2010年9月27日 16:44
今年の夏は全国的に暑い夏でしたが、広島はことのほか暑い毎日が続きました。9月21日から、後期の授業が始まりましたが、その日も33度でした。ただにぎやかさを取り戻したキャンパスは、暑さのけだるさより若者の活気に満ちていました。大学は多くの若者がいてこその空間であることを改めて感じさせられました。どんな立派な建物も若者がいてこそ初めてその価値があるということです。ともあれ、私の元には事故の報告も特になく、一人ひとりの夏休みが終わりました。私は、本学の建学の精神「教育は愛なり」の「愛」は「学生の可能性を信ずること」と日ごろから申しておりますが、その『可能性』を感ずる出来事がいくつかありました。
前期の最後の行事として、9月17日に前期末卒業生の学位記授与式がありました。卒業生は4名でしたが、式には2名が出席しました。3月に比べると贅沢な卒業式です。昨年のことですが、卒業式が終わった後、お一人の保護者の方に「おめでとうございました」と申し上げたところ、「ありがとうございます」と言いながら涙ぐんでおられました。この時のことを式辞の中で紹介し、「9月卒業にはみなさんも感慨深いものがあろうけれども、保護者の方々にはみなさんとはまた違った感慨深いものがある。お父さんお母さんに卒業証書を見せ、一言『長い間、ありがとうございました』と言って欲しい」と申しました。実行してくれたかどうかわかりませんが、人生には100%無駄なことはありません。彼らなりの『可能性』が芽生えることでしょう。
まだ熱さ盛りの9月第1週に早々と秋を迎えた諸君もいます。硬式野球部の諸君です。9月4日から広島六大学野球秋季リーグが始まりました。本学はこのところ最下位が続き、今シーズンも既に4戦4敗で苦戦しております。18日、本学沼田球場での試合の応援に出かけました。この試合には4月入学の1年生2名が先発メンバーとして、また代打として2名が打席に立ちました。先発投手としてマウンドに立った浜田君も1年生でした。4点は奪われましたがゲームを作り完投しました。1点の得点は原田君(1年生)の代打タイムリーヒットによるものでした。今シーズン最初の得点です。26日の広島経済大学との第2戦も観戦しました。この試合は2対1で逆転し、ついに今シーズン初勝利を挙げました。この試合にも代打で登場した原田君が右翼手の頭上を抜く3塁打を打ち、送球の間に本人も一挙に本塁をかけぬけました。1年生の活躍は次につながることでしょう。機会をもらうということは素晴らしいことです。『可能性』を実感することができるからです。
新学期が始まっても夏休み行事が行われました。25日と26日・1泊2日で開催された女子学生キャリアデザインセンター(JCDセンター)のサマーセミナーです。今年で4回目になります。本学には240名の女子学生がいますが、4,000名の中では6%です。日頃は全学に散らばっているからでしょうか、開会式に勢ぞろいした50名の学生を見て、本学にこんなにも女子学生がいたかと思ってしまいました。「サマーセミナー」と言うより「サマーラリー」がより適した呼び方ではないかと思いました。"rally"は「散在するエネルギーを集める」という意味があるからです。「統一と力を回復する、元気づける、集中する」という意味もあるかと思います。日ごろは4,000名の中に散らばっている女子学生が集まり、"rally"した2日間でした。写真は共同作業のバンブーエッグを作っている時のスナップです。本学の女子学生は、量的には目標とする20%にはまだまだ遠い状況ですが、質的には確実に変わり、自信に満ち、女子大キャンパスの女子学生とは一味違った学生に見えたのは贔屓目からでしょうか。女子学生の存在感が出てきました。キャンプファイアーでは、『可能性』が声を出しながら走りまわっているように見えました。
9月1日に4人の先生方が本学に着任しました。新しい職場での新しい仕事。教授会で挨拶していただきましたが、迎える側も新鮮な気持ちにさせられます。私は、「このたびわれわれの仲間に加わっていただいた方々です」と紹介しました。「仲間となってもらう」が新任の先生方を迎える私の実感で、いつのころからかこのように言っているようです。「若者ゆえに苦楽を分かち合うチーム広島工大の仲間」という想いです。現在、来年度初めに迎える予定の14人の人事を進めておりますが、「チーム広島工大」の一層の充実です。このほうは若者の『可能性』へのかかわりです。
4,240の前期修了、4,240の夏休み、そして4,240の新学期。4,240人の若者にとっては一つ一つが新しい体験です。彼らにはどのような意味を持つか今はわからないでしょうが、『可能性』の芽となっていることは確かです。

