2010年8月30日 16:41
本学沼田校舎は、知・徳・体の調和のとれた豊かな人間性を養う場としての本学の研修施設で、知育館、徳育館、体育館の他、野球場、馬場、テニスコート、プールなどもあります。新入生のオリゼミや女子学生キャリアデザインセンターのサマーセミナーなどで使われています。全学FDをやったこともあります。学園の小中高等学校や専門学校の学生や生徒さんたちも使用しております。また、地域一般の方にも、開放しております。大学から車で40分もあれば行けるところにありますが、周囲の自然はなお豊かです(その模様は本学ホームページの「沼田校舎の四季おりおり」に紹介されております)。
私の関係する学会の研究会が開催されたこともあって過日沼田校舎に一泊しました。早朝に素晴らしい朝焼けに出会いました(写真1:沼田校舎職員半司さん提供)。

(写真1)沼田校舎の朝焼け
朝焼けの中を、研究会参加者10名と一緒に半司さんの案内で近くにあるという「久地千年杉」の見学にでかけました。沼田校舎からゆっくり歩いて30分もかからない岳山(だけやま)登山道脇の斜面に、その威容を見ることができました。千年杉としては屋久島の縄文杉が有名ですが、こんな身近なところに千年杉があるとは驚きでした。見るというより、ひっそりと長い人生経験を積んできた大おじいさんに会ったというのが私の印象でした。

(写真2)

(写真3)

(写真4)
杉の幹は真ん中の太い幹を中心に7本に分れています(写真2)。幹周りは8~12メートル(写真3)、そして樹高約40メートル(写真4)です。写真はすべて「仁王さん」のホームページから転載したものです (http://www16.tok2.com/home/chacoandmonk/2008/0628takeyama.html)。威容な姿は私の携帯カメラと技術では収めきることはできませんでした。
民家の近くの千年杉は珍しいとのことです。7つの幹に分かれていることが用材としての価値を低くし、伐採を免れたのだろうという説明でした。『出自』という言葉があります。自分ではどうすることもできない「でどころ・生まれ」の意味です。7つの幹に分かれて育ったことは、この杉の木の『出自』でした。それが700年の存命を可能にしました。
樹齢は推定で500年から700年だそうです。700年前と言えば1300年。南北朝時代の始まる頃でしょうか。近くには山城跡(城主は武田弾正)もあるそうです。戦国武将の戦いを目前で見たことでしょう。あの原爆も遠くから見たのでしょうか。「これまで見てきたことの中で何が最も強く記憶に残っていますか」、私はひとりそんな問いかけをしておりました。
『越し方を千年杉と語りあう軽きに軽し六十路(むそじ)なれども』 7本の幹は、人の悲しみ、憤り、喜び、苦難、涙、後悔などを連想させました。60半ばの私にもそれなりのものがありますが、千年杉に比べるとなんと短く軽いことでしょう。ひそかに700年を生き続け、目前にすっくと立つ大おじいさんは、そんなふうに私に語ってくれました。力を与えられました。
2010年8月23日 15:14
小学校の夏休みも残り少なくなった8月21日、第6回ワクワクものづくり大作戦が開催されました。今や、広島工業大学の年中行事の一つとしてすっかり定着しております。今年は11のテーマが準備され、事前に応募があり抽選で選ばれた204名の小学生が参加しました。
デネブホールで開会式が持たれました(写真1)。挨拶の中で、「わくわくしている人は?」と聞きましたら多くの小学生が手を上げてくれました。「わくわく」は、「これから何をするのだろう」、あるいは「どんなことになるのだろう」と期待しながら、しかし「私に、僕にできるだろうか」という若干の不安と共に持って、始まるのを待っている時の心境のことではないでしょうか。一人ひとりの顔からそれが読み取れました。今年はグループ写真も撮って帰りに記念のお土産としてお渡ししました。

(写真1)デネブホールでの開会式
昼食は食堂でいただきました(写真2)。開会のあいさつで、「夕食の食卓では今日あったことを共通の話題として親子の会話をしてください」とお願いしましたが、昼食時にもう実現しておりました。日頃とは少し違ったかん高い声が飛び交っていました。このような親子の時間を提供できただけでも素晴らしいことができたと嬉しく思いました。
下のお子さんの子守をしながら参加されたお母さんもいました。お孫さんと一緒に来られたおじいさんもいました。本学に初めて来られたという方から、「三宅の森Nexus21」や「デネブ」のいわれを聞かれました。"It's a good question!"と言わんばかりに由来を説明しました(学長日記2009年1月および同8月参照)。またある方とは教育談義になりました。こうして市民のみなさんと語り合う場の提供こそ大学の社会的役割の一つと思わされました。

(写真2)食堂での昼食
「小学生にわかるように説明できる技術者に」という思いを私は持っています。学生諸君にとって、そのいい訓練の機会となったことと確信しております。この企画は、5年前、若手の職員が企画提案し、教員・学生の協力を得て始められたものです。大学では教員が中心となることが多い中で異色の企画です。最初は、理解を得た学科からなんとかテーマを出してもらってスタートしました。しかし今や11のテーマが提供され全学科揃い踏みです。大学では大学職員の企画力・働きが教員のそれに増して重要です。「職員が優れた大学は優れた大学」、あるいは「優れた大学には優れた職員あり」と言っても過言ではありません。職員が提案した企画に教員と学生が協力するというこの企画は本学にとっては重要な行事の一つです。
そんなことなどなど、あれこれに思いを馳せながら、私は、夕食時、一人さわやかなビールを口にしました。