2012年01月06日
11/26(土)と11/27(日)の2日間、広島工業大学 講義棟「三宅の森 Nexus21」にて、日本情報経営学会 第63回全国大会が開催されました。
テーマは「私たちの暮らしはICTで本当に豊かになったか ~豊かな暮らしのための情報通信技術~」。インターネット、スマートフォン、デジタル家電、わたしたちの暮らしのあらゆる部分に影響を及ぼしている情報通信技術(ICT:Information and Communication Technology)は、現代人にとって無くてはならない存在となっています。このICTがはたして本当に暮らしを「豊か」にしてくれているのか、もう一度見つめ直してみようということで、このテーマが掲げられました。
まず、この学会の実行委員長を務められた、本学情報学部情報工学科 長坂康史先生にお話を伺いました。
「例えば旅行の際にチケットを購入するとき、ICTの発達のおかげで豊富な選択肢の中から、好きなプランを選ぶことができます。ただ、納得のいく結果にたどり着くまでに、今までより時間がかかっているかもしれません。果たして、これは便利になったと言えるのでしょうか。私たちが情報通信技術に振り回されることなく、それを積極的に活用していくためには、常に研究者が発信・提案することが重要である、そうした視点から今回のテーマを掲げることにしました。全国規模の学会ですから、参加した若手技術者や学生は大いに刺激を受けてほしいですね」
受付では広島工業大学の学生がお手伝い。学会の規模感を身近に感じることができます。
26日午前中には、7つの会場で自由論題セッションを開催。活発な議論が交わされていました。
日本中から多くの研究者が広島工業大学に集まりました。
今回の学会の実行委員長を務められた長坂先生。
26日の統一論題セッションでは、今注目を浴びている「スマートグリッド」というテーマで講演が行われました。まず、村上憲郎事務所代表であり元グーグル日本法人名誉会長の村上憲郎さんが登場、「スマートグリッドが切り拓く新生スマートニッポン」というテーマでご講演いただきました。
「スマートグリッド」とはその名の通り「スマート」(賢く)に電力網を制御すること。インターネットなどの情報網と電力網を束ね、電力をより効率的に制御していこうということが目的です。村上さんは、資源エネルギー庁のスマートメーター制度検討委員会にも名を連ね、情報産業の立場からスマートグリッド化の推進に携わっています。
講演では、インターネットから消費電力を制御し、その「見える化」を進めていく必要があること、その実現のための重要な機器「スマートメータ」の導入について、お話がありました。日本では、2020年までにインターネットに接続した電力計「スマートメータ」を、全ての世帯に導入することが予定されています。「新しい電力システムをつくるということは、そこに新しいビジネスチャンスが生まれることになる」と若手技術者にエールを送られていました。
講演後の村上さんにお話を伺いました。
「東日本大震災により危機的状況に陥った電力供給体制。犠牲者の方々に報いるためにも、スマートグリッドを推進していかなければならないと考えています。この問題は、電力分野に閉じずに、インターネットを介してあらゆる分野に結び付いていきます。若い人たちは、この転換点をチャンスと捉えてほしいですね。しかも、必要な技術はすべて既存の技術で賄うことができます。だから、若手技術者にはアイデアと方向性、そして勇気を持ってチャレンジしていってほしい。現在、広島工業大学で勉強している学生、そしてこれから広島工業大学を目指す高校生には、目の前にそういったチャンスが広がっていることを知ってほしいですね」
「スマートグリッド」の現状そして未来について、わかりやすくお話しいただきました。
講演にはたくさんの学生が参加、熱心に耳を傾けていました。
「このチャンスを生かし、日本をスマートグリッド先進国に押し上げたい」と村上さん。
村上さんの講演に続き、富士通の近藤克之さん、清水建設の沼田さんによる講演も行われました。(写真は富士通 近藤さん)
これからの私たちの暮らしと情報通信技術がどうかかわっていくのか、各所で活発な議論が交わされていました。また、村上さんのお話にもあったように、若手技術者がチャレンジできる場も多く広がっているということで、参加した学生たちにとっても実り多い学会になったようです。