機械システム工学科で、研究室が見学できるオープンラボ開催(2)

2017年12月05日

■ゼミ活動への第一歩。研究室や実験室をのぞいてみよう!
第2回目の今回は、福島ゼミを紹介します。

空気や水の流れをコントロールすれば、環境改善につながる。
私たちの周りを取り囲んでいる「空気」や地表の7割を覆っている海の「水」は「流体」です。流体は、大気や海洋の流れ、人や物の動きによって様々な流れの現象をつくっています。そういった流れの特性を解析し、上手に利用するための研究をしているのが福島ゼミです。

普段の生活の中で、例えば空気は均一だと感じます。ところが、大気や海洋など自然の中では、高さ・深さによって温度・密度が違い、流体が層になって積み重なる「成層流体」の状態となることがあります。福島ゼミの目下の研究は、成層流体中の流れ現象の解明。「安定な成層状態が形成された場合、鉛直方向の流体の混合が極端に抑制されてしまいます。そのため、例えば閉鎖水域などでは、底部と上部の酸素を十分に混合させることができれば環境改善につながります。逆に、タンカー事故などで海に重油が流れたときは留まってくれた方が回収しやすいですよね。流れをコントロールできれば、環境をより良くできるのです」と福島先生。実験では、濃度が異なる塩水でつくった成層流体の中に、細い円筒を入れて回転させ、発生する渦や流れを特殊な光学装置で撮影し、解析。透明な液体の渦は直接目では見えませんが、モニターには不思議で美しい形の渦が形成される様子が映っていました。

水槽中央の細い円筒が回転。肉眼で見えない渦や流れが、モニターでははっきりと確認できる。

水槽中央の細い円筒が回転。肉眼で見えない渦や流れが、モニターでははっきりと確認できる。

水道水で、金属の加工もできる「ウォータージェット」。
細いノズルから超高圧(大気圧の3,000倍程度)の水を流して、金属などを加工する「ウォータージェット加工」も福島ゼミの研究テーマです。現在取り組んでいるのは、物質表面の加工。例えば、物質は表面のザラつきの形状によって塗装材や接着剤の着きやすさが変わります。ゼミでは、ウォータージェットの噴流の形状や圧力、噴射時間を変えて、物質表面の性質にどんな違いが生まれるかを実験し、データを集めています。接着率が上がる形状が発見できれば、塗装や接着に使う材料を減らすことが可能です。水のみを利用するので、環境負荷が小さいこと、表面に残留物が残らないことも塗装や接着には大変有利なのです。

ノズルから勢いよく噴き出すウォータージェットの噴流。超高圧の水は金属も切断する。

ノズルから勢いよく噴き出すウォータージェットの噴流。超高圧の水は金属も切断する。

表面加工の実験。ノズルの高さや、水圧などを変えて、加工面の形状と性質の変化を調べる。

表面加工の実験。ノズルの高さや、水圧などを変えて、加工面の形状と性質の変化を調べる。

ウォータージェット加工には、ほかにもメリットがたくさん。ノズルや圧力などの条件を変えることで、スポンジのような柔らかいものから、カーボンファイバーのように鉄よりも軽くて強いものまで切断できるので、異なる材料を組み合わせた複合材料の加工にも威力を発揮。汚れを取り除いたり、コーティング被膜のみをはがすことも可能です。身近なところでは、高圧洗浄機がありますね。超高圧のウォータージェットは、安全性に細心の注意が払われている飛行機の保守工程や、自動車の高性能エンジンの製造工程にも使われている先端技術でもあります。4年生の森君(広島県立海田高校出身)は、「ウォータージェット加工は、今後ますます注目される技術。進化していく可能性や手ごたえを感じられて、やりがいがあります。個人的には、とてもロマンを感じています」福島先生が研究の未来を話してくれました。「謎の多い流体の研究はすぐに役立つものではないかもしれない。でも、研究の積み重ねで、いずれ、環境改善に役立つような応用へつながると思います」

次回は、最終回の吉田ゼミです。燃やして新しい価値を生む「燃焼」を考える?お楽しみに。