聴いて、観て、録って...。PBL(課題解決型学習)の中で、学生たちが製造現場を科学する。

2017年10月06日

製造業の現場には、どんな問題が隠れている?

広島の地域や産業が抱える課題を知り、学生ならではの視点で解決策を見出す。そうした実践の中で、地域の課題解決に役立つ能力を養成する、との主旨で今年度から開講された「地域課題解決実習(※)」。
今回は学生が実際の企業に訪問して、製造業の現場がどんな問題を抱えているか、情報収集を行いました。訪問先は、食品包装機械メーカーとして業界トップクラスの実績をもつ(株)古川製作所です。
「作業の流れや順序、道具の配置に至るまで細かく科学的に見直し、無駄のない工程を構築するIE(インダストリアル・エンジニアリング)という手法があります。この手法を用いて、現場改善のプロセスを学生に体験してもらいます」と語る宗澤良臣先生の指導のもと、1年生3名とサポート役の4年生2名が参加。丸一日をかけ、現場のくわしい見学と、記録による情報収集が行われました。

※「地域課題解決実習」は、全学科・全学年の学生が履修可能な授業科目であり、学科・学年の枠を超えて、お互いに刺激しあいながら学ぶことができます。

はじめに古川製作所の井上執行役員から、会社についての説明と、同社が力を入れる"カイゼン(改善)"への思いを伺いました。「学生のみなさんの素直な視点から生まれる疑問をぜひぶつけてほしい。それを当社の"カイゼン"に生かしたい」という井上氏の熱い言葉に、学生たちは緊張の面もちながら、キャンパス内での講義とは違った気持ちの高まりを感じたようです。

はじめに古川製作所の井上執行役員から、会社についての説明と、同社が力を入れる"カイゼン(改善)"への思いを伺いました。「学生のみなさんの素直な視点から生まれる疑問をぜひぶつけてほしい。それを当社の"カイゼン"に生かしたい」という井上氏の熱い言葉に、学生たちは緊張の面もちながら、キャンパス内での講義とは違った気持ちの高まりを感じたようです。

宗澤先生は研究活動の傍ら、さまざまな企業からの依頼で製造現場等の改善提案を行う機械システムのスペシャリスト。古川製作所も先生の提案を受けて業務改善を進める企業の一社です。「自社で長く積み重ねてきた業務の流れを、同じ社内にいるメンバーが分析・検証するのは簡単ではありません。その点、第三者の視点を持つ大学と企業が連携する意義は大きい」と先生は言います。

宗澤先生は研究活動の傍ら、さまざまな企業からの依頼で製造現場等の改善提案を行う機械システムのスペシャリスト。古川製作所も先生の提案を受けて業務改善を進める企業の一社です。「自社で長く積み重ねてきた業務の流れを、同じ社内にいるメンバーが分析・検証するのは簡単ではありません。その点、第三者の視点を持つ大学と企業が連携する意義は大きい」と先生は言います。

現場を多面的に分析して解決策を見出す力は、どんな仕事にも生きる。

体験的な学びによって、学生の主体的な経験・知識の獲得を目的とする授業をPBL(課題解決型学習)と呼びます。本学が1年生の段階で「地域課題解決実習」を実施するのは、PBLを通し、早期から社会に貢献できる力を養成したいと考えるためです。
「加工機などの生産設備だけを見るのではなく、そこで作業する人の動きにまで焦点をあてて問題点を分析する機会は、なかなかありません。この実習を通じ、"現場を多面的に観察・分析して問題点を洗い出し、改善策を見つけ出す"というプロセスが体験できます。この体験によって得られた知識や視点は、製造業だけにとどまらず、将来どんな仕事に就く場合でも必ず役立つはずです」と宗澤先生。
机上の計算だけで成り立つ仕事はありません。どんな仕事にも現場があり、現場には改善の余地が無数に転がっています。それらを拾い上げ、整理・分析しながら改善することで、企業をさらに進化させる。こうした力こそ今、社会からもっとも強く求められているのです。

