たまい ひろゆき
玉井 宏章 Hiroyuki Tamai
工学部 建築工学科
准教授
出身:広島県呉市 (武田学園呉高等学校)
tamrix@cc.it-hiroshima.ac.jp
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建物の耐震性を高めるためには、どのようなことができるでしょうか。私は、世界に先駆けて2つの研究に取り組んでいます。
1つは、炭素繊維を用いて、建物を補強する方法です。炭素繊維は航空機や宇宙ロケットなどにも使われている素材です。重さは鉄の4分の1。それなのに、引っ張り強度は鉄の10倍もあります。しかも、錆びません。炭素繊維を建材として使えば、建物の耐震性を高め、寿命を延ばすことも可能です。
老朽化した建物の柱に炭素繊維を貼り補強することで、強度を高めるわけです。軽くてどのような形状にも対応できる炭素繊維は、優れた補強材料となります。この利用方法については、まだまだ開発の余地が大きく、今後の研究が待たれています。
また、炭素繊維は従来、引っ張り強度の強さばかりが注目され、圧縮に対してはあまり利用方法が考えられていませんでした。しかし、私の研究室では、引っ張りと圧縮の2方向からの力に対応した用い方を開発しようとしています。それによって、補強だけでなく、設計施工の段階から実用化できるのではないかと期待されるようになりました。
現在は、建物に使われる鉄筋の補強に用いられています。この炭素繊維を使った補強技術は、海外にはほとんどなく、日本の独壇場。炭素繊維を利用すると、建物の耐震性をさらに高められると私は確信しています。それが実現できれば、日本の建築技術が世界をリードすることも夢ではありません。
もう1つの耐震研究のテーマは、ダンパーです。ダンパーとは、地震による建物の揺れのエネルギーを吸収する装置のこと。私が大学生の頃、このダンパーを取り入れた設計が流行っていました。流行ってはいましたが、多くはただの飾り物として扱われていたものです。残念ながら、まだまだダンパーの性能を活かすような設計が、現場ではなされていませんでした。
ところが、現在では「鉄骨系ダンパーによる震度7の耐震構造」というようなことが、具体的な研究課題として上がってきています。もちろん、実用化を見据えてのことです。
鉄骨系ダンパーは地震がくると、ダンパー自体が壊れることで、揺れのエネルギーを吸収するものです。だから、地震を受けるたびに疲労が蓄積し、損傷します。一定の損傷を受けたら、ダンパーは取り替えなければならないのです。この疲労損傷の定量化の研究にも、どこよりも先に取り組んでいます。
私のゼミの研究テーマは、「新材料の利用技術」です。
例えば、経済産業省と大阪府が連携しているプロジェクトで、普通の鋼材の2倍の強度あるH-SA700鋼材の「廃材の性能試験」なども行い、ゼミの学生たちにも実験に参加してもらっています。
炭素繊維やH-SA700を利用して、耐震性能の高い建物を作ろうという研究です。ゼミの学生は自らのアイディアを基に、紙模型を作ったり、実験を繰返しています。
と同時に、私はゼミの学生に資格を取るように勧めており、そのための指導も行っています。