キャンパス内の花から新しい日本酒が誕生!広工大発の純米吟醸酒「華の凛酒」が完成しました。

2017年02月07日

広島工業大学から日本酒が誕生
パンやみそ、ヨーグルトなど、身の回りには「発酵」を利用した食品が数多く存在しています。生命学部食品生命科学科では、こうした微生物を利用した発酵に関する研究を行っています。食品生命科学科の複数の研究者が共同で研究を行う発酵ものづくり研究センター(センター長:食品生命科学科 角川幸治先生)では、自然界の有用微生物を分離し、本学独自のコレクションを構築する試みを進めています。
今回、キャンパス内に咲く花から分離した酵母を使用した純米吟醸酒が誕生しました。その名も「華の凛酒」。ネーミングやパッケージデザインは環境学部環境デザイン学科(現:建築デザイン学科)の学生が担当。学内のコラボレーションにより、これまでにない新しい日本酒が生まれました。

香りの強さと、スッキリとした飲み口が特徴の華の凛酒。

香りの強さと、スッキリとした飲み口が特徴の華の凛酒。

華の凛酒は、昨年11月に開催した企業懇談会(広島会場)でお披露目され、多くの方々に試飲していただきました。

華の凛酒は、昨年11月に開催した企業懇談会(広島会場)でお披露目され、多くの方々に試飲していただきました。

キャンパスや宮島で100種以上の酵母を採取
食品生命科学科の土屋義信先生に日本酒誕生の経緯を聞きました。

―このお酒が完成するまでの経緯を教えてください。
食品生命科学科の学生と角川先生らの教員が協力し、2012年から大学キャンパス内や宮島で100株以上の野生酵母を採取して、研究を続けてきました。たくさんある酵母の中から有用な機能を持つものを分離する中で、日本酒醸造に適したものを選び出し、中国醸造株式会社のご協力のもと完成しました。

―なぜ自然由来の酵母に着目したのですか。
現在、酒蔵会社で使用されている酵母は、選抜が重ねられた優等生的な酵母です、非常に美味しくて香りも良くて欠点がない日本酒ができますが、そうなるとまた少し変わったものがほしくなります。枠から外れた個性的な日本酒を、と考えた時に、従来にないタイプの今回のような酵母が有用になってきます。

―先生がこのお酒に感じる個性は、どのような部分ですか。
一つは、今までにないような吟醸香です。もう一つは、清々しい酸味。自然由来の酵母だからこそ大きな個性を持たせることができました。二つの大きな武器を持っていることは、日本酒として大きな魅力だと思います。

―これからも食品に関するさまざまな研究が続いていきますが、どういう学生に研究してほしいですか。
まずは、食べることや味に興味を持っている人がいいですね。食べることは生きることそのものであり、人生を楽しむことにもつながります。また、将来、食品に関わる仕事に就くということは、食に関する技術や知識、味覚や嗅覚を鍛え、多くの人に信頼される食べ物を世の中に提供するということにつながります。その責任感をやりがいに感じてほしいと思っています。

「今回は試験生産のため一般販売はできませんが、いつか市販できるような日本酒を完成させたいですね」と土屋先生。

「今回は試験生産のため一般販売はできませんが、いつか市販できるような日本酒を完成させたいですね」と土屋先生。

現在も学生が日本酒に関する研究を行っています。こちらは、無菌空間で酵母を培養するための作業を行っている様子。

現在も学生が日本酒に関する研究を行っています。こちらは、無菌空間で酵母を培養するための作業を行っている様子。

細部までこだわったデザインで夢をつかむ
続いて、ネーミングとパッケージデザインを行った、環境デザイン学科3年の隅廣葉月さんに話を聞きました。

―デザインをするのは初めてだったそうですね。
最初はデザインソフトの使い方もわからず、先輩に教えてもらいながらのスタートでした。私が所属する平田ゼミは、デザインコンペへの参加を積極的に行っており、私もやってみたいなと思っていたところでお話をいただき、今回のゼミ内コンペに参加しました。

―デザインを考えるときはどんなことを意識しましたか。
既存の日本酒ラベルは白黒のものが多かったので、私もはじめは黒をベースにしたものを考えていました。しかし、何度も検討を重ねる中で、花から酵母を取ったという華やかさをどのように表現するかを考え、最終的にスクールカラーのえんじ色を使った明るいデザインに仕上げました。

―「華の凛酒」という名前はどのように決まったのですか。
香りの良さから「華」という漢字は入れたいと思っていました。また、さわやかでキリッとした味を表現するために「凛」という漢字を使うことにしました。そして、工大生がこれから社会へ羽ばたいていく中で、凛とした姿勢で頑張っていってほしいという意味も込めて「華の凛酒」という名前にしました。

―題字も自分で書かれたそうですね。
書道の経験がなかったので、とても苦労しました。「凛酒」という字がどうしてもかけなくて、近所の習字の先生に教えていただき、なんとか仕上げることができました。アドバイスをいただいた平田先生、ソフトの使い方を教えてもらった先輩、習字の先生など、たくさんの方に支えられて、このデザインが完成したと思っています。

―これからチャレンジしていきたいことはありますか。
他のデザインコンペにも積極的に挑戦したいと思っています。また、後輩にも私の経験したことやスキルを教えていきたいですね。将来は、デザインに関わる仕事に就きたいです。

「ひもの結び方や色づかいなど、細部にまでこだわってデザインしました。皆さんに喜んでいただけたので、とてもうれしいです」と隅廣さん。

「ひもの結び方や色づかいなど、細部にまでこだわってデザインしました。皆さんに喜んでいただけたので、とてもうれしいです」と隅廣さん。

最初のデザイン案。ここから何度も改良を重ね、最終デザインにたどり着きました。

最初のデザイン案。ここから何度も改良を重ね、最終デザインにたどり着きました。

今後の商品化に向けて
130本限定で製造された「華の凛酒」は、これまで学生や教員が行ってきた研究の賜物といえます。残念ながら今回は市販できませんが、地元の自然酵母を使用していることで、今後、広島工業大学、そして広島を代表する日本酒として大きく花開く可能性を秘めています。今後の展開が期待されます。

プロジェクト研究センター

食品生命科学科

建築デザイン学科