キャンパス内に独創的な空間が出現 環境デザイン学科(現・建築デザイン学科)4年生による設計課題

2017年11月28日

環境学部環境デザイン学科(現・建築デザイン学科)の遠藤吉生先生が、同学科の4年生を対象に、「ギャラリー」をテーマにした設計課題を実施。コンペ形式で最優秀賞に輝いた作品が学生たちの手によって建築され、9月3日に4号館アベベ食堂前に完成しました。

最優秀賞に輝いたのは、雨水と自然光が生み出す空間
建築された作品は、門田大希さん(環境デザイン学科4年)の作品「雨と光のギャラリー」。幅2,100ミリ、奥行5,460ミリ、高さ3,640ミリの切妻型で、正面、後面の壁と屋根、側面と床には幅300ミリのスリット(切れ目)が施されています。屋根の下にはV字型の樋(とい)を設置。屋根と樋(とい)のスリットから入る自然光が、ギャラリー内に優しく差し込みます。

キャンパスと調和した、スタイリッシュなデザイン

キャンパスと調和した、スタイリッシュなデザイン

108枚のベニヤ板と約60本の角材で作られたギャラリー

108枚のベニヤ板と約60本の角材で作られたギャラリー

直感を形に 試作・設計・プレゼンまで2か月
「内部空間に光を採り入れるだけではなく、雨水が滴り落ちる構造にしたかった」と語る門田さんの思惑通り、雨の日はV字型の樋(とい)から落ちてくる水滴が印象的です。所属するゼミの村上徹教授から「光を利用した建築例は多いが、雨を使ったものは非常に少ない」とアドバイスを受け、直感的に湧いたイメージを形にしたそうです。課題発表があった4月以降、2か月間で製作したスタディ(試作)模型は10種以上。6月に行われた講評会では「光と雨が内部空間に入ることで、幻想的な空間が生まれる」と、作品の魅力をプレゼンテーション。実験建築だからこそ実現できるオリジナリティーの高さが評価され、最優秀賞を獲得しました。

「最優秀賞になった喜びと、建てても大丈夫だろうかという不安がありました」と門田さん

「最優秀賞になった喜びと、建てても大丈夫だろうかという不安がありました」と門田さん

ギャラリーの内部には、課題に取り組んだ全学生のデザイン案が展示されています

ギャラリーの内部には、課題に取り組んだ全学生のデザイン案が展示されています

図面を現実に- 建築の難しさに直面しながらも完成
ギャラリーの建築が始まったのは8月10日。真夏の暑さの中、ゼミ生や他学生の力も借りながら、約3週間かけて施工しました。すべての材料を、機械を使わず手作業でカットし組み立て。「カット時のわずかなズレでも、完成時にはゆがみとなって現われる。小さなミスが大きな問題につながるのだと実感しました」と語る門田さんは、図面で表現できることを現実に作り出す難しさを知りました。
完成したギャラリーは「光の入り方が思った以上にきれい」と満足のいく出来栄えで、周囲からも好評でした。ギャラリーは11月中旬まで展示されました。

実際に製作した模型。側面と床に施した300ミリのスリットがポイント 

実際に製作した模型。側面と床に施した300ミリのスリットがポイント

V字型の樋(とい)が浮いているように見せる工夫も

V字型の樋(とい)が浮いているように見せる工夫も

改めて、最優秀賞を獲得した門田大希さんと、設計課題を担当した遠藤吉生准教授に話を聞きました。

―門田さん
「工業高校の建築科で学びましたが、もっと専門性を高めようと思い広島工業大学に入学しました。Nexus21の最新設備や研究室の充実した学修環境の中で、存分に学ぶことができています。ゼミでは与えられたテーマに沿ってその場で設計する『即日設計』や『即日コンペ』、学生がテーマを決めて1週間で設計、模型製作をする『しゅうまい』などで、設計スキルを磨いています。プレゼンする機会も多いので、今回のコンペも落ち着いてアピールできました。設計したものを実寸で作り、施工の工程を体験できたことは、建築の道を歩む自分にとって、一つの財産になると思います」

―遠藤先生
「建築設計課題は、上級生になるほど規模が大きくなり、3年生では延面積3,000㎡~5,000㎡の課題に取り組みます。今回の設計課題の目的は、大きなスケールの建築を設計することで、ともすれば失いがちな現実のスケール感を取り戻し、1/1のスケールを体にきざみ込むことです。選考に当たっては、提案が良く練られたものであることはもちろん、敷地である周辺環境との関係やギャラリーそのものの空間性も重視しました。提案のオリジナリティーも決め手になりました」

数多くの作品の中で1位に輝いた門田さんのギャラリー。図面の上だけでなく、実際に建築物として作り上げることで、自分のスタイルに磨きをかける、絶好の機会になったようです。今後は大学院に進学し、建築を学び続けたいと語ってくれました。

※環境デザイン学科は、2016年度から建築デザイン学科に改編しました。環境学や工学、情報学や芸術など、さまざまな知識を融合した、「建築」「インテリア・木工」「デジタルデザイン」の3分野を柱とする建築デザイン教育を展開し、建築やインテリアの総合的なデザイン力を持った人材の育成に力を入れています。

建築デザイン学科