2010年2月20日 17:10
学期末試験そして卒業論文や修士論文の発表が終わり、このところ大学キャンパスはだんだん静かになりつつあります。しかし、2月15日(月)から17日(水)の3日間は、キャンパスに熱気にみちた空間ができました。
3年生と修士1年生を対象とした学内合同会社説明会が開催されました。学内合同会社説明会とは、本学の卒業生を採用する計画をお持ちの企業に来学いただいて、その企業に関心を持つ本学学生との懇談をとおして、双方の理解を深め就職の機会とするものです。開催は今回で6回目になります。15日午後、16日午前、午後、17日午前と4ラウンドにわたって322社の参加をいただきました。
正直言って、昨今の不景気で、果たして何社に参加いただけるか心配でした。しかし、鶴記念体育館体育館に開設されたブースやそこにお見えの企業の方々の雰囲気から、企業の地力と頑張りを見た思いがいたしました。今年の参加企業数は昨年度や一昨年とほとんど同じ数でした(昨年:330社、一昨年:335社)。この数は、理工系大学の大学単独主催の説明会としては西日本最大級です。大学はそのご期待に応えなければなりません。延べ2,000名の学生が参加しました。
私が感動したのは、企画の量的規模もさることながら、今回参加いただいた322社に働いている本学OBの数です。合わせて5,237人になるということです。これは、単に召集をかけて数週間の準備期間で大きくできる数字ではありません。毎年、1人、2人と就職して積み重ねてきた長年の実績です。就職した卒業生が評価されなければその後続く採用はないのです。学生の動きとは別に、ひとり誇らしくかつ嬉しい思いにさせられました。
こうした学生の就職活動について、大学は学生をもっと学業に専念させるべきであるとか、大学は就職の斡旋機関ではないなどといった意見があります。しかし、本学は、就職活動は学生にとって人生で最も重要な1つの活動であり、大学がその手助けをすることは必要なこととの考えで力を入れて取り組んでおります。個人的には、A社、B社を決めるとこと以上に、学生が社会人としての学び・成長の絶好の機会になるとわたしは思っております。就職活動という人生最重要な事象を介在して社会と接することにより、社会に目を開き、自分の生き方を真剣に考える機会となるからです。
参加した学生からは次のステップへと話が進んだとも聞いておりますが、多くの学生の気持ちとしては「出初式」だったかも知れません。考えてみれば4年生(学部生の場合)としての1年間は、大学で学ぶ4年間の4分の1の期間にあたります。今から後に随分と伸びしろがあるということです。社会の窓口である企業と接することによって是非社会人として成長する機会にして欲しいと願っております。

会場の光景
2010年2月11日 10:11
今日の休日、重い、そして複雑な思いを抱きながら8通のはがきを書きました。昨年8月から先月までの間に保護者を亡くした8名の学生に宛てた見舞い状です。
本学では学生の保護者が亡くなられたとき、学長名でお香典と弔電を届けております。その報告が当該学生記録の写しとともに私の手元に届けられます。お香典と弔電は、大学としての精一杯の誠意を伝えるものですが、規程にのっとった対応(当然ですが)に、何か複雑な気持ちでおりました。愛する肉親を失うということが、二十歳前後とは言え、なればこそ、どんなに重いことか。「慰めと励ましの言葉をじきじきに伝えたい」という思いがあったといえばよいでしょうか。そんな思いから、見舞いのはがきを書いたのが事の始まりでした。しかし、どんな言葉が見舞いや励ましになるのだろう。詳しい事情も知らないまま書くことが、いかに重いことであるかに気付くには1通、2通で十分でした。これまで何とか続けてきましたが、今回は訃報の報告書が「未処理」の箱の中に積み重ねられるままになりました。「後期が始まる時が区切りがいいからそのときにしよう」、それが、「1年の区切りの年末がいい」、「年が明けてからにしよう」になり、そして、ついに「学年末試験も終わりましたがいかがですか」という文面になってしまったという次第です。
お父様が亡くなられてから半年以上にもなる学生もいますので、書く文面が1人1人違ってきます。大学のカレンダーだけでも、1年生から3年生には「学期末、学年末」となりますが、4年生、M2(大学院修士課程2年生)には、卒業や修了の時期になります。卒業論文や修士論文の提出や発表を間近に控えている時期か最中となります。3年生にとっては卒業研究着手の可否がわかる時期になります。就職のこともあります。1年で一番デリケートな時期なのです。「何を書けば見舞い状になるのだろう」、そう思いながらも、「ただこの時期を逸すると機会はなくなるぞ」と自分に言い聞かせて書きました。
