「石内ペノン」にぎわいづくり第一弾!地元神社の御神木を使ったインスタレーション

2017年09月26日

学生の視点で新たなコミュニティデザインを

環境学部建築デザイン学科平田研究室が、利用方法や周辺地域活性化のアイデアを提案しているコミュニティ施設「石内ペノン」。広島工業大学から車で20分ほどの場所にあり、商業施設だけでなく、オープンスペースも併設されており、地域の方々の憩いの場として根付いてきています。

平田研究室では、2016年6月のオープン前から、現地視察などを重ね、2017年1月には、「石内ペノン」を運営している株式会社イワキ、佐伯区役所、地域住民の方々を前に、活性化案をプレゼンテーションしました。学生たちから自由な発想が飛び出した数々のアイデアの中から、今回は、「インスタレーション(展示空間となる壁などにオブジェなどを設置し、展示空間を含めて作品とみなす手法)」を提案したグループのプランが採用され、高橋美帆さん(4年)がデザインした「Wind Chime」によって2017年8月、「石内ペノン」内の施設"ECHEL(イシェル)"に彩りのある空間が生まれました。

広島市佐伯区の石内バイパス沿いに建つ「石内ペノン」。スタイリッシュな黒い外観が目を引き、多くの人が立ち寄る

広島市佐伯区の石内バイパス沿いに建つ「石内ペノン」。スタイリッシュな黒い外観が目を引き、多くの人が立ち寄る

地域ゆかりのものを使ってインスタレーション

高橋さんたちの案は「インスタレーションで、施設内の多目的レンタルスペースECHELを楽しい空間にする」というものです。
高橋さんたちはまず、石内の周りを歩き、インスタレーションに使える石内らしいものを探しました。そして、地元の神社などを巡っている時に、臼山八幡神社で傾いて鳥居を破壊しそうになっていたために伐採された、樹齢約350年の御神木を発見します。高橋さんは「これを使って何か展示できる作品を作ってもらい、最後は持ち帰ってお守りにしてもらえばいいのでは」とひらめきました。

臼山八幡神社。向って右側にそびえ立っていた御神木が、学生たちの力でよみがえります

臼山八幡神社。向って右側にそびえ立っていた御神木が、学生たちの力でよみがえります

加工前の御神木の断面を、ECHEL入口にディスプレイ

加工前の御神木の断面を、ECHEL入口にディスプレイ

臼山八幡神社の御神木の利用について石内公民館の館長や神社総代に相談し、利用させていただけることになりました。
今回の取り組みは、株式会社イワキ(産)、広島工業大学平田研究室(学)、佐伯区役所(官)、石内地域(民)の産学官民連携事業。連携ゆえの強みが発揮された事例です。

ここからは学生たちの出番。来場者が楽しくなるインスタレーションのアイデアを、メンバー全員で考えます。「ECHELの吹き抜けをうまく利用しよう」「季節感を出したい」などの意見をもとに、第一弾は「Wind Chime(ウィンドチャイム)」に決定しました。

木材は、木材加工を専門とする建築デザイン学科の番匠谷先生にお願いし、薄くカットしてもらいました。そこからメンバーや他のゼミの学生等も手伝ってさらに小さくカットし、サンドペーパーをかけ、Wind Chimeのパーツになる三角形や四角形の約1,000個の木片を準備しました。

濃く刻まれた年輪が、さまざまな表情を見せ同じものが二つとないWind Chime

濃く刻まれた年輪が、さまざまな表情を見せ同じものが二つとないWind Chime

地域の歴史も学べるパンフレットも作成

Wind Chimeは、木片やひも、ビーズ、鈴などが入ったキットとして1袋500円で販売。購入者が作ったものを展示します。キットの中には、神社の歴史や地域のスポットなどを印刷したパンフレットも封入。高橋さんは「地域住民のシンボルでもある臼山八幡神社の御神木を使うことで、この神社の歴史や祭典・行事も知ってほしい」と願っています。

