広島工大発「小イワシと梅のさっぱりパスタソース」 食品生命科学科の学生が産学連携で商品開発

2017年11月24日

生命学部 食品生命科学科の学生が、2年の歳月をかけて水産物加工・流通業のフレッシュヒロウオ株式会社と共同で商品開発を行いました。そして、完成品を10月13日に開催された広島魚市場株式会社の「冬季商品展示会」に出展。多くの来場者に試食していただき、好評価を得ました。

2年にわたる開発期間を経た パスタソースの最終形
開発に携わったのは、食品生命科学科角川幸治ゼミの鈴木七海さん(2017年3月卒業)と木村菜々美さん(4年)。2016年にフレッシュヒロウオ(株)から共同開発の打診があり、当時4年生だった鈴木さんの卒業研究のテーマとして、小イワシを材料に使った新商品の開発が始まりました。一般家庭でもインスタント食品や調理済み食品の購入割合が高いことに着目した鈴木さんは、魚を使ったレトルト商品の開発をスタート。魚が苦手な人でも食べられるよう、だしや味付けに工夫をこらし、試作を重ねたそうです。フレッシュヒロウオ(株)との打ち合わせは月に1~2回。打ち合わせでは、問題点や改善点を精査したり、進捗確認を行うなど、実際の商品開発現場さながらに進行していきました。
プロジェクト2年目の今年は、鈴木さんの後を引き継いだ木村さんが、食品表示の作成、賞味期限を決定するための保存試験や、商品名・パッケージデザインの決定など、具体的な商品化に向けて活動。同時に試食会の数を重ね、味の調整も行いました。

「世の中のニーズに応えるための試行錯誤は、貴重な経験でした」と語る鈴木さん

「世の中のニーズに応えるための試行錯誤は、貴重な経験でした」と語る鈴木さん

角川教授(左)と、展示会に参加したゼミ生たち。一番右が開発に携わった木村さん

角川教授(左)と、展示会に参加したゼミ生たち。一番右が開発に携わった木村さん

展示会で水産関係者に試食品を振る舞う
広島魚市場(株)の水産卸売場で行われた「冬季商品展示会」は、77のブースに水産品や水産加工品が並ぶ試食・展示会。フレッシュヒロウオ(株)のブースの一角では、角川ゼミ生が開発に携わった「小イワシと梅のさっぱりパスタソース」の試食会が行われました。木村さんのほか、同ゼミの伊藤瑞貴さん(4年)、井岡久美子さん(4年)も参加。400人分の試食用パスタを用意し、来場者に振る舞いました。

広島中央卸売市場の一角に設けられた会場

広島中央卸売市場の一角に設けられた会場

試食用のパスタには、青じそと刻み海苔もトッピング

試食用のパスタには、青じそと刻み海苔もトッピング

取材や問い合わせが続々 注目度も抜群
数あるブースの中で大学の出展は、この「小イワシと梅のさっぱりパスタソース」のみ。午前10時の開場とともに、市場関係者や流通業者、マスメディアの取材班などが次々と訪れました。試食の感想は「さっぱりしていて、おいしい」「魚独特の臭みがなく、梅も主張しすぎず食べやすい」と、軒並み好評。「いつ商品化されるのですか」と強い関心を寄せる来場者も見られました。
ひときわ目を引くパッケージデザインは、工学系研究科 環境学専攻の松浦藍子さん(1年)によるもの。既存のレトルト商品にはない、瀬戸の海をイメージしたシンプルなデザインが魅力です。広島のお土産としての展開を想定。センターラインは、のしをイメージし、水引の結び目を宮島の鳥居に見立てています。

会場で一番のにぎわいを見せるブース

会場で一番のにぎわいを見せるブース

女性や若い人に加え、観光客にも訴求できそうなデザインです

女性や若い人に加え、観光客にも訴求できそうなデザインです

さまざまな条件をクリアし、商品化への環境を整えています

生命学部 食品生命科学科4年 木村菜々美さん

生命学部 食品生命科学科4年 木村菜々美さん

「昨年、鈴木さんが開発したパスタソースは、完成形に近いものでした。今年はパッケージデザインや、食品表示の作成、賞味期限を決定するための保存試験など、商品化に向けての環境づくりを中心に進めてきました。パッケージ制作にあたっては、担当者に商品コンセプトをしっかり説明しました。『小イワシは広島県内で水揚げされる魚類で最多の漁獲量。土産物としても販売できるようアピールしたい』という部分を表現してもらえたと思っています。味の改良も並行して進めました。小イワシの身をほぐしたり、梅とショウガのバランスを調整したり、魚嫌いの人でも食べやすくなる工夫をしました」。

大学のノウハウと学生の柔軟な発想力が共同研究の魅力です

フレッシュヒロウオ(株)経理・総務課 高垣博昭次長

フレッシュヒロウオ(株)経理・総務課 高垣博昭次長

「広島工業大学さんとはここ数年、西区民まつりで商品アドバイスをいただくなどの連携が続いていました。今回の新商品開発にあたっては、開発ノウハウや検査システムなど、『自社にないもの』を広島工業大学さんと共同で進めることができました。何もないところから始められる、柔軟な発想は学生ならではだと思います。試食では『おいしい』『さっぱり感がある』との評価が多くありました。商品化を視野に入れています。共同開発は簡単なことではありませんが、今後も続けていけたらと思っています」。

産学連携の研究開発では、学生への教育効果を重視

生命学部 食品生命科学科 角川幸治教授

生命学部 食品生命科学科 角川幸治教授

「学生が、企画段階から2年にわたって商品開発に関わらせていただいています。産学連携での共同研究は過去に何例もありますが、研究にとどまらず『出口のある』商品開発は、当ゼミでは初の試みです。レトルト調理や微生物検査、官能検査などはすべて、本学の設備で行いました。実際の販売については、製造委託先の選定など、企業側で検討しなければならない課題がいくつか残っていますが、一つの結果は出せたと思います。学生にとっては社会の基本ルールを肌で感じる機会です。時間を守る、報告・連絡・相談を徹底するなど、緊張感をもって進めることにより、責任感が増しているのを実感します」。

2年の歳月を経て、一定の成果をまとめることができた今回の商品開発。広島工業大学発の商品を世にお披露目できる日はそう遠くはないかもしれません。

広島工業大学では、大学の研究成果を広く社会に発信・還元し、社会に貢献できるよう、今後も産官学連携を積極的に推し進めてまいります。

食品生命科学科

研究・産官学連携