JICA集団研修「国家測量事業」において本学の研究紹介と施設見学が行われました。

2011年05月13日

2月3日(木)、JICA(独立行政法人・国際協力機構)の集団研修の一環で、開発途上国6ヶ国の専門家が本学を訪れ、環境学部地球環境学科・菅雄三教授の研究紹介と、地球観測ステーション等の施設見学が行われました。参加者の皆さんはそれぞれ国家機関で主に測量の仕事に従事している方々で、菅教授の研究発表にメモを取りながら熱心に耳を傾けておられました。様々な国から集まったメンバーのため、進行は全て英語で行われました。

ケニア、フィリピン、ドミニカなどさまざまな国の方々が集まりました。

ケニア、フィリピン、ドミニカなどさまざまな国の方々が集まりました。

開発中のアプリケーションについても概要を紹介する菅教授。

開発中のアプリケーションについても概要を紹介する菅教授。

最初に人工衛星リモートセンシングについての機能や応用方法などについての説明が行われました。高分解能衛星データの仕様や、その応用である災害監視と分析方法についての説明には、メモを取ったり、コンパクトデジカメでスクリーンをキャプチャしたりする参加者も見られました。参加者の興味の高さがうかがえます。
続いて、リモートセンシング技術の応用分野についての紹介も行われました。例えば、土砂災害のマッピングを行うこともできます。平成22年7月の広島県庄原市豪雨被害の分析を基にその機能を説明。「従来の航空写真では限られた範囲しか撮影できないため、リアルタイムで広範囲の災害状況の把握が出来ません。災害復旧・支援のためには広範囲での即時的な分析が要求されます。そこで衛星画像から分析する方法が力を発揮するのです」と菅先生。ケニア、フィリピン、ドミニカからの参加者は土砂災害の分析について大変興味があります、とメモをとることに余念がありませんでした。次に広島市を対象とした衛星データから、浸水の危険予測マッピングについて説明。フィリピン、ミャンマー、スリランカからの参加者は、浸水危険予測システムに最も関心がある、と感想を述べていました。

「新しい衛星の分解能は1キロメートルですか?」「いいえ、0.7メートルです」参加者の質問に菅教授が答えると、その精度の高さに皆さん感心して何度も聞き返していました。

「新しい衛星の分解能は1キロメートルですか?」「いいえ、0.7メートルです」参加者の質問に菅教授が答えると、その精度の高さに皆さん感心して何度も聞き返していました。

「雨の多い日本では、土砂被害は非常に典型的な災害なのです」と開発のきっかけを話す菅先生。

「雨の多い日本では、土砂被害は非常に典型的な災害なのです」と開発のきっかけを話す菅先生。

開発途上国ではどの国も災害対策には真剣に取り組んでいます。菅教授の開発した衛星画像の3Dビューワは災害分析・予測に非常に便利なので、日本でも国の機関が採用を検討していると紹介すると、各国の代表からも感嘆の声が上がりました。
研究紹介の最後は、開発中のアプリケーションの概要紹介です。宮島周辺の高解像度衛星画像を解析すると、海上のカキいかだの数が瞬時に計算されます。海域別にカキいかだの数を把握するのは現状では、手間の上でも時間の上でもコストの高い仕事です。それがリアルタイムに把握できるとなると、自治体のみならず漁業関係者にとっても有益なシステムとなるでしょう。
現在開発が進められているもう一つのアプリケーション「農業分野」については広島県の米どころの一つ、東広島や安芸高田市をモデルにデータ解析を行っています。稲の生育状況が衛星画像を使って分析できるのです。特に梅雨の時期は航空写真では雨雲が遮って見えません。レーダー衛星データを使えば、広い範囲の生育状況を天候にかかわらず取得・解析することが出来ます。

「東広島のお米から作られる有名な特産品は何でしょう?京都、神戸と並ぶ・・・」菅教授のクイズに「日本酒!」と声が上がりました。

「東広島のお米から作られる有名な特産品は何でしょう?京都、神戸と並ぶ・・・」菅教授のクイズに「日本酒!」と声が上がりました。

その他、この日は地殻変動検出画像や3次元数値標高検出画像、観光のためのマッピングシステムなどが紹介されました。海外の専門職の皆さんからも高い評価を得た本学・菅教授の高度地球環境情報研究センターの研究成果は、日本国内に留まらず今後も広く世界の人々に役立つものとなるでしょう。

環境学部地球環境学科 菅研究室紹介