学部長メッセージ

工学部長 久保川 淳司

確かな専門性を基盤として、多彩に創造力を広げる人材を育成。

工学部6学科は開設から約50年以上、モノづくりの基礎力・専門力を兼ね備えた人材を輩出してきました。今では多くの卒業生が、さまざまな分野で活躍しています。

いま、モノづくりを取り巻く環境は大きく変化してきています。例えば、かつて鉄の塊のような存在だったクルマも、ITが発展した現代においては、ほとんどの車種がコンピュータによって何らかの制御が行われています。このように車一台をとっても、特定の知識・技術だけでは製品にならず、複合的技術が必要となってきています。また、土木や建築の分野も同様で、例えば「自動運転を安全に行うための道路を建設する」といった具合に、インフラを創る場合でもITの活用や他領域との連携が不可欠になってきているのです。

無論、専門性をおろそかにしていいということはありません。機械であれ電気であれ土木であれ、自らのよって立つ基盤は確立しておく必要があります。各領域の表層をつまみ食いするだけでは、本質的なモノづくりは生まれません。自らの専門性をしっかりと高めながら、様々な分野に興味の翼を広げ、チャレンジする。そんな姿勢が、これからの技術者には求められています。

基礎力・専門力を磨くためのフィールドを用意。

本学部では基礎力・専門力に加えて、自ら学び考え行動する力、つまり「人間力」育成に主眼を置いたカリキュラムを多彩な形で実施しています。その場は、講義室内にとどまりません。

一例として小型レーシングカー「HITフォーミュラ」の開発プロジェクトがあります。また「HIT-EV」というチームは電気自動車を製作しており、全国的な大会で部門優勝するなど優秀な成果を挙げています。チームに参加しているのは、本学部を中心とする学生たち。スポンサー集めから企画、設計・製造にいたるまで、すべて自主的に行っているのです。彼らは互いの専門を組み合わせながら、ひとつのモノをつくりあげる、というかけがえのない経験を味わっています。

地元企業との産学連携にも、いっそう力を入れていきます。そのための全学的な仕組みとして、2018年4月に「HITスクエア(地域連携技術研究協力会)」が発足しました。大学保有の知識や技術を地域の課題解決に役立てようというもので、"工学"を軸に様々な学びへ発展させた本学において、工学部こそ率先して携わるべきと考えています。産業界との協力を通じ、学生は実際のビジネスを体験できます。そして学生が「地元には優れたメーカーがある」と気づくきっかけにもなるでしょう。

最先端の概念や技術、グローバル展開にも柔軟に対応。

本学部の中には、1年次の授業で、ラジオの製作を行う学科もあります。バラバラの部品をハンダコテなどで組み立てるのです。すると、学生たちは自主的に手を動かしていきます。わからないところがあっても自分で調べて解決してしまう。昨今は自分で何かを作ることが少ないせいか、とても新鮮に感じるようですね。
こうした経験がモノづくりには大切だと思います。努力の先に楽しさがあるとわかっていれば、困難な壁も自力で乗り越えようとする。その能力は、モノづくりに携わる者にとってかけがえのない財産となるはずです。最近は「数学や物理は苦手」と拒否反応の強い学生も少なくないのですが、それらの基礎学問を身に着けることで面白さを体験できると思えば、進んで学ぶようになるでしょう。

AIやIoTなど新たな概念や先端技術が導入され、モノづくりの有り様そのものが革新されています。一方、少子化による国内市場の縮小で、モノづくりはどんどん海外に飛び出しています。そうしたグローバルな展開にも対応していかなければなりません。
時代の流れをにらみつつ、主体性を持って新たな技術・価値の創造にまい進できる人材を育てたい、と思います。

「チャレンジして失敗を恐れるよりも、何もしないことを恐れろ。」

本田技研工業株式会社の創業者である、本田宗一郎氏の言葉です。人は失敗を恐れるあまり、できない理由を探してチャレンジしないという選択を取りがちです。
チャレンジして失敗をしなければ、改善しようという意欲もわきませんし、新たな知見を得ることもできません。
何もせずその場に留まり続けることは、全体的に見れば挑戦して失敗するより悪いことです。
私は、失敗を恐れず、常に新しいことにチャレンジしていこうと心がけています。