小惑星探査機「はやぶさ」に込めた思い (財)広島地球環境情報センター 記念講演会を開催。

2013年03月12日

小惑星探査機「はやぶさ」。2010年、60億kmの旅を終え地球に帰還したはやぶさは、大気圏突入により自身は消滅しましたが、見事小惑星「イトカワ」より微粒子を持ち帰ることに成功し、日本中の人々を感動の渦に巻き込みました。
12月15日、はやぶさのプロジェクトマネージャを務められた川口淳一郎先生による講演会が開催されました。これは財団法人広島地球環境情報センターの創立20周年記念講演会として開催されたもので、広島工業大学も共催しています。会場となったリーガロイヤルホテル「瀬戸の間」は、300名の聴講者の方々でいっぱいとなりました。

会場となったリーガロイヤルホテル「瀬戸の間」の前には、開場前に多くの方にお集まりいただきました。

会場となったリーガロイヤルホテル「瀬戸の間」の前には、開場前に多くの方にお集まりいただきました。

講演に先立ち、広島地球環境情報センターの理事長でもあり、本学の学長でもある鶴先生が挨拶をされました。

講演に先立ち、広島地球環境情報センターの理事長でもあり、本学の学長でもある鶴先生が挨拶をされました。

川口先生には、はやぶさプロジェクトの7年間を振り返りながら、日本の科学技術の将来やイノベーションの創造法について、真面目に、時にユーモアをたっぷり交えながらご講演いただきました。お話の一部をご紹介します。

どうして"はやぶさプロジェクト"は成功したのか」と聞かれた時に川口先生は「苦杯をばねにした『意地』があったから」と答えられているそうです。すべてが成功しているわけではなく、失敗とまでは行かなくとも心残りがたくさんある状況のなかで、「捲土重来(けんどじゅうらい:一度敗れたり失敗したりした者が、再び勢いを盛り返して巻き返すことのたとえ)」や「今度こそは!」といった思いが積み重なって「意地」になり、プロジェクトの成功へと繋がったとのことです。

さらに、ご自身が務められたプロジェクトマネージャの仕事についてはこう語られます。「世間では、プロジェクトマネージャの仕事はスケジュールや予算を管理することと考えられていますが、私の場合はいかに優れたアイデアを思いつけるか、技術の実用化とトラブル解決をいかに進めるかが仕事の大部分を占めていました。トラブルが起こるたびに、いつも自分が解決策の第一案を出すことを心掛けながら、メンバーの意見を引き出すことを意識していました」その意味では、協調性に優れたリーダーはいないと語る川口先生。「プロジェクトを進めるためには、ポリシーを堅持しなければいけません。あらゆる人の言うことを聞いていたらプロジェクトは全く進まないのです

「最後まで目的を忘れないこと、自分たちを信じること、これがプロジェクトを成功に導いたと考えています」と川口先生。

「最後まで目的を忘れないこと、自分たちを信じること、これがプロジェクトを成功に導いたと考えています」と川口先生。

幅広い年齢層の方々にご参加いただきました。

幅広い年齢層の方々にご参加いただきました。

未来を担う若者に向けても多くの言葉をいただきました。例えば「現場が大切」という言葉。エンジニアは現場に足を運び事実を確認することが大切だということは、はやぶさプロジェクトの中でも感じられたそうです。さらに、ノーベル賞を受賞した山中伸弥先生と対談されたときも「とりあえず実験をすること。100の情報より1の事実を確認することが大切」とおっしゃっているのを聞き、強く共感されたそうです。そして「三日坊主のすすめ」というお話では、「なにより2日も頑張った、そして新たな1ページを探しに行っている」と新しいものを探す姿勢を評価されていました。

最後に、我々日本人に向けての言葉もいただきましたので、特に印象に残った言葉を二つご紹介します。一つは「やれる理由を探す」という言葉です。日本人は「石橋をたたいて渡らない」。つまり、やらない理由・やれない理由を探してしまいがちですが、「やれる理由」を見つけて挑戦しない限り成果は得られません。会議の最後に「こうすればできる」と発言できる人こそが本当に望まれる人なのです。
そしてもう一つが、「高い塔を立ててみなければ、新たな水平線は見えてこない」。日本には、トップに立った途端に、自分がこれからどうしたらいいかわからなくなってしまうような文化があります。でも、一番でなければいけない。やれる理由を見つけて挑戦し、一歩でも上へ昇れば、水平線はその分確実に広がる。今まで見えてなかったものが見えてきます。「ぜひ挑戦を忘れずに頑張ってほしい」という言葉で講演を締めくくられました。

「三日坊主のすすめ」をはじめ、独創力を育むさまざまな教育論は、川口先生の著書「はやぶさ式子育て法」で語られています。

「三日坊主のすすめ」をはじめ、独創力を育むさまざまな教育論は、川口先生の著書「はやぶさ式子育て法」で語られています。

質疑応答の時間も、気さくに、真摯にお答えいただきました。

質疑応答の時間も、気さくに、真摯にお答えいただきました。

会場運営を手伝っていた本学の学生・大学院生に話を聞きました。

当日は地球環境学科の学生や環境学専攻の大学院生が運営の手伝いを行っていました。

当日は地球環境学科の学生や環境学専攻の大学院生が運営の手伝いを行っていました。

「大学院生として、後輩を指導していく中で心がけるべき大切なことを教えていただきました」と松村君(左)(右は中川君)

「大学院生として、後輩を指導していく中で心がけるべき大切なことを教えていただきました」と松村君(左)(右は中川君)

「小惑星からのサンプル採取」という、かつて誰も為し遂げたことのないミッションを成功に導いた川口先生の言葉から、未知の分野にチャレンジしていくことの大切さ、挑戦し続けることの意味をあらためて教えていただきました。川口淳一郎先生、本当にありがとうございました。

広島工業大学 研究開発事業

地球環境学科

菅雄三ゼミ・研究室