バンブーエッグ作り(JCDセンター・サマーキャンプ)
2010年9月13日 15:30
ご覧になった方もおられるかも知れませんが、本学では2本のテレビCMを放映しております(本学ホームページで見ることができます)。知人や在学生の保護者あるいは卒業生から、「CM、見ましたよ」と時候の挨拶のように言われることが多くありました。評価はまちまちですが、良きにつけ悪しきにつけ、関心を引いたことは確かのようです。先日、ネットに出ていたというコメントのコピーが事務から届きました。それは専門筋の方のコメントでした。
「......大学が生徒を集めるのに、「広くて美しいキャンパス」「楽しい行事」とか、どこもかしこも同じようなセールスポイントで、何だか良く分からなくなってしまっている今日このごろ。生き残りをかけた戦いで、焦れば焦るほど、ターゲットニーズを無視した機能訴求をするのは大学だけでなく、世の常。しかし、広工大のCMは、受験生が本当に好きな事、打ち込める事がここで出来るんだ、ということを、短くて台詞もほとんどなしで上手に見せている。」
(以上、金森マーケティング事務所のサイトhttp://kmo.air-nifty.com/ "2010/08/31「熱いハート」に語りかける広工大"から引用)
というお褒めのコメントでした。このたびの本学のCMの狙いは、技術を学ぶことの必要性(重要性)と素晴らしさを高校生に訴えることでした。そのコメントは、その核心をずばり突いてくれたものでしたから素直に嬉しく思いました。
「......学校で教育されたカリキュラムのおかげで「ゆとり」だのと言われ、大学を出ても「指示待ち」だの「安定志向」だのと言われがちなイマドキの学生。しかし、熱いハートを持って、学びの欲求を充足させたい志願者も必ずいるのだ。そんな若者が迷わず選択できるメッセージを、もっと多くの大学が送ってもいいと思った。」
(以上、金森マーケティング事務所のサイトhttp://kmo.air-nifty.com/ "2010/08/31「熱いハート」に語りかける広工大"から引用)
と、そのコメントは結ばれていました。
本学がCMに本格的に取り組んだのは、2004年度からです。当時はとどめようのない少子化に加え、若者の技術離れや工学系分野の敬遠などが全国的に顕著となっておりました。そのときのキーワードは「カタチ」でした。「新しい、をカタチに」、「走りだす、新しいカタチ」など、当時取り組んでいた教育改革18にあわせたイメージ先行のCMでした。本学の雰囲気と技術系の学びを明るいイメージで訴えることが目的でした。そのため、空色が基調となっています。今回のCM製作にあたっては、「イメージは卒業。本学の中身・実態を表現して欲しい」と要望しました。教育改革18が、少しずつですが、カタチになってきておりました。<熱いハートを持って、学びの欲求を充足させたい志願者は必ずいる>と確信し、そういう高校生を「掘り起こしたい」という思いからでした。
現代社会には既に多くの人工物が存在しています。そのメンテナンスが必要です。また限られた資源と環境の中で70億の人間が平和に生きていくのです。これまで以上に、ものづくりを中心とした新しい技術と技術系人材が、質・量ともに必要とされます。われわれ技術系の大学が、「若者が来ない」とか「他の分野の方が志願者を集め易い」と言って技術者育成を放棄しては、だれがやるのでしょう。厳しい環境ではあるが、「技術系人材育成」こそが本学の社会的使命だと受け止め、改めて技術系教育のソフト・ハードを充実・整備して対応することとしました。女性の社会進出、特に技術系分野にあっては、なお厳しいのがわが国の現状ですが、女性技術者の育成も本学が果たすべき社会的使命として力を入れている一つです。21世紀は、労働力確保だけでなく、女性の視点からの技術が重要となります。
このような背景の中でのこのたびのCMでした。高校生に技術系分野を志願してもらうことが第一の目的ですが、同時に「広島工業大学はこのような思いを持って教育にかかわっています」という社会へのメッセージでもありました。故障した電子レンジを"ボクは、たたかない"で原理・構造を踏まえて対応する技術系人材を育てること(男子生徒篇)、そして、女子生徒さんが工業ロボットの動きに魅せられ熱いまなざしを送っても"女子なのに、変ですか"ではないと考えていること(女子生徒篇)が本学のメッセージなのです。
説明を加えなければいけないCMは、説明しなければわからない俳句や短歌と同じで意味がないことは承知しているのですが、つい嬉しくなり、CMにまつわる説明を加えてしまいました。