学部長メッセージ

工学部長 宋 相載

「製品ライフサイクル全体」を見渡す責任あるモノづくりが必要。

本学部には6学科がありますが、根底に共通するのは「モノづくりに徹底的にこだわる」という姿勢です。

ITの発展や経済のグローバル化により、『モノづくり』の概念も従来とは若干変わってきた気がします。すなわち「品質や機能性に優れた製品をつくり出す」という、従来の日本のメーカーが得意としてきた範囲のみが『モノづくり』ではなくなってきたのです。

昨今のユーザーは、一つの製品をできる限り長く使おうとします。そのために重要になってくるのは、メンテナンスなどのサービスが適切に行われるかどうか、です。単に製品を造るだけでなく、省資源や省エネルギーも視野に入れて、製品が寿命を迎えた後、どのように回収され、リサイクル・リユースされ、廃棄されるのか、というところまで見据えた製品企画・設計や材料調達が行われています。こうした視点をもつことで、製品本来の機能面と社会性・市場性を併せもつ、責任ある創造的な製品を生み出すことができると思うのです。

「物」を対象とするモノづくりから、サービスやリサイクルといった「製品ライフサイクル全体」を見渡したモノづくりへ。今後のエンジニアには、そういったことができる専門知識と視野が求められているのです。

「本物と出会う」体験が、エンジニアを成長させ、その夢を育む。

これからのエンジニアに必要な知識・スキルを養うには、3つの要素が重要だと考えています。

1つ目は「物事の本質を見極める目をもつ」。2つ目は「多くの『本物』と出会う」。そして3つ目が「大学4年間で『これだけは真剣に取り組んだ』と胸をはれる経験を積む」ことです。

中でも大切なのは「本物との出会い」でしょう。それは尊敬できる人との出会いかもしれませんし、人生の指標となる本との出会いかもしれません。本物に触れる経験はその人の価値観を変え、成長を促します。やがては「なりたい自分」という、大きな夢を見出すきっかけになるかもしれません。

もちろん、モノづくりの実践においても本物に触れる経験が重要です。「いいクルマをつくりたい」と思えば、最初にやるべきことは、一流と評されるクルマを見て、触れて感じることです。その体験があってこそ、イマジネーションが刺激され、革新的な製品づくりにつながっていくのです。

本学部では、例えば著名な建造物を見学に行ったり、一流と言われる市販の製品を使って分解・組立やモデリングを行うなど、学科ごとに工夫を凝らして、「本物に触れる」体験をしています。こうした実践的なカリキュラムが、学生の好奇心を刺激するのです。

「こうありたい」という理想を思い続ければ、やがて実現できる。

本学部では専門知識の養成ばかりではなく、心の教育にも重きを置いています。

モノづくりの現場では、人との連携、チームワークが不可欠です。自分の都合ばかりを優先するようでは、どんなに優れた能力があったとしても、調和のとれた人材とは言えません。仲間のために行動し、仲間の立場に気を配る。専門性に加えて、こうした「利他の心」を併せもつエンジニアを育成することが本学部の使命だと考えています。

ある著名な実業家は「人生は心に描いたとおりになる」と言っています。まず「こうありたい」と思い続ける。そうすれば計画が生まれ、計画があると実行が伴います。そして実行によって成果が現れ、成果は人に幸福感を与える。まさに「描いた通りの人生になる」というわけです。

学生の中には、目標とする自分の姿が描けない人も多いでしょう。不安に思うことはありません。大学生活の4年間を通して見つければいいのです。そして見つけた目標に向かってひたすら努力し、「なりたい自分」を実現してほしいです。私たちは、学生の心を揺さぶるような教育・指導によって、強い意志をもった学生を一人でも多く輩出していきたいと思います。

来日事今日行 今日言来日話

「明日することは今日行う。今日言うことは明日話す」という意味の中国のことわざです。行動することの重要性を語りかけています。
「行動」にあたっては、明日の予定まで今日行ってしまうくらいの意気込みで取り組んだほうがよい。逆に「発言」にあたっては、今日言おうと思ったことをいったん飲み込み、一呼吸置いてから話したほうがよい。一時的な感情や勝手な思い込みから発した言葉によって、大きく信頼を失うこともあるのだから。
まさに私自身の信条を表した至言です。