まずはパネルや製品の展示を前に古川製作所の歴史や製品についての説明を伺いました。学生たちは早くも興味津々です。

まずはパネルや製品の展示を前に古川製作所の歴史や製品についての説明を伺いました。学生たちは早くも興味津々です。

会社の概要を把握したら、次は工場の見学。説明を聴き、時に質問を投げかけながら、2つの工場をくまなく回ります。

会社の概要を把握したら、次は工場の見学。説明を聴き、時に質問を投げかけながら、2つの工場をくまなく回ります。

「オーダー数や部品点数が極めて多い中、作業の効率化をどう図るか...その辺が課題ですね」。学生たちも説明に聞き入ります。

「オーダー数や部品点数が極めて多い中、作業の効率化をどう図るか...その辺が課題ですね」。学生たちも説明に聞き入ります。

見るもの聞くもの未知の世界。現場の社員の方にも話を伺いながら、課題解決提案のテーマとして何を取り上げるか...考えを巡らせます。

見るもの聞くもの未知の世界。現場の社員の方にも話を伺いながら、課題解決提案のテーマとして何を取り上げるか...考えを巡らせます。

「たくさんの人が関わる作業現場には問題が潜んでいることが多い」。4年生の先輩も一緒に工場を回りながら適切にアドバイス。

「たくさんの人が関わる作業現場には問題が潜んでいることが多い」。4年生の先輩も一緒に工場を回りながら適切にアドバイス。

昼休憩終了前に問題が潜んでいそうな現場にビデオカメラをセットし、改善提案のもととなるデータ収集のための測定を開始。

昼休憩終了前に問題が潜んでいそうな現場にビデオカメラをセットし、改善提案のもととなるデータ収集のための測定を開始。

カメラによる測定だけでなく現場で得られた気づきをメモ。実習後にそうした情報を分析することで課題を浮き彫りにしていきます。

カメラによる測定だけでなく現場で得られた気づきをメモ。実習後にそうした情報を分析することで課題を浮き彫りにしていきます。

特に気になるところは手持ちのカメラでも測定。最初は何をすればいいか戸惑っていた学生に興味と主体性が芽生えていきます。

特に気になるところは手持ちのカメラでも測定。最初は何をすればいいか戸惑っていた学生に興味と主体性が芽生えていきます。

企業の方に声をかけて質問。緊張で硬かった学生の表情もほぐれて、質問の内容も具体的なものになってきます。

企業の方に声をかけて質問。緊張で硬かった学生の表情もほぐれて、質問の内容も具体的なものになってきます。

「どんな工具を使っているか?それを何回使っているか?...そんな視点も大切だよ」と先生からアドバイス。

「どんな工具を使っているか?それを何回使っているか?...そんな視点も大切だよ」と先生からアドバイス。

学生たちの知恵から、モノづくりを進化させる新たな策が生まれる。

次の段階は、収集したデータを持ち帰り、大学内で分析を重ねることです。何度もビデオを見返しながら、作業時間や手順、工具を使う回数、作業者の待ち時間など、さまざまな視点からデータを分析。検討を通して問題点を明らかにし、解決策を探る...というプロセスになります。

現場で生まれた問題意識や気づき、収集したデータが、IE手法による科学的アプローチの出発点。それを実感することは、これまで現場を目にしたことがなかった学生の視野を大きく開くキッカケとなります。

現場で生まれた問題意識や気づき、収集したデータが、IE手法による科学的アプローチの出発点。それを実感することは、これまで現場を目にしたことがなかった学生の視野を大きく開くキッカケとなります。

約2か月後には、協力いただいた古川製作所の担当の方々にも参加いただき、1回目の報告会を開催します。学生たちの練り上げた改善策は、現場を変える力となるのか...今から楽しみです。
「地道で科学的なアプローチをベースとしたIE手法による"カイゼン"が、モノづくりを進化させる...学生たちにはそんな仕事の醍醐味を感じてほしい」と、宗澤先生は期待を込めます。