清田 誠良

きよた のぶよし

清田 誠良 Nobuyoshi Kiyota

工学部 建築工学科 教授
出身:福岡県行橋市(福岡県立 豊津高校 *現在名:育徳館高校)
n.kiyota.5n@it-hiroshima.ac.jp

広島市街地における、快適都市空間の実現を目指す

地球の温暖化など、地球環境問題はますます深刻化の様相を呈しているが、近年はさらに、ヒートアイランド現象による都市の気温上昇が問題となっている。それは、都市部のエネルギー使用量が増大し、その廃熱によるもの、あるいは地表面が建物に覆われている状況(被覆状況)の変化、ビルが密集することによる通風の阻害、都市部における緑地・水域の減少など、さまざまな要因が絡んで都市特有の気候が生まれた結果である。

そこで「都市域における高温化現象の緩和対策に関する研究」をテーマに、地球環境問題に取り組む清田ゼミでは、広島市における都市高温化現象の実体を把握するために、数年前から学生と共に調査に乗り出している。それは実測で集めたデータを元にその要因を分析、その解決策を模索するというもの。データ収集のために、清田先生は自動車による移動観測、学生たちは計測装置を乗せた自転車による移動観測を担当している。

「私は車の上に温度計を乗せて街中を一晩中走り回り、約300の任意地点で気温を測ります。夜は、さまざまな影響が少なく、比較的条件が安定しているから計測しやすいんです。学生たちはと言えば、数名に分かれてコース分担をし、市内を流れる同一川の川上、川中、川下の各地点で同時刻に一斉に測定するんです。自転車を押しながら測定時間に間に合うようにコースを往復するなど、大変なフィールドワークですよ」と清田先生。自転車のハンドルに取り付けられた通風式温度計も、テーマに添った気温の測り方を構築したのも、学生たちのアイディアによるものだ。

こうして得られたデータを分析した結果、市内の高層建築物密集地域では気温が高く、街路沿いが緑地に覆われた公園道路では比較的低くなっていることが分かった。また、河川周辺ではやや気温は低く、市内全体では凪時と海風時で明確な気温の違いが示された。これらの結果を基に、広島市の都市域における気温と周辺環境の関係についての定量化に着手している。

そこで、「問題解決に向けて特に広島らしさにこだわった提案をしていきたい」と清田先生。快適な都市空間を創るために、河川や緑化の効果を提唱し、都市における適切な換気・通風システムの構築を目指している。
「ヒートアイランドの問題点は、気温の上昇による夏季の冷房用エネルギー消費の増大や、熱帯夜の増加によるストレスや健康への影響、大気汚染などです。そこで、海風が吹き、川が6本も流れているデルタ地帯の広島市においては、昼間に吹く南からの海風を取り込み、都心の熱い風を拡散するなど風通しの良い街並みを作ることが大切なんです」。

また、夏のヒートアイランド現象を緩和するために効果的な方法に、直接日射をあてないように植栽を活用することも重要だと言う。具体的には屋上緑化や壁面・ベランダ緑化、並木などだ。都市気候の緩和や雨水の保水効果、人工化された都市の中で生態系をつなぐ役割を担う屋上緑化は、室内環境に与える影響だけでなく、合わせて建築外部環境をより快適にする自然共生が実現する。

そこで同研究室では現在、新3号館屋上において屋上緑化が室内環境に与える影響についての測定を継続中だ。学生たちが植物を植えたプランターを設置。室内への日射熱による焼け込みが低減できたり、躯体の熱ストレスが緩和されたり、屋上でのアウトドアリビングとして景観が豊かになるなどの効果を検証中だ。
「風と緑で、広島はもっと快適な街になるでしょう」。清田ゼミのフィールドワークは続く。