動物園で学ぶ野生生物保護 地球環境学科の学生が動物と関わる仕事の最前線を訪問!

2016年02月05日

動物園は野生生物保護の場
広島市安佐北区にある広島市安佐動物公園は、ゾウ、ライオン、キリンなど貴重な野生動物を間近で見られるだけではなく、野生生物の保護・保全のために大きな役割を担っています。11月27日、環境学部地球環境学科の3年生が、野生生物の生態や生命現象の調査・実験を通して実体験する「環境生物実験」の授業で、広島市安佐動物公園を訪問しました。

安佐動物公園訪問には、担当の岡准教授と、地球環境学科の3年生12名が参加しました。

安佐動物公園訪問には、担当の岡准教授と、地球環境学科の3年生12名が参加しました。

動物園の役割とは?
普段訪れる動物園は、なかなか見ることのできない動物の姿を間近で見たり、かわいい動物たちと触れ合ったりして楽しむ場所ですが、「環境生物実験」の授業では、動物園を野生生物と関わる仕事の最前線ととらえ、専門の方々の仕事に接することで、生物の保護、保全には何が必要なのかを学んでいきます。
まず、飼育・展示課の畑瀬淳さんに、現代の動物園の役割について講義をしていただきました。広島市安佐動物公園では、設置目的の一つに「自然の保護(種の保存等)」を掲げています。例として、世界的な成果を上げているクロサイの繁殖を紹介。また、地元の野生生物の話題として、広島市中心部のビルの狭間で発見された絶滅危惧種オヒキコウモリの群れについても教えていただきました。
興味深く講義を聞いていた学生からは、「繁殖情報の交換など、海外の動物園ともやりとりがあるなら、英語力は必要ですか」「仕事の中で、飼育と研究の割合はどれくらいですか」「動物園の仕事のやりがいは」といった質問が出ました。

動物科学館2階ホールで行われた講義。動物園の役割である「種の保存」「社会教育」「調査・研究」について、スライド資料を見ながらわかりやすく講義していただきました。

動物科学館2階ホールで行われた講義。動物園の役割である「種の保存」「社会教育」「調査・研究」について、スライド資料を見ながらわかりやすく講義していただきました。

講師の畑瀬さんは、クロサイの飼育担当として1組の夫婦から10頭の繁殖を成功させたこと、日本や海外の動物園と連携して種の保存に取り組んできた経験談などを熱く語られました。

講師の畑瀬さんは、クロサイの飼育担当として1組の夫婦から10頭の繁殖を成功させたこと、日本や海外の動物園と連携して種の保存に取り組んできた経験談などを熱く語られました。

繁殖のために動物を貸し借りするブリーディングローンや、絶滅危惧種の動物を繁殖させて野生に戻す計画など、見学するだけではわからない動物園のグローバルな活動内容を知ることができました。

繁殖のために動物を貸し借りするブリーディングローンや、絶滅危惧種の動物を繁殖させて野生に戻す計画など、見学するだけではわからない動物園のグローバルな活動内容を知ることができました。

真剣な表情でメモを取りながら講義を受ける学生たち。飼育係は、飼育や繁殖状況の情報交換のため、動物園を超えた交流を行っていることなど、飼育現場の話は初めて知る話も多く興味深いものばかりです。

真剣な表情でメモを取りながら講義を受ける学生たち。飼育係は、飼育や繁殖状況の情報交換のため、動物園を超えた交流を行っていることなど、飼育現場の話は初めて知る話も多く興味深いものばかりです。

最高齢クロサイ「ハナ」に出会う
その後、動物園の見学順路に沿って、ペリカン、シマウマ、キリン、ゾウなどの飼育状況や各動物の裏話などを伺いながら見学し、一般公開されていない第二クロサイ舎へ移動しました。
ここで対面したのが、飼育環境下で最長寿のクロサイ「ハナ」。クロサイの飼育を担当する畑瀬さんの案内で、飼育舎の中まで入らせていただきました。建物の構造や飼育係の仕事スケジュール、また、近年の焼酎需要で飼料のサツマイモが調達困難になりパンに差し替えたことなど、経済状況の影響を受ける飼料事情の話まで教えていただき、学生たちも聞き入りました。

