第6回「広工大が選んだプロジェクトX」(講演会)を開催しました。

2009年07月06日

6月30日(火)、第6回「広工大が選んだプロジェクトX」が、Nexus21 デネブホールで開催されました。講師は、2005年11月放送「NHKプロジェクトX」出演の東日本旅客鉄道株式会社 IT・Suica事業本部 副本部長の椎橋章夫(しいばし あきお )氏。
「Suica(スイカ)が世界を変える -新しい社会インフラ創造への挑戦-」というテーマで、ICカードの開発と導入、そして、今後の展開をお話しいただきました。 

NHK放送のVTR上映後の講演冒頭では、日本国内はもとよりシベリア鉄道も全線走破したという根っからの鉄道好きと自らを紹介。そのような椎橋氏が国鉄に入社し、車両に関わる仕事に就いて10年、『民営化』により突然会社がなくなるという事態に直面。車両とは無縁の部署への配属。民間会社では、企業理念を唱和し、利益は「収入-(引く)経費」であることを知り、意識改革を余儀なくさせられ価値観が180度変わったと話されました。
そして、一人称「私」を主体として考えるようになり、「私が変われば会社が変わる!」何でもやってみるチャレンジ精神が芽生えたそうです。この価値観の変化が、Suica誕生のきっかけとなったわけです。

460億円という巨額の資金を投じてスタートした「Suicaプロジェクト」。ICカードの研究開発だけでなく、12億3千万通りの運賃検証、一夜での約1万台のIC切り替えなど、導入直前まであらゆる困難が立ちはだかりました。

「Suicaの開発・導入は『失敗の歴史』でもある」と言い切られるほどの失敗の連続。それでも果敢にチャレンジを繰り返し、ついに夢を実現されました。

「進歩には挑戦が必要ですが、失敗に終わることも多いようです。しかしながら、その失敗を共有化することで同じ失敗を未然に防ぐことができる」と、常に全体を見ながら仕事をすることの重要性を説かれました。

また、「失敗は人を育てる」とも。失敗を恐れず何でもやり失敗を多くしてきた人は、想定外のことが起きても柔軟に対応でき、乗り切ることができると、自らの体験を振り返り説得力のある口調で力強く語られました。

今後の展開戦略として、利用者の生活情報を蓄積し、顧客の生活スタイルを変える「生活のバリアフリー」などを提案。Suica利用者はPASMOとの相互利用で一気に増加し、現在も着実に増え続けていると、顧客数推移のグラフを示された後、Suica利用者の移動データを「見える化」した動画も紹介。山手線から広がっていく利用者の様子をペンギン「スイッピ」の行列で表したユーモアのある動画に、満席の場内からはどよめきが起こりました。

最後は『Suicaの雑感』を話され、『ものづくり』のキーワードを三つ(「人」「心」「物好き」)挙げられました。
「人」については、最後は人と人とのつながりであり、多くの視点を持ち、自分は組織の中にいるという意識が重要とのこと。「心」とは、好奇心と大きな志を持って夢を抱くことであり、「物好き」とは、社会貢献、不屈の精神で、敢えて困難に挑戦することのできる人と表現されました。

また、人間の特権である「2つの喜び、すなわち、1.ものを作って完成させた時の喜び 2.人に尽くした時に得られる喜び」についても触れられ、技術者である椎橋氏はチャレンジを繰り返してきたことにより、両方の喜びを感じることができたと話されました。

今回は学生へのメッセージだけでなく、教職員へも「是非とも『心を育てる』教育を」とのメッセージもいただきました。

壮大なプロジェクトを実現させた強い信念と情熱の持ち主であることを感じさせないほど、終始穏やかな口調で話された椎橋氏。現在も第一線で活躍され、50歳で博士号を取得するなど、これからも「3つのキーワード」を実践しつつ「真のサービス」を提供することに尽力されることと思います。

 <開催趣旨>
この講演会は、学生のチャレンジ精神や職業教育の向上を目的としたキャリア形成支援の一環として毎年6月に開催しています。講師には、エキサイティングなプロジェクトに取組み、困難な局面を克服し、目的を達成された企業の担当者をお招きしています。

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《超満員のメイン会場》

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《意識改革について語る椎橋氏》

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《質問に答える椎橋氏》