学部長メッセージ

環境学部長 小黒 剛成

環境を広い視野でとらえる。

広島工業大学が日本で初めて「環境学部」を開設したのは1993年。かつて日本は、モノこそ幸せに直結すると考え、生産力増強や経済発展にまい進してきました。それにより快適な生活を実現する一方、大気汚染、水質汚濁といった自然破壊を加速させてしまったのです。そうした状況を思えば、ものづくりを支えてきた工業大学に環境を守る学部が誕生したのは、必然とも言えるでしょう。

本学部の特徴は「自然環境系、社会環境系および人間環境系の各分野を融合した新しい概念の上に立って、環境問題を総合的視野でとらえられる人材」を育成する点にあります。一つの方角からだけでは、環境の全体像は把握できません。さまざまな学問領域を融合した総合的視点で考える姿勢が不可欠なのです。

建築デザイン学科では、理性や感性を人間工学的に活かした住まいやインテリアなど、「身近な住環境」について学びます。一方、地球環境学科が対象とするのは、気象や自然、生態系に加え、地球規模の情報取得や活用方法など、マクロな環境。身近な環境から地球規模の環境までを網羅する本学部には、「ここでなら広い視野で環境をとらえ、研究できる」と、日本各地から学生が集まっています。

「身近な環境」から「地球規模の環境」までを網羅。

2016年4月、環境デザイン学科を改組し「建築デザイン学科」を新設しました。住まいは心の豊かさに影響する、最も身近な「環境」。そういった質の高い居住環境を実現するスペシャリストの養成を目指しています。建築を中心に、住まいと環境の調和、安全性や利便性に関する配慮、価値を維持する管理手法と、暮らしのプロデユースに必要なさまざまな知識を修得します。

「地球環境学科」では、気象・自然災害などの地球科学分野と、生態、資源循環などの環境共生分野、空間情報、情報活用などの環境情報分野で研究を深めています。パラボラアンテナを活用し、人工衛星の情報を独自収集して環境を分析する、といった研究をやるところは、あまりないのではないでしょうか。

複雑化・広範囲化する環境問題に、有効な解決策を見出す人材を育成。

情報家電機器などを買うと、以前はダンボールに発泡スチロールをいっぱいに詰めて緩衝材として使うのが当たり前でした。しかし最近は、ダンボール一枚に折り目を入れ、衝撃を防ぐような立体構造にして梱包するケースが出てきています。そうすれば、発泡スチロールは不要となりゴミを減らせますし、ダンボールであればリサイクルできますね。この工夫のベースにあるのは、工学的知識です。ダンボールをどのように折れば強度を保てるか、という考えは、工学を知らなければ実現できません。工学という基盤がある本学部では、そういった発想も養えるのです。

環境問題は、いっそう複雑化・広範囲化しています。地震や洪水、異常気象といった自然要因の問題も頻発するようになりました。加えて、温暖化、砂漠化、酸性雨、オゾン層破壊、森林減少、土壌汚染、動植物絶滅、景観破壊といった問題に、私たちは有効な策を見出せていません。これらの大半は、人為的要因から引き起こされたものです。ですから、なんとしても人間の知恵で解決すべきでしょう。

多様な環境問題に対し、広い視点から解決策を見出す。そんな能力を持った人材を育成していきたいと思います。

聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥。

どれほど知識があり、技術があっても、それだけで多くの人を豊かにする研究はできません。研究を通じて社会に貢献しようと思うなら、まず社会の人々はどう考えているのかを知ることです。高度な成果を出す研究者こそ、コミュニケーションを大事にしているもの。「誰かに教えを請うなんて恥ずかしい」などと感じるのかもしれませんが、狭い視野で独りよがりの研究を続けることの方が、よほど恥ずかしいですよ。