10頭の子を残した飼育クロサイ最高齢49歳のハナ。まだまだ元気いっぱいに走り回っています。

10頭の子を残した飼育クロサイ最高齢49歳のハナ。まだまだ元気いっぱいに走り回っています。

キリンの様子を間近で見られるキリンテラス。中央の樹木の葉がキリンのえさになりますが、園の環境条件下でよく育ち、キリンの体調に合うものを選定するのに時間がかかったことなど、苦労話も聞かせていただきました。

キリンの様子を間近で見られるキリンテラス。中央の樹木の葉がキリンのえさになりますが、園の環境条件下でよく育ち、キリンの体調に合うものを選定するのに時間がかかったことなど、苦労話も聞かせていただきました。

動物病院を見学
次に、園内の動物の診療施設である動物病院へ。軽トラックが入るくらい広い診察室では、獣医の野田亜矢子先生が、動物の一生を診る獣医の仕事について説明されました。乳がんにり患したライオンの大腿骨を手に、野生生物ならではの治療の難しさを語る野田先生の話から、野生動物と接する厳しい現実の側面を知ることができました。

動物園での病院の仕事について説明を受けました。病院には、多種多様な動物に対応するための特別に製作された救急処置用具が並んでいて、何かあればすぐに手に取り現場に駆けつけることができるようになっていました。

動物園での病院の仕事について説明を受けました。病院には、多種多様な動物に対応するための特別に製作された救急処置用具が並んでいて、何かあればすぐに手に取り現場に駆けつけることができるようになっていました。

薬品や治療機器が揃う診察室。学生たちは、緊張の面持ちでした。

薬品や治療機器が揃う診察室。学生たちは、緊張の面持ちでした。

「動物園の職員の方が行う研究について詳しく聞くことができ、とても勉強になりました。命の重みについても感じるところがあり、環境コンサルタントなどの仕事に就いたとき、忘れず活かしていきたいと思います」と小谷俊貴君。

「動物園の職員の方が行う研究について詳しく聞くことができ、とても勉強になりました。命の重みについても感じるところがあり、環境コンサルタントなどの仕事に就いたとき、忘れず活かしていきたいと思います」と小谷俊貴君。

「動物は人間のように治療できない、助けたくても助けられない場合があるという獣医さんの話が印象的でした。事業の前に環境への影響を検討する環境アセスメントの仕事に興味がありますが、生物や環境を保護したい思いがどこまで実現できるか、しっかり考える必要があることを感じました」と福島理穂さん。

「動物は人間のように治療できない、助けたくても助けられない場合があるという獣医さんの話が印象的でした。事業の前に環境への影響を検討する環境アセスメントの仕事に興味がありますが、生物や環境を保護したい思いがどこまで実現できるか、しっかり考える必要があることを感じました」と福島理穂さん。

「種の保存や動物の保全に取り組む専門家に現場の話を聞くことで、将来、環境保全や野生生物保護に関わる仕事を目指す学生たちに、生物保護のあり方や思いを学んでもらえたと思います」と岡先生。

「種の保存や動物の保全に取り組む専門家に現場の話を聞くことで、将来、環境保全や野生生物保護に関わる仕事を目指す学生たちに、生物保護のあり方や思いを学んでもらえたと思います」と岡先生。

動物と関わる仕事の「リアル」を知る
「環境生物実験」の授業では、毎年、広島市安佐動物公園を訪問しており、今年で4回目。この日は、小雨模様の寒い1日でしたが、動物と関わる仕事とはどういうものなのか、あらためて考えるきっかけとなりました。広島市安佐動物公園の皆さま、ご協力いただきありがとうございました。

地球環境学科