生きとし生きる者にとって愛する者との死別は避けられないことです。しかし理解とは別に納得いかぬ場合が多いのが現実です。指導の先生方や学務部からの情報では8名全員それぞれがんばっているということでした。「学長、期末試験や卒業研究のとりまとめでそれどころではありませんよ」と言ってくれるなら嬉しい。結局、今回も、「初志を遂げることがお父(母)様への何よりのご供養と思います」と、月並みにしか書けませんでした。
中野武登先生直筆の「学園草花シリーズ」の絵葉書を使いました。その一つが「ふきのとう」でした。ふきのとうに関して次のような歌と俳句が紹介されておりました(本学ホームページ「学園草花シリーズ」より)。
さざれ水うねれる岸に蕗(ふき)の薹(とう)
三つ四つ見えて小雨に濡るる
窪田 空穂
蕗(ふき)の薹(とう) 雲の茜は空にのみ
馬場 移公子
小雨に濡れながら、さざれ水がうねる岸にへばりつくように芽を吹き出している蕗(ふき)の薹(とう)は、八つあります。夕日に映えた西方の茜雲の合間から、それが見えますか。
2010年2月 1日 14:59
先月末、一般入試A日程の入試がありました。入試本番の季節です。しかし本学ではすでに特別推薦やAO入試で本学への入学が確定している生徒さんたちも多くおられます。
AO入試合格者を対象に、本学独自の「Brush-up and Letters」というプログラムを実施しております。「Brush-up」は、基礎学力の復習・増進を目的としたもので、入学までの間、都合2往復のやり取りによる添削指導によって入学後の学びに備えるものです。また「Letters」は専門分野のトピックスを題材として大学教員とやり取りしながら、専門の学びへの意欲を高める趣旨のものです。
これらはいわば通信教育による入学前セミナーですが、本学では面談教育での入学前セミナーも行っております。今日はその先陣を切って開始された広島工業大学高等学校での入学前セミナーの開講式に出席しました。私は次のような挨拶をしました。
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入学前セミナーは折しも今日から始まったプロ野球のspring campと同じものです。基礎的なことの学びによって筋肉をほぐし、シーズンの開幕に備えるものです。基礎的なことであってもそれを丹念に学ぶことによって力をつけることが目的です。野球で言えば(専門的なことはわかりませんが)、例えばもともとカーブは投げることはできる、しかしこの時期に、改めて直球と比較したりしてそのより効果的な投げ方について研究し、威力を増すようにする、そのようなことです。
1月半ばでしたでしょうか、西部ライオンズに入団した花巻東高校の菊池雄星君が合同自主トレを始めたという報道がありました。本当にうれしそうにランニングや投球をしている彼の姿と笑顔が印象的でした。皆さんと同じ高校3年生です。プロの世界についていろいろ不安がないといえばうそでしょう。しかし彼にはこれから始まる新しい世界や野球に対する思いがそれ以上に強く、あのようにうれしそうな顔になったのでしょう。
英語で、”looking forward”という表現があります。辞書には「期待する」、「首を長くして待つ」と書かれております。日本語では「待つ」という言葉が入っていますが、英語では文字通り「前方を見る」です。雄星君は、プロの世界での晴れ舞台を、”looking forward”、前方に見ているのです。だから、今ランニングや投球練習をする顔があのような顔だったのです。
話は変わりますが、今年の正月、特別推薦で本学に入学してくることが決まっている3人の生徒さんから年賀状をもらいました。長い大学教員生活で、入学予定の生徒さんからの年賀状は初めてのことで、感動しました。それには「本年度は、貴学の学生として自分の目標に向かって努力しますのでご指導よろしくお願い申し上げます」とありました。これからの大学での本格的な学びを前方に見ている、雄星君と同じ”looking forward”の顔(文面)でした。学びへの意欲を高めることは入学前セミナーのもう一つの目的です。
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以上のような挨拶をしました。3月からは広島会場(本学)と松山会場の入学前セミナーが始まります。入学前セミナーは「前を見て、これから起こることを楽しみにする時」。会場は変われど同じ思いでおります。