2011年07月12日
呉市中心部の北にそびえる灰ヶ峰。その山頂付近に、白い球体を屋上に付けた建物が建っています。これは広島地方気象台灰ヶ峰レーダー観測所という施設で、レーダーにより雨や雪の位置や密度を測定し、そのデータは日々の天気予報に活用されています。普段は無人で運用しているのですが、今回、施設の定期点検が行われるということで、特別に見学させていただけることになりました。気象予報士の資格を持つ田中健路先生(環境学部地球環境学科)の引率のもと、地球環境学科を卒業し、工学系研究科環境学専攻に所属の大学院生2名が、大学院生向けの授業「自然環境システム」の一環で観測所を訪れました。
標高737m。呉市街が一望できます。
右の建物が灰ヶ峰レーダー観測所。
現地では気象庁の方にご案内していただきました。まずは、レーダーを制御している装置がある部屋に。レーダーで受信したデータを制御する信号処理装置や制御監視装置などが整然と並んでいました。パソコンの画面には現在の雨雲が表示されています。中国地方には松江と広島(灰ヶ峰)の2つの気象レーダーがあり、それぞれ最大半径400kmの領域をカバーすることができます。レーダーから発射した電波がはね返ってくる時間や電波の強さから、雨や雪の位置や密度を測ることができます。このようなレーダー観測所が全国に20か所あり、国土のほぼ全域をカバーするように配置されています。
レーダーは、約100km先にある愛媛県佐田岬の風力発電装置の動きも感知してしまうそうです。
いよいよドームの中へ。
続いて、傾斜の急な階段を上りドームの中へ。中には直径4mのパラボラアンテナが中央にそびえていました。このアンテナは平成21年に新しく入れ替えられたもので、現在のもので4代目。普段は無人の施設ですが、月1度程度、点検・清掃を行っているそうです。そのスケール感、そしてこれだけのものを無人で制御しているリモートセンシング技術に、大学院生たちも感心しているようでした。
さらに、特別にレーダーを回転させてもらいました。アンテナは1周15秒のスピードで回転しますが、その大きさのせいで実際にはとても速く感じます。回転しながら仰角の調整をすることも可能です。ここから出た電波により何百kmも先の雨粒の量を知ることができる、そして台風や集中豪雨などの災害対策に役立っている―この事実に、大学院生たちもあらためて感銘を受けているようでした。
普段は無人のため、アンテナの動きは東京で制御しています。
レーダーは1周15秒のスピードで回転します。
ここのレーダーがなくて特に困るのは大分県だそうです。福岡のレーダーからは山の裏側になるため。
雨と雪の違いは、気温やレーダーに映る形により判別しているそうです。
見学した大学院生の松田修君(工学系研究科環境学専攻)は「レーダーの大きさに、そして遠くの海面の波の動きまで拾う精度に驚きました」高草聖司君(工学系研究科環境学専攻)は「この学科は環境共生、環境情報、地球科学など、地球環境について幅広く学べるところが面白いところです。今日は実際の天気予報に役立っているレーダー観測所を見学でき、うれしかったです」とのことでした。
「地球環境学科はさまざまな分野のプロフェッショナルの先生がそろっており、研究に対して熱い先生が多いのが特徴です」と松田君。
「4月から大学院に進学しました。先生に近い位置で教えを受けながら、より深い研究ができるところが大学院の魅力です」と高草君。
「教室や論文ではわからないところ、実際に現場では何が起こっているのかを、目で見て肌で感じることは大切なことだと思います」と田中先生。