2010年10月26日 15:23
10月18日から23日までの1週間、「授業公開ウィーク」と銘打って教員相互の授業参観を実施しました。「授業内容・方法の工夫はなんでもあり」というのが教育改革18の方針でした。他の先生の授業を参観し自分の授業内容・方法を改善するために参考にするというのがその趣旨です。
授業参観については、学生による授業評価を導入して間もないころに、評価の高かったいくつかの授業科目を参観対象授業として推薦し実施したことがあります。また学科内や特定科目に関係する先生方で自主的にやったこともあるようです。しかし今回のように全学全ての授業(特に事情のあるものは除く)を対象として実施するのは初めてです。特段定めがなくとも参観してもかまわないのでしょうが、事前に連絡するのは礼儀でしょうし、また闇雲に実施して授業そのものに迷惑をかけてもいけません。「ウィーク」を定め、この週に限って事前の了解を取らずともいつでも参観してよいということになればずっと気が楽になります。
少しの時間でしたが私も英語と物理の授業を参観しました。両科目とも私の専門とは直接関係ありませんが、全学共通科目でもあり興味がありました。次々と学生を指名して質問に答えさせたり、講義中に演習を課すなど、授業の進め方、学生への対応、説明の仕方、板書の仕方など、一教員として参考になることが多くありました。両クラスとも学生が前方の座席に座っていました。教室後方に学生にかたまって座られると授業の雰囲気が盛り上がりません。多くの先生にとって悩ましいことです。自校教育論では私は座席指定をしておりますが、担当の先生の話では、「座席指定は特にしていない。最初の授業のときに、最後列に座っている学生を2、3列前にこさせたことはある。後ろに座りたがる学生はいるが授業中に多少不機嫌な様子を見せると、勘のいい学生はだんだん前に来ます」とのことでした。自然に前方に座る雰囲気を作ることがプロの腕前ということなのでしょうか。ちなみに2つの授業ともどちらかと言えば少人数のクラスでした。
物理のクラスでは、最後の20分くらいは授業でやったことの演習をしておりました。講義だけで90分はもたない。授業を効果的に行う(学生を眠らせない)ために行っているとのことでした。演習をはさむことによってその日に学んだことを学生自身で整理させることも目的にしているとのことでした。演習と講義を一体的に実施することが教育効果を上げることは私も経験していますが、「学生の受講能力」という視点はなるほどそうだと思わされました。演習問題は、実感を伴うような身近な問題を出すように工夫しているということでした。
自分の授業担当だけでも忙しい中、何人の先生方が参観したか把握できておりません。参観した教員の感想を持ち寄ることにしております。それを集大成すれば「授業改善のための工夫事例集広島工業大学版」ができます。初めて授業を担当する先生方には実践的な効果があり、大いに参考になります。各学期に1度実施することにしておりますが、新任の先生方には是非参加を勧めたいものです。教育内容・方法の改善が一夕一朝にできるものでないことは承知しております。しかし授業参観の継続的な実施は、「教育内容・方法の改善の取り組みは教育のプロにとって日常的な努めである」という考えを学内に浸透させることでしょう。学生には事前の掲示で「ウィーク」の趣旨の理解と協力を求めました。この機会にもう一方の当事者である学生の意識も巻き込むことになれば文句なく「授業改革」になることでしょう。
2010年10月12日 16:48
本学の活動やあり方について外部からの意見をいただく目的で、2007年度から「広島工業大学アドバイザリーボード」が設置されております。10月5日、今年度の委員会が開催されました。今年度の委員は、小方直幸東京大学大学院教育学研究科准教授(高等教育研究専門家)、野坂文雄もみじ銀行頭取(マスコミ・金融関係者、包括協定締結企業)、福成孝三復建調査設計株式会社社長(企業関係者)、峯川操広島工業大学後援会前会長(後援会・同窓会関係者)、 森本朗裕立命館大学理工学部教授(技術系高等教育専門家)の5名です。
今回は、(1)「就業力」とはなにか、(2)技術系大学における教養教育についての2つのテーマについて意見をいただきました。「就業力」は文部科学省が進めている大学教育改革のキーワードです。教養教育については、「教育改革18」で検討しその充実に取り組んできましたが、開設授業科目数などなお不十分な状況にあります(「教育改革18」における取組については文末"参考"を参照ください)。現在、「技術系大学における教養教育に関するプロジェクト教育開発センター」が中心となって本学にふさわしい教養教育について調査研究を行っております。24年度からのカリキュラム改訂を予定しております。
委員からいただきました意見は内容を精査し、運営計画として公にする予定です。ここでは、私の手元のメモにあるキーワードをいくつか列記します(複数の発言を要約したものもあります)。
(1)「就業力」
(2)教養教育
全般的なこととして、「これまでの大学教育はえてして教員の都合が中心であった。しかしこれからの大学は、大学・教員と卒業生・社会そして第3の軸としての学生の都合が大切」との指摘がありました。
70名の教職員が陪席して委員の意見を傍聴しました。今回のテーマは本学のみならず技術系の大学にとって重要なテーマだけに総じて先生方にとっても参考となる意見が多かったのではないでしょうか。私にとっても貴重な意見が多くありました。しかし、教養教育と専門教育の融合、社会人としての素養、産学連携による教育など、「教育改革18」としてこの5年間取り組んでいる方向と一致するものも多くありました。今年度から、技術者倫理を1年次科目と4年次科目に分けました。教養教育科目についても、専門科目を学びながら、あるいは就活を終えた後で学ぶことも必要かも知れません。発展学習トラックでの教養教育の履修も検討に値すると思いました。
参考:教育改革18」での教養教育に関する取り組み(「教育改革18」から「HIT教育」を(2006年4月)より)