鳥居の写真を観音開きに広げると、臼山八幡神社の歴史や、石内の桜情報、史跡等のマップが載っているパンフレットに

鳥居の写真を観音開きに広げると、臼山八幡神社の歴史や、石内の桜情報、史跡等のマップが載っているパンフレットに

保護者にも好評のWind Chime作り

Wind Chime作りは、ECHEL 内で8月10日に始まり、これまでたくさんの親子に体験してもらいました。「いつの間にか親のほうが熱中し、予想以上に時間がかかったという声も。皆さん思い思いに完成されました」とイシェル事業部の(株)イワキの引地賢一さん。たくさんの人の手を介して、空間に彩りが加わり、楽しさを帯びていきます。

お世話になったイシェル事業部の皆さんと

お世話になったイシェル事業部の皆さんと(右2名)

子どもたちが制作してくれたWind Chimeを全部を飾り付けたら完成です

子どもたちが制作してくれたWind Chimeを全部を飾り付けたら完成です

企業や地域、行政との連携事業について思うこと

平田圭子先生

平田圭子先生

― ゼミ生を指導する平田圭子先生は「座学で学ぶのは過去の知識と考える力です。知識に基づいてデザインを考える時にも、それをどのように現場で実現するか、そのプロセスが大切です。関わる人々の思いがあったり、予算や時間的な制約があったりといった厳しい条件でもベストな判断をしていく力を付けてもらいたい。今回依頼された案件では、地域の人の熱い生の声に接し、行政や企業と交渉するなど、貴重な体験をさせてもらいました」と話してくれました。

デザインをした高橋美帆さん

デザインをした高橋美帆さん

― 第一弾を指揮した高橋さんは「当初、木片の穴はとても小さかったのですが、小さな子どもがひもを通すのは難しいだろうと思って、大きい穴に改善したんです。デザインは、使う人のことも考えないといけないと気付きました。就職先でも、このプロジェクトで学んだ経験を生かしていきたいと思っています」と話します。

ゼミ長の伊藤謙さん

ゼミ長の伊藤謙さん

― ゼミ長で、今回の活動をサポートした伊藤謙さん(4年)は「地域の人と真剣に意見を交わしている中で『学生だから』という甘えが通用しない現実に気付きハッとしました。大学生活の中で実社会に触れることができ、とても貴重でありがたい経験でした」と語り、大きな収穫があったようでした。

お客様に対して、楽しさや喜びを感じてもらえるように考え、工夫していく。それらの全てが、社会に出る前の学生にとって、かけがえのない経験となることでしょう。

学生の枠にとらわれない発想が地域を活かす

「石内ぺノン」を運営する株式会社イワキ 河内社長(写真:一番左)と佐伯区役所地域起こし推進課の職員

「石内ぺノン」を運営する株式会社イワキ 河内社長(写真:一番左)と佐伯区役所地域起こし推進課の職員

― 今回のプロジェクトは、固定観念やしきたりにとらわれない学生さんならではの発案。地域コミュニティと調和したインスタレーションは、お子様連れのお客様に、とても好意的に受け入れていただいています。実現したのは、地域や行政など、たくさんの方の協力があってこそ。新聞等メディアにも取り上げられ、話題になったことを感謝しています。
学生さんたちには、チャレンジ精神をもって、新しいアイデアを提案してもらいたいです。この取り組みが貴重な経験になり、成長につながっていけば幸いです。

このインスタレーションは、ハロウィンやクリスマスなどの時期に合せて展示作品を変え、これからも実施していく予定です。
そして、インスタレーション以外のプレゼン案も今後、実現に向けて動き出すことが決まっています。学生たちのアイデアがどのようなカタチになるのか、今後の展開もどうぞお楽しみに。

建築デザイン学科

平田ゼミ・研究室

にぎわいの場、交流の場の創出に向け求められる学生のアイデア 環境デザイン学科平田ゼミの取組み

本学学生がコミュニティ施設の利用案や地域活性化案を提案