現代社会が抱えている多くの課題を解決するにあたって、工学が果たす役割がきわめて大きいことはいうまでもありません。しかしながら、これからの工学は、医学、情報、生命など多分野の知識も必要となります。このため、工学技術者をめざすには異分野の教養と広い視野をぜひ身につけて欲しいと思います。実社会では、工学技術者の条件に、問題点を発見して解決する能力とさらなる創造をするための要素と感性が求められています。このため、工学部のカリキュラムは、4年間の一貫した大学教育の中で、教養教育科目と専門科目との有機的連鎖を持たせるように学科科目を配分して作成されています。
教養教育科目は、本学の教育方針に基づいて、学部学科を越えて本学学生の共通の教養教育としての共通項目、放送大学との単位互換科目、および工学部共通科目で構成されています。
大学共通科目には、建学の精神と本学教育方針を伝える「自校教育論」、読み書き能力などの学習スキルを習得する「初年次セミナー」、人間としての生き方および基本的存在を相互に認め享受するための「人権論」、職業観の形成と情報収集の活用方法を学ぶ「社会倫理」「キャリアデザイン」、世界的規模で進歩する技術革新に対応し、国際舞台で活躍できる能力の育成を図るための「総合英語」「特別英語」「科学技術英語」や「ヨーロッパ文化論」などがあります。
また近年、地球的規模で温暖化や海洋汚染などの環境の悪化が問題となっています。工学技術者として環境問題に対処できる素養を身につけるために、「瀬戸内の環境と文化」、「地球環境科学」を設置しています。
注目していただきたい科目に「情報技術基盤」と「インターシップ」があります。前者は現在の情報化社会に生きる人にとって必修の情報理論と情報リテラシーに関する科目です。後者は、職業に対する意識高揚と職業観を明確に認識し、社会人として活躍するための基本的事項を体験することのできる、就職活動を考える上で有効な科目です。
工学部長 塚田 紀昭
「いきいきと生きよ」
取材後、塚田工学部部長に、座右の銘を聞いてみました。即答、「いきいきと生きよ」。
この「いきいきと生きよ」はドイツの哲学者、ゲーテの言葉。ゲーテは、常にみずみずしい新鮮な心で、現実をありのままに受けとめ、しかも現実におぼれることなく、理想をもってそれに対処した人でした。塚田先生は、この混沌とした現代にあって、常にいきいきと生きるために、このゲーテの言葉をご自身の座右の銘としてもち、また若き研究者に贈る言葉として持たれているようでした。
また、この「いきいきと生きよ」は鎌倉時代の禅僧、道元の言葉にもあると塚田先生。それは道元の記した「現成公案」のにあるようで、道元は人生の意味を「生き生きと生き抜くことにある。生命の火を思い切り燃え上がらせ、白熱化し、燃えつくして消える。一かけらの余燼をも残さない」。完全燃焼、それが道元の意図する人生であり、塚田先生の研究者、教育者としての生き方でもあるのです。