2010年度アドバイザリーボードを開催しました。

2010年10月12日 16:48

本学の活動やあり方について外部からの意見をいただく目的で、2007年度から「広島工業大学アドバイザリーボード」が設置されております。10月5日、今年度の委員会が開催されました。今年度の委員は、小方直幸東京大学大学院教育学研究科准教授(高等教育研究専門家)、野坂文雄もみじ銀行頭取(マスコミ・金融関係者、包括協定締結企業)、福成孝三復建調査設計株式会社社長(企業関係者)、峯川操広島工業大学後援会前会長(後援会・同窓会関係者)、 森本朗裕立命館大学理工学部教授(技術系高等教育専門家)の5名です。

今回は、(1)「就業力」とはなにか、(2)技術系大学における教養教育についての2つのテーマについて意見をいただきました。「就業力」は文部科学省が進めている大学教育改革のキーワードです。教養教育については、「教育改革18」で検討しその充実に取り組んできましたが、開設授業科目数などなお不十分な状況にあります(「教育改革18」における取組については文末"参考"を参照ください)。現在、「技術系大学における教養教育に関するプロジェクト教育開発センター」が中心となって本学にふさわしい教養教育について調査研究を行っております。24年度からのカリキュラム改訂を予定しております。

委員からいただきました意見は内容を精査し、運営計画として公にする予定です。ここでは、私の手元のメモにあるキーワードをいくつか列記します(複数の発言を要約したものもあります)。

(1)「就業力」

  • 大学教育の第一の目標として、「大学は、生涯を通じた持続的な就業力の育成を目指し、教育課程の内外を通じて社会的・職業的自立に向けた指導等に取り組むことが必要」が大学設置基準で掲げられることを認識しておく必要がある。もはや「学問」が大学の第一の目標でない。
  • 企業が求めるものは、専門分野での基礎、コミュケーション力、そして社会人としての最低限の素養、振る舞い。
  • 厳しい社会(労働条件)に対して「適応力」だけでなく、主張する力・抵抗する力も「就業力」の一面。
  • 「心の忍耐力」が大切:大学時代の実験は失敗した方がいい。
  • 地域との関連が重要。産学連携による教育研究によって地域に関心を持つこと。

(2)教養教育

  • 教養教育とは物事の関連性を理解する力を培うこと。
  • 教養教育と専門教育の境界がわからなくなっている。分けなくともよい。
  • 考える訓練が重要。そのためにも専門以外の学びが必要。
  • 「コミュニケーション」という特化した科目の中でなく、専門科目の中で学ぶことが重要。
  • 技術は価値観にかかわる。作るだけでなく使い方についても責任がある。社会人としてコンプライアンス、正義感、倫理観が教養教育の要諦。
  • ジェネリック・スキル(創造性、柔軟性、自立性、チームワーク力、コミュニケーション力、批判的思考力、リーダーシップなど)としての教養。
  • 専門枠を減らしてでも教養教育をやる。それには大学としての方針の明示が必要。
  • 専門の先生方が教養教育の中身を知っておくことが大切。
  • 教養教育では非常勤に依頼することが多いが、教育理念の徹底が重要。

全般的なこととして、「これまでの大学教育はえてして教員の都合が中心であった。しかしこれからの大学は、大学・教員と卒業生・社会そして第3の軸としての学生の都合が大切」との指摘がありました。

70名の教職員が陪席して委員の意見を傍聴しました。今回のテーマは本学のみならず技術系の大学にとって重要なテーマだけに総じて先生方にとっても参考となる意見が多かったのではないでしょうか。私にとっても貴重な意見が多くありました。しかし、教養教育と専門教育の融合、社会人としての素養、産学連携による教育など、「教育改革18」としてこの5年間取り組んでいる方向と一致するものも多くありました。今年度から、技術者倫理を1年次科目と4年次科目に分けました。教養教育科目についても、専門科目を学びながら、あるいは就活を終えた後で学ぶことも必要かも知れません。発展学習トラックでの教養教育の履修も検討に値すると思いました。

参考:教育改革18」での教養教育に関する取り組み(「教育改革18」から「HIT教育」を(2006年4月)より)

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