学生と本学OBが最優秀賞を受賞した公衆トイレ2棟が完成しました。

2017年05月02日

工大生の設計作品が実際の建築に
2015年度に広島県主催で実施された、建築を学ぶ学生を対象とする「ひろしま建築学生チャレンジコンペ2015」(※1)。そして、40歳以下の若手設計者を対象とする「ひろしま建築設計コンペU-40 2015」(※2)。「小さな建築の可能性」をテーマに、宇品地区の公衆トイレを題材とした作品が公募されました。選ばれた作品は実際に公共事業として採用され、実施設計・施工されます。若手設計者にとってはやりがいのあるコンテストであり、学生にとってはまたとない経験ができる機会です。多数の応募の中から、本学の学生(受賞当時)とOBがそれぞれの部門で見事最優秀賞を受賞しました。
このほど、広島市南区宇品地区の二箇所に公衆トイレが竣工、2月17日に完成見学会が行われました。

※1「ひろしま建築学生チャレンジコンペ」2015年度は、「宇品御幸松広場の公衆トイレ」の設計案が題材として選ばれました。広島県がクリエイティブな人材の育成のため、県内で建築を学ぶ学生から新しいアイデアを募集、優勝作品は実際の施設として事業化されます。
※2「ひろしま建築設計コンペU-40 2015」は「旧広島みなと公園トイレ」が題材として選ばれました。

学生チームが設計した御幸松広場の公衆トイレは、灯台がモチーフ。遠くからでもよく目立ちます。

学生チームが設計した御幸松広場の公衆トイレは、灯台がモチーフ。遠くからでもよく目立ちます。

瀬戸内海に浮かぶ島々をイメージした「旧広島みなと公園トイレ」は、OBの石川誠さんの作品。

瀬戸内海に浮かぶ島々をイメージした「旧広島みなと公園トイレ」は、OBの石川誠さんの作品。

最優秀賞を受賞した「御幸松広場トイレ」
ひろしま建築学生チャレンジコンペ2015」では、環境デザイン学科(※)村上ゼミから阪口雄大君、赤岸一成君、斎藤綾花さん(ともに環境学部環境デザイン学科4年 ※2015年当時)チームの作品「みんなのしるし」が、見事最優秀賞を獲得、学生たちは完成まで実施設計や監理に関わってきました。見学会には県の責任者や関係者、報道陣などを多数迎えてお披露目が行われました。
※ 2016年4月、「環境デザイン学科」は「建築デザイン学科」に改組しました。

宇品御幸松広場は、瀬戸内海の風景が楽しめる地域のにぎわい拠点として、開発が進められています。

宇品御幸松広場は、瀬戸内海の風景が楽しめる地域のにぎわい拠点として、開発が進められています。

「多くの方に手伝っていただいて完成しました。この地区の新たなシンボルになればうれしいです」と挨拶する阪口くん。

「多くの方に手伝っていただいて完成しました。この地区の新たなシンボルになればうれしいです」と挨拶する阪口くん。

建築的に意味のある灯台の形
今回の作品「みんなのしるし」では、以下のような点を意識して設計がなされました。
コンセプト
・灯台をモチーフにして、広島港のある宇品らしさを表現。
・屋根に光を通す素材を使用、昼間は自然光を取り入れて省エネにも有効。
・夜間は内部の照明が外を照らし、歩行者にとって灯台のように道しるべの役割をする。
・直線的な通路は見通しがよく4方向からアクセス可能。
・港の海風を利用して外気が通路から屋根上部に抜ける煙突効果で、自然換気が行われる。

