地球環境問題を身近に感じる 高校生が「地球環境セミナー」を体験。

2016年05月20日

高校生が地球観測技術を学ぶ
環境学部地球環境学科では、地球環境の現状を科学的に分析し、例えば、土砂崩れや洪水などの災害対策に役立つような技術や知識を身に付けることができます。さまざまな授業が行われていますが、その中のひとつに、地球を観測する人工衛星から送られてくるデータの処理や解析、利用方法などを実践的に学ぶ「地球観測論」というものがあります。「地球観測って、どうやるの?」「どんなことに役立つの?」「衛星データを見てみたい!」そんな高校生の声に応えるために、地球観測衛星データを用いた学習を体験する「地球環境セミナー~宇宙から地球を探る~」を3月12日に開催しました。

地球環境学科の菅先生は、(一財)広島地球環境情報センターの理事や(一社)日本リモートセンシング学会中国四国支部の支部長も務める地球観測のエキスパートです。

地球環境学科の菅先生は、(一財)広島地球環境情報センターの理事や(一社)日本リモートセンシング学会中国四国支部の支部長も務める地球観測のエキスパートです。

体験学習の講師は地球環境学科の小西先生。「地球観測は、地球の健康診断のようなもの。定期健診のように定期的な観測を行うことで、問題を見つけることができます」

体験学習の講師は地球環境学科の小西先生。「地球観測は、地球の健康診断のようなもの。定期健診のように定期的な観測を行うことで、問題を見つけることができます」

暮らしに役立つ人工衛星
はじめに、宇宙で活躍する人工衛星の種類と、地球観測衛星を利用したリモートセンシング技術(※)を学びました。衛星放送など"情報"を伝える「通信衛星」、GPSなど"位置"を測る「航行衛星」、環境・災害モニタリングや気象衛星など地球表面の"状態"を観測する「地球観測衛星」など、さまざまな目的の人工衛星が地球の周りを飛んで、私たちの暮らしに役立っています。
※遠く離れたところから対象物に触れることなく大きさ・形など対象物の状態を観測する技術。

3次元衛星画像地図作りを体験
次に、地球観測衛星から受信したデータの画像処理と、3次元衛星画像地図の作成を体験しました。地球観測衛星データを表示し、時期の異なるデータと比較することで変化を捉える環境分析、災害分析などを体験しました。

難しいところやわからないところは地球環境学科に在籍する学生がサポート。初めて使う専門的な画像処理ソフトも、スムーズに操作できました。

難しいところやわからないところは地球環境学科に在籍する学生がサポート。初めて使う専門的な画像処理ソフトも、スムーズに操作できました。

宇宙から見た広島市の画像を使って、自宅や学校の周辺を見てみよう。「700km上空から監ています。都市部と山などの自然が近いことがわかりますね」と小西先生。

宇宙から見た広島市の画像を使って、自宅や学校の周辺を見てみよう。「700km上空から観ています。都市部と山などの自然が近いことがわかりますね」と小西先生。

2013年8月の画像と2014年9月の画像を重ね合わせ、2014年8月に発生した広島土砂災害の状況を確認。被災した場所が色の違いで現れます。

2013年8月の画像と2014年9月の画像を重ね合わせ、2014年8月に発生した広島土砂災害の状況を確認。被災した場所が色の違いで現れます。

画像を3次元化すると、どの方向に土石流が流れたのかよくわかります。広島工業大学では、土石流の状態を3次元で分析できるシステムを研究・開発しています。

画像を3次元化すると、どの方向に土石流が流れたのかよくわかります。広島工業大学では、土石流の状態を3次元で分析できるシステムを研究・開発しています。

氷河についての講義を聴講
続いて、氷河研究のスペシャリスト内藤先生による体験講義「地球温暖化と氷河」が行われ、地球温暖化の実態と将来予測、地球上の氷河の分布、海面上昇の要因など、人間の活動によって引き起こされた地球温暖化によって世界各地の山岳氷河が融け、海面を上昇させつつあることを学びました。特にヒマラヤでは急激に氷河が融解し縮小、氷河湖が多数出現して、大洪水の危険にさらされているそうです。1994年に氷河湖から洪水が発生し、多くの犠牲者が出たブータンの話に触れた内藤先生。「遠い国の話でしょうか?」という問いかけに、高校生の皆さんは深く思いをめぐらせたようでした。

「大学では、目先の情報に振り回されず、本質を探究することが大切です」と内藤先生。

「大学では、目先の事柄のみに振り回されず、本質を探究することが大切です」と内藤先生。

大学の学びを体験した高校生の声
セミナー終了後、昼食を楽しんでいる高校生に、セミナーの感想を伺いました。
「災害の状況が画像で確認できるなど、人工衛星は私たちの生活にすごく身近なものだということを感じました」(落石愛莉さん/広島県立廿日市西高等学校2年)
「環境のことについて、もっと知りたいと思うようになりました」(今田悠月さん/広島県立廿日市西高等学校2年)
「講師の先生が楽しそうに教えてくれる様子が印象的で、自分も同じようにやりたいことをみつけて探究したいと思いました」(上総泰布さん/広島県立西条農業高等学校2年)

「専門的な体験実習もあって、楽しかったです!」落石さん(右)、今田さん(中)、上総さん(左)。

「専門的な体験実習もあって、楽しかったです!」落石さん(右)、今田さん(中)、上総さん(左)。

宇宙から社会に役立つ情報を提供する
体験実習の講師を務めた小西先生に話を伺いました。
「地上では分からない情報が、人工衛星の目を使うことでわかります。災害が発生したとき、いち早く救援を必要とする場所はどこか、どのように避難すればいいのかといった災害情報の提供など、宇宙から地球を見つめて社会に役立つ情報を提供できることがこの研究分野の大きな魅力。高校生の皆さんに興味をもっていただけると嬉しいですね」

リモートセンシング・画像処理が専門分野の小西先生。「人工衛星データの画像の美しさも魅力の一つです」

リモートセンシング・画像処理が専門分野の小西先生。「人工衛星データの画像の美しさも魅力の一つです」

次世代の技術者を育てたい
地球温暖化や自然災害などの地球環境問題は、とても身近で大切な問題です。このセミナーをきっかけに、地球環境問題に興味を持ち、将来は問題に立ち向かっていくような技術者が生まれることを期待しています。

地球環境学科

菅雄三ゼミ・研究室ページ

内藤ゼミ・研究室