多様な生き方を見つめる 障がいを抱えながら多彩な芸術活動を行う中原晶大さんによる特別講義を開催しました。

2017年05月09日

さまざまな「生き方」を知る特別講義
本学では、読書の楽しさを知り、読書を通じて関心を広げ幅広い教養や柔軟な思考力を身につけるために、教養教育科目「読書へのいざない」を開講しています。2017年度の白岩先生の講義では、宮沢賢治、石川啄木、柳田國男の作品を取り上げ、その魅力に迫っています。
4月17日は、宮沢賢治をモチーフにした絵画などの創作活動を行っている中原晶大さんをお迎えし、特別講義を開催しました。中原さんは、学生と同世代の22歳。先天性食道閉鎖症や未熟児肺など多くの障がいを持ちながらも、主に仏教の世界をモチーフに多彩な創作を行っています。授業では、中原さんのお母様に中原さんのこれまでの人生のあゆみについてお話しいただきました。

「読書へのいざない」を担当する白岩先生。岩手出身の先生が、岩手弁で「雨ニモマケズ」を朗読し、中原さんの手話とコラボレーションを行いました。

「読書へのいざない」を担当する白岩先生。岩手出身の先生が、岩手弁で「雨ニモマケズ」を朗読し、中原さんの手話とコラボレーションを行いました。

手話を披露する中原さん。背後の絵は、中原さんが宮沢賢治の世界をイメージして描きました。

手話を披露する中原さん。背後の絵は、中原さんが宮沢賢治の世界をイメージして描きました。

平等観を持つことの大切さ
中原さんは、1歳のときにかかった病気で難聴になり、現在までに10回以上の手術を受け、今でも補聴器と酸素ボンベが必要な生活を送っています。10歳頃から創作活動を行うようになり、梵字や仏像画を中心とした絵画を発表、各地で個展も開催しています。
講演では、お母様から中原さんの生まれた時の様子や、障がいを持って成長してきた今までのことについてお話しいただきました。「一番伝えたいのは"平等観"を持つということです。息子は、周りの人が自分よりも優れているとか、劣っていると感じることはなく、常に"平等"です。これが"平等観"なのです。宮沢賢治の"雨ニモマケズ"の詩も、まさにその世界を示しています。全員が平等観を持てば社会は変わっていくと思います」
そして、大学で学んだ知識や技術が、障がいを持つ人が暮らしやすい世の中をつくることにも役立ってくれればと期待を込められていました。

「皆さんが当たり前にできることをできない人がいる、ということを、少しでも意識してもらえれば」と中原さんのお母様。

「皆さんが当たり前にできることをできない人がいる、ということを、少しでも意識してもらえれば」と中原さんのお母様。

講演後は、学生と意見交流する時間が設けられました。中原さんは「どうして大学で勉強したいと思ったのですか」と学生に質問。「皆さんの勉強を世界の平和のために役立ててほしい」と訴えました。

講演後は、学生と意見交流する時間が設けられました。中原さんは「どうして大学で勉強したいと思ったのですか」と学生に質問。「皆さんの勉強を世界の平和のために役立ててほしい」と訴えました。

「詩からは、賢治の"負けたくない"という強い思いと、他者の幸せを強く考える気持ちを読み取ることができます」講演後、「雨ニモマケズ」の詩の読解を行いました。

「詩からは、賢治の"負けたくない"という強い思いと、他者の幸せを強く考える気持ちを読み取ることができます」講演後、「雨ニモマケズ」の詩の読解を行いました。

日本人の倫理観や道徳観を表しているこの詩の理解を深めることで、ものの見方や考え方、そして生き方を見つめることができたのではないでしょうか。

日本人の倫理観や道徳観を表しているこの詩の理解を深めることで、ものの見方や考え方、そして生き方を見つめることができたのではないでしょうか。

深町力人さん(電子情報工学科・1年)「読書が好きでこの授業を選びましたが、幅広い教養を身につけることができて楽しいです。中原さんのお話を聞き、平等とは何か、平等観とは何かを考える良いきっかけになりました」

深町力人さん(電子情報工学科・1年)「読書が好きでこの授業を選びましたが、幅広い教養を身につけることができて楽しいです。中原さんのお話を聞き、平等とは何か、平等観とは何かを考える良いきっかけになりました」

中国からの留学生の賈暁帆さん(左)と任夢さん(右)「頑張っている中原さんの姿を見て、自分もいろいろなことに挑戦したいと思いました」(賈さん)「宮沢賢治という素晴らしい詩人のことを知ることができました」(任さん)

中国からの留学生の賈暁帆さん(左)と任夢さん(右)「頑張っている中原さんの姿を見て、自分もいろいろなことに挑戦したいと思いました」(賈さん)「宮沢賢治という素晴らしい詩人のことを知ることができました」(任さん)

「宮沢賢治をこよなく愛している中原さんを迎え、大変意義深い講義を行うことができました。強い生命力を感じる彼の絵や文字に、私はいつも感動しています」と白岩先生。

「宮沢賢治をこよなく愛している中原さんを迎え、大変意義深い講義を行うことができました。強い生命力を感じる彼の絵や文字に、私はいつも感動しています」と白岩先生。

受講した1年生は、宮沢賢治の"雨ニモマケズ"を学び、中原さんの境遇を知ったことで、生きていくことの意味、大学で学ぶ意味をあらためて考えるきっかけをもらったのではないでしょうか。そして、これから大学で学ぶ知識・技術を、世界の平和、一人ひとりの幸せのために役立てられる倫理観ある技術者になってくれることを期待しています。