広島工業大学の大学院は、グローバルな視野を持った研究者の養成をめざして1989年に開設されました。近年、大学の学部教育だけでは補完できない高度な技術者教育を行うために、大学院までの一貫した教育体制がますます重要視されてきています。科学技術の急速な発展は、高度で独創的な基礎研究の推進と、これらの技術の第一線を担うべき研究者や技術者の育成を要請しているのでしょう。
こうした背景のもと、本学では2008年度に工学研究科と環境学研究科の2研究科を1研究科に統合し、工学系研究科として改編しました。工学系研究科においては、前期課程で「高度な専門的知識・能力を持つ高度専門職業人の養成」、後期課程では「高度な研究能力と豊かな学識を有した人材の育成」を、人材育成目標として掲げ、各専攻の教育目標を明確にするとともに、それを実現させるカリキュラムを編成しています。
大学学部での卒業研究を大学院でも続けたいという学生の場合、3年生の後期に卒論の前段階として専門ゼミが始まりますので、研究期間として実質3年半の時間が与えられます。 学部で学んだ知識をある特定の分野に特化させていくことが十分可能となるわけです。本学の大学院生は、学会での研究発表を行っており、それを可能にする指導体制がしっかり整えられています。
大学院は、学部で学んだことにさまざまな角度からの思考を取り入れることにより、次の段階へとステップアップしていく場でもあります。そのために、研究したい明確なテーマとともに、テーマへアプローチする方法やアイデアをどれだけ持っているかが大切なポイントになります。大学院は、単に高度な講義内容を学習する場ではなく、自らのアイデアを駆使して、さらにその上にある研究ステージにたどりつくための場なのです。
学部で研究することの面白さを知り、テーマを見つけた学生は大学院に進んできます。指導する側の教員としては、その面白さをより深める内容をいかに提供できるか、それが役目だと思っています。学部で見つけたテーマも、見方を変えることで、ずいぶんと違って見えてくるはずです。
たとえば、コーラの缶。横から見た時には「長方形」に見えるが、上から見たら「円」に見えるなど、 同じ何かを見ても見方を変えると全く違ったものに見えます。見方を変え発想を変えることにより、 研究をさらに面白く深めることができます。
今までの視点に無い新しいものを創造していく、これが大学院に求められています。
大学での4年間は、たくさん学んでたくさんの知識の引き出しを持つための期間です。その引き出しを使って新しい発想や考え方を導き出し、それを活かしていくのが大学院だと思います。引き出しが無い、点の無い人にはそれができません。引き出しは点であり、点をいかに結びつけて線にし、その線をいかにして面に、その面をどう立体にするか、そこから発想が出てくるわけです。常に考え、アンテナをはっていることが大切です。 学生には、無駄なことはひとつも無いのだからあらゆることを経験しなさい、とも言っています。 引き出しを多く持つほど、発想豊かで人としての深みが出てくるものです。
大学院へ進もうとする学生へ
「為せば成る為さねば成らぬ何事も成らぬは人の為さぬなりけり」
何事も目的意識を持って進んでいかないと開けていきません。
いつも何かを求めている、そういう姿勢が必要です。
「See and Do」まず、やってみよう!
「100を頭で考えても実際にやってみないとゼロと同じ」ということです。
工学系研究科長 米沢 良治