳走させながらきくのであるから割り引かなければならないと承知しつつも、嬉しくなる。「仲間があまり行かないから」と答えた学生もいた。もちろん他大学に失敗したからという学生もいた。
抱負も素直そのものである。あっという間に昼休みの50分が過ぎる。
名称の「NS昼食会」は、私が勝手に手帳にそのように記しているだけである。私は高校に入学するとき、能登半島の田舎から金沢に出て下宿生活を始めた。そのとき地元出身者が親しげに話し合っているのがまぶしく、みな秀才に見えた。自分だけが田舎者、というより場違いなところに来たように思えた。「NS」は、“you are Not Strangers any more”の「NS」である。「stranger」は、「よそもの・不案内な人・見知らぬ人」という意味があるが、「場違いなところにいる人」というニュアンスが感じられる。500円程度(それより安い?)の学食とデザート・コーヒーをご馳走して、私が彼らに言いたかったことは、「広島工業大学に入った君たちは、もう”stranger“ではないんだよ」ということだったのである。
ハンバーグステーキや鳥の照り焼き、そしてデザートと、連日の若者メニューは私にはいささか高カロリーである。メタボにならなければと思っているが、学生からもらった元気で心が太ったことは確かである。
                                                            (2009.5.13)

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