学部長メッセージ

最先端の研究環境で、「食」「バイオ」「医療」の課題に取り組む。

2017年9月、広島工業大学に27号館・生命学部棟が完成しました。27号館には食品研究用の加工室、試作・官能検査室、食品機能健康評価室、微生物培養室などがあり、また動物細胞実験室、植物細胞実験室、微生物細胞実験室、化学分析実験室、恒温・低温実験室といった生命科学系の実験環境も用意しています。実験スペースも、食品科学系・生命科学系の学科としては有数の広さです。
生命学部が従来から使用している26号館には、人工透析装置、人工心肺装置、人工呼吸器など手術や診療の現場で活用される機器が揃い、現場同様の医療技術を学べます。ここに27号館が加わったことで、いっそう充実した研究を行う体制が整いました。この環境を活用し、倫理観と実践力を伴った人材を輩出していきたいと考えています。
2050年には世界人口が100億人近くまで拡大すると予測される中、「食」と「医療」への「安心」と「安全」は全世界共通の課題です。全ての人々が健やかに過ごせる、そんな世界を創出するには、「食」と「医療」の諸問題を乗り越えなければなりません。生命学部の存在意義も、そこにこそあるのです。

生命学部長 吉本 寛司

「工学」というバックボーンが、大きなアドバンテージになる。

生命学部には、生体医工学科と食品生命科学科の2学科があります。生体医工学科は、基礎医学に加え電気・電子工学や情報処理・制御工学の知識を持った「臨床工学技士」の養成を目標としています。一方、食品生命科学科では、食品科学・生命科学の2つの専門分野において、微生物や植物が示すバイオテクノロジーを修得し、新食品開発・製造や流通・管理に携わる「食の専門技術者」を育てます。
両学科とも特徴的なのは、「工学の歴史を持つ大学でライフサイエンスが学べる」点でしょう。食や医療に関する分野でも、工学的知識が求められるシーンは少なくありません。例えば臨床工学技士が扱うのは、高度な医療機器です。これらの操作・保守・点検を行うには、機械的・電気的特性や情報処理の知識が欠かせません。食やバイオにおいても同様で、例えば工場内で農産物を生産する植物工場などでは、工学と食・バイオに関する知識が必要とされます。食品開発における機能性評価や、食品製造での設備制御・管理など、工学が活躍する場面は多々あるのです。本学の工学の土台があれば、そうした際にも迷うことがありません。これは広島工業大学生命学部の大きなアドバンテージではないでしょうか。

地域との関わりの中で、実践力が養える。

地域の現場との結びつきが深い、という点も特徴の一つです。
生体医工学科には、臨床工学技士の資格を持ち、現場で働いた経験を持つ教員が複数います。また1~2ヶ月に1度、現役の臨床工学技士を招き、実際の医療現場の声を聞く機会も設けています。そして6週間の実習の中で、学生は医師や看護師などのメディカルコワーカーと連携するチーム医療の一員としての経験を積みます。これを通じ、高いコミュニケーション能力を持った臨床工学技士が育つのです。
食品生命科学科では、地元企業と組んで進める研究が豊富にあります。広島県には清酒、味噌、ソース、酢、パンなど、醸造・発酵技術を用いる食品メーカーが多く存在します。これらの企業と協力し、地元の海山で採れた産物を活かした新商品開発に取り組むのです。学生ならではのフレッシュな発想・視点を、地元企業も高く評価してくれています。
工学というバックボーンのもと、実社会との関わりを活かしながら、学生の持つパワーを引き出し、豊かな教養や高い専門性を育んでいきたいと思います。知識やスキルはもちろん、生命に対する高い倫理観を持った、品格のある社会人の輩出によって、地域の期待に応えます。

初志貫徹

私は子どもの頃から研究者になりたいと思っていました。小学生の夏休み、理科の自由研究のテーマを自分で決めて研究し、賞をもらったほどです。
就職後は一貫して神経薬理学の分野で、アルコール依存に関する研究を続けました。研究にもトレンドがあるので、他の研究に鞍替えしようか...と心移りしそうな時期もあったのですが、今は続けてきてよかったと感じます。研究は一貫性、持続性が問われる。長く携わって見えてくる真理というものがありますから。
ブームに流されず、自分で見出した価値を大切にする。品格とはその過程で醸成されるものです。