3人それぞれの名前が刻まれた記念プレートの除幕式。詰めかけた報道陣に笑顔で応えます。

3人それぞれの名前が刻まれた記念プレートの除幕式。詰めかけた報道陣に笑顔で応えます。

視認性のよい大きく明るいピクトサインを採用しています。

視認性のよい大きく明るいピクトサインを採用しています。

上部には、開放的な空間が広がっていて、換気にも役立っています。

上部には、開放的な空間が広がっていて、換気にも役立っています。

夜間の様子(建設中)。内部からの光が、まるで灯台のように周囲を照らします。

夜間の様子(建設中)。内部からの光が、まるで灯台のように周囲を照らします。

地域の新しいシンボルに
見学会に参加した設計者のお二人にお話を伺いました。
「設計する前にまず、この地区のことをしっかりと調べました。周辺に商業施設があったり、この場所がウォーキングエリアになっていたりして、周辺地区との分岐点でもあります。これから活気づいていこうとしている地域であることを踏まえて、新たなシンボルとして地区の方々から親しまれ長く使われる公衆トイレを、とみんなで話し合ってつくり上げました」(阪口君)
「設計から施工まで非常に多くの方々が関わってくださり、感謝しています。建築設計が机上のものではなく、段階を追って実現していく過程を、学生のうちに体感できたのは本当に得がたい体験でした。現在はメーカー勤務ですが、大学で学んだパースや絵の描き方はもちろん、特にプレゼンテーションの仕方は今の仕事に生きています」(赤岸君)

この日のために勤務地の東京から駆けつけた赤岸君。「実施設計の打ち合わせに毎回同席していただいた村上先生にも感謝しています」

この日のために勤務地の東京から駆けつけた赤岸君。「実施設計の打ち合わせに毎回同席していただいた村上先生にも感謝しています」

「見学会会場に向かう電車の窓から、このトイレがひときわ目立って見えました。まさに目印になっていると感動。多くの方にお礼が言いたいです」感無量の阪口君。

「見学会会場に向かう電車の窓から、このトイレがひときわ目立って見えました。まさに目印になっていると感動。多くの方にお礼が言いたいです」感無量の阪口君。

美しさと親しみやすさを兼ね備えた「旧広島みなと公園トイレ」
一方、「ひろしま建築設計コンペU-40 2015」では、本学OBで同じく村上ゼミ出身の石川誠さん(大学院工学系研究科修了・現在石川誠建築設計事務所代表)が最優秀賞を受賞。御幸松広場に隣接した宇品地区の旧広島みなと公園に、「瀬戸の島傘」と題した公衆トイレが誕生しました。
コンセプト
・複数の屋根をランダムな高さや角度で組み合わせ、瀬戸内海に浮かぶ島々をイメージ。
・女子トイレ棟は落ち着いたパーソナルな空間となるよう屋根を低く。
・みんなのトイレ棟は高めの屋根でゆとりある空間に。
・男子トイレ棟は天井高さを大きくして上部を開放し、換気のよい快適な空間に。
・公園広場側の屋根を大きく高くして周辺環境を取り込んだ入りやすい雰囲気。
遠くから見たときはシンボリックに、近くに寄ると親しみやすいヒューマンスケールの設計

公園広場側は花壇やベンチが設置されて開放的な憩いの空間となっています。

公園広場側は花壇やベンチが設置されて開放的な憩いの空間となっています。

石川さんは村上ゼミの一期生。「先生からは、設計することは自由で楽しいものだと教わりました。仕事で行き詰ったときも、先生の教えを思い出すとやる気がわいてきます」

石川さんは村上ゼミの一期生。「先生からは、設計することは自由で楽しいものだと教わりました。仕事で行き詰ったときも、先生の教えを思い出すとやる気がわいてきます」

アイデアがカタチになる喜びを応援
さまざまなアイデアが盛り込まれた2つの公衆トイレ。設計者は、自らのアイデアが建築物として実を結び、今後長く使われていく喜びを感じることができたのではないでしょうか。建築デザイン学科では質の高い建築設計教育を実践しており、これからもモノづくりの喜びを実感できるような教育を実践していきます。

建築デザイン学科(2016年4月開設)

村上ゼミ・研究室