不思議や驚きが科学への興味の第一歩 「青少年のための科学の祭典」に食品生命科学科の学生が参加しました。

2016年12月02日

科学の面白さを実験で体感
10月29日から2日間、広島市中区の広島市こども文化科学館にて、第22回「青少年のための科学の祭典」広島大会が開催されました。これは、科学のおもしろさを実感してもらうことで子どもたちの笑顔を生み出したいという趣旨のもと、財団法人日本科学技術振興財団・科学技術館の主催により平成14年からスタートした催しです。会場では、小学校・中学校・高校・大学、そして企業などがそれぞれ出展する実験ブースで、本物の科学技術を体験的に学ぶことができます。広島大会は、両日あわせて44のブースやワークショップが設けられ、たくさんの子どもたちが訪れました。
広島工業大学からは、生命学部 食品生命科学科の平賀先生と3名の学生が実験ブースを出展しました。実験テーマは「人工イクラをつくろう」です。

朝早くからたくさんの親子連れでにぎわうブース。先生も学生もいい笑顔で応えます。

朝早くからたくさんの親子連れでにぎわうブース。先生も学生も笑顔で応えます。

さわやかな秋晴れに包まれた広島市子ども文化科学館。

実験ブースでは、イクラの様な形と感触の、色とりどりの粒を作ります。

不思議な人工イクラ作りを体験
人工イクラは、ビーカーの中の着色された液体をスポイトで吸い上げ、別の液体の入った容器に1滴ずつ垂らして作ります。本物のイクラのように表面に膜が張って固まる様子に、参加した親子から「どうして固まるの?」「何でできているの?」といった質問が飛び出します。

〈人工イクラの作り方〉
スポイトで吸っていた液体は、アルギン酸ナトリウムを絵具で着色したものです。塩化カルシウムを溶かした溶液に、アルギン酸ナトリウム水溶液を落とすと、アルギン酸とカルシウムが結合して、その表面に水に溶けにくいゲルを形成し粒状になるのです。
今回の実験で作ったイクラは、絵の具を使っているため食べることはできませんが、食用として提供される人工イクラも、同様の工程で作られています。

このアルギン酸ナトリウム、聞きなれない人も多いと思いますが、実は、アイスクリームやゼリー、ソーセージなど、とても身近な食品に増粘材として使用されています。また、海藻に由来する食物繊維のひとつで、血糖値上昇抑制効果などがあるといわれており、広島工業大学の食品生命科学科でもその機能に着目し、研究が行われています。

「なんで丸くなるの?」「不思議だね」実験を通じて子どもたちが不思議に感じたことについて、学生が詳しい解説をします。

「なんで丸くなるの?」「不思議だね」実験を通じて子どもたちが不思議に感じたことについて、学生が詳しい解説をします。

意外と難しいスポイトの使い方。実験器具の使い方や水溶液の作り方などを学生たちに教えてもらい、上手に落とせるようになると目が輝きます。

意外と難しいスポイトの使い方。実験器具の使い方や水溶液の作り方などを学生たちに教えてもらい、上手に落とせるようになると目が輝きます。

大学での学びを生かしたい
今回、ブースを運営したのは、石井秋穂さん(平賀ゼミ・3年生・広島県立廿日市高校出身)と、中光千雅さん(2年生・山口県立田布施高校出身)、佐々木茉穂さん(2年生・広島県立向原高校出身)の3名の女子学生です。
中光さん「将来は、大学で学んだことを生かして、食品開発の仕事に就きたいと考えています。これから、アルギン酸など機能性成分の働きをもっと勉強していきたいですね」
佐々木さん「大学では、これからの高度な研究に必要となる基礎を学んでいるところです。今日は、これまでに学んだ知識を思い出しながら、できるだけわかりやすく説明できるように心掛けました。将来は、人と関わる仕事を希望しているので、子どもや保護者の方々とお話できるのはとても勉強になります」

興味をさらに広げる工夫
石井さんは、昨年もこのイベントに参加したため、人工イクラを触ってもらったり、さらに踏み込んで、アルギン酸ナトリウムの持つネバネバ成分について説明したりと、子どもたちの興味をさらに引き出すような説明を行っていました。「目を輝かせた子どもたちとまた会いたくて、今年も参加しました。化学の食品分野への応用については2年生までにしっかり学んできたので、今年は詳しく説明することができました」

石井さんの「触ってみる?」の声に集まる子どもたち。できあがった人工イクラに興味津々です。

石井さんの「触ってみる?」の声に集まる子どもたち。できあがった人工イクラに興味津々です。

食品生命科学科の(左から)石井さん、佐々木さん、中光さん。大学では、食品科学や生命科学について学んでいるため、人工イクラの作り方や、アルギン酸ナトリウムの機能性成分について、専門的な視点からも説明することができます。

食品生命科学科の(左から)石井さん、佐々木さん、中光さん。大学では、食品科学や生命科学について学んでいるため、人工イクラの作り方や、アルギン酸ナトリウムの機能性成分について、専門的な視点からも説明することができます。

「学生が子どもたちに教えることは、大学で学んだことの復習につながります」と平賀先生。

「学生が子どもたちに教えることは、大学で学んだことの復習につながります」と平賀先生。

理科離れは親子で楽しむことで防げる
イベントへの参加は、今回で5年目という平賀先生は「イベントでは、お母さん、お父さんとの会話を重視しています」と話してくれました。「ご両親が理科や実験を楽しめば、おのずと子どもたちも実験に興味を示します。だから人工イクラ作りも、一緒に実験してもらうようにお願いしています。理科の実験を通じて親子で触れ合える機会はなかなか無いので、これからも続けていきたいですね」
これからも、さまざまな機会を通じて科学や理科の面白さを子どもたちに伝える活動を続けていきます。

食品生命科学科