佐藤 立美

さとう たつみ

佐藤 立美 Tatsumi Satoh

工学部 建築工学科 教授
sato@cc.it-hiroshima.ac.jp
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わずか0.4ミリの薄い鉄板が、コンクリートをガード

ビル建築に欠かせないコンクリートですが、丈夫そうなイメージとは異なり、実際は僅かな変形で壊れてしまいます。大体0.4%ほど縮んだだけで、コンクリートはもう崩壊してしまうんです。0.4%というと、1メートルの柱に対して、わずか4ミリ。こうした少しの歪みでも、建物の倒壊を招く原因になるのです。
私は、コンクリートを補強する新しい方法を考案しました。「拘束コンクリート」というものです。直径100mmのコンクリートの円柱の周りに、厚さ0.4ミリの鉄板を巻きつけることによって、強度を飛躍的に上げられるのです。この「拘束コンクリート」は5%の変形にも耐えられると、実験によって証明されています。
「拘束コンクリート」は、強度が高まり、変形に強くなるため、揺れのエネルギーを従来より15倍も吸収できます。それだけ、地震に強い建物を作れるわけです。
また、「拘束コンクリート」の優れた点は、柱を鉄板で巻くだけで良いので、既にある建築物にも利用できることです。これなら、簡単に補強ができます。

古い家屋は、古い材木で補強できる

最近、私の研究は、「環境」「エコロジー」の分野へも広がっています。
例えば、コンクリートミキサー車。コンクリートを流し出した後でも、ミキサー車のなかには必ずコンクリートが少し残っています。今までは、これを水で洗い流していました。コンクリートは強アルカリ性のため、環境面への影響を考慮して、この排水を中和しなければなりません。しかし、そのアルカリ水の中には、コンクリートの微粉末が含まれているんです。資源の有効活用の観点から、このアルカリ水を再利用するための研究を行っています。
さらにコンクリートだけでなく、「木質資材」に取り組み始めました。木造建築の耐震改修は、遅れています。耐震補強のためには何百万円という資金です。これを個人で負担するのは容易ではありません。
私は、古材を用いて耐震補強する方法を研究しています。古い木造家屋を新築のようにすることはできません。また、する必要もないのです。古材を利用して、適切な補強を行えば、何十年も寿命を延ばせる家屋がいくらでもあります。この方法を用いれば、100万円以下で耐震補強もできます。
今後、こうした「資材を再利用する」ための研究は、社会からのニーズも増えると思います。

いろんな方向から見ると、問題点がよく分かる

私は学生に、常に「視野を広く持ちなさい」と指導しています。物事をある方向からだけでなく、いろいろな方向からバランスよく見なさい、と。また、あらゆる事象に興味を持ち、視野を広げるようにいつも言っています。それによって、時代の要請に臨機応変に対処していけるようにもなります。
私のゼミでは、「実験・試験体の計画」→「鉄筋加工・組み立て」→「コンクリート打設」→「実験」→「新しい構造設計資料の作成」という流れで、学生たちに建築構造の面白さを体感してもらっています。
最後に、「佐藤立美ゼミの憲法」を掲げておきます。
第1条 らしくあれ
第2条 人に迷惑をかけるな
第3条 言い訳をするな
これに共感を覚えたら、ぜひ研究室のドアをノックしてください。

ゼミ取材 こぼれ話
佐藤先生は毎日、ゼミ生と一緒に学生食堂で昼食の時間を過ごされています。食事をしながら先生は、研究分野のみならず、現在、社会に起こっているあらゆる出来事を題材に、「これはどう思う?」というような問いかけをするそうです。そして、ゼミ生からの答えに対して、「では、こういう考え方は出来ませんか」とまったく違う方向からの考え方を提示することも。「視野を広く持つ」考え方を、食事というコミュニケーションの場でも、取り入れているそうです。