「人々の暮らしと生命を守る」という、建設業の使命を体感。環境土木工学科で、高さ73mの多目的ダムの建設現場を見学。

2017年12月26日

建設業の醍醐味を知るには、現場体験が大事

道を通す、橋をかける、トンネルを掘る...地域の暮らしや産業に不可欠な社会基盤を造る建設業。その醍醐味を少しでも実感するには、現場を知ることが一番です。
環境土木工学科では毎年、建設業界の方々の協力のもと、現場見学の機会を設けています。今回は、日本建設業連合会(日建連)中国支部と連携し、山口県岩国市の錦川で建設中の「平瀬ダム」で現場見学会を実施。2年生・約90名が、現場を見学しました。

現場訪問の前、平瀬ダムの説明を受けます。総貯水容量2,950万㎥、高さ73mという規模は、山口県内のダムで5本の指に入る規模。清水建設・五洋建設・井森工業・ナルキの4企業共同で建設が進められています。

現場訪問の前、平瀬ダムの説明を受けます。総貯水容量2,950万㎥、高さ73mという規模は、山口県内のダムで5本の指に入る規模。清水建設・五洋建設・井森工業・ナルキの4企業共同で建設が進められています。

ダム事業の発注主体である錦川総合開発事務所の所長・村岡氏は、広島工業大学のOB(当時の土木工学科卒)でもあります。「建設業の使命は、人々の生活を守ること。その真の使命を忘れないでください。そして近い将来、同じ現場で仕事ができたらいいですね」

ダム事業の発注主体である錦川総合開発事務所の所長・村岡氏は、広島工業大学のOB(当時の土木工学科卒)でもあります。「建設業の使命は、人々の生活を守ること。その真の使命を忘れないでください。そして近い将来、同じ現場で仕事ができたらいいですね」

地震や洪水に強く、様々な方面から地域を支える多目的ダム

ダムにもいろんな種類があるのですが、平瀬ダムは重力式コンクリートダムです。これは膨大なコンクリートを投入し、ダム自体の重さによって水圧を支えるもの。ダムの中では最も頑丈で、地震・洪水に強いという特徴があります。
また平瀬ダムは、複数の役割を持つ多目的ダムです。一つは水害対策。台風等により発生する浸水被害を防ぐため、洪水調節を行います。もう一つは渇水対策です。渇水時でも、農業用水や都市用水が安定供給できるようになります。その他、発電設備も併設するなど、治水・利水に幅広く活躍します。
約90名の学生は3つのグループに分かれ、コンクリートの素材となる骨材(砂利・砂)集積所、コンクリートを製造するバッチャープラント、ダムのコンクリート打設現場を中心に見学しました。

建設の作業場から70mほど下を流れるのが錦川。写真右側の小さな滝の箇所から、山を貫いて下流に通じるトンネルが現在掘られています。コンクリート打設ができるよう一時的に流れを変えるためで、転流工と呼びます。一時的とは言っても、高さ10m・長さ430mに及ぶ、一般道並みのトンネルになります。

建設の作業場から70mほど下を流れるのが錦川。写真右側の小さな滝の箇所から、山を貫いて下流に通じるトンネルが現在掘られています。コンクリート打設ができるよう一時的に流れを変えるためで、転流工と呼びます。一時的とは言っても、高さ10m・長さ430mに及ぶ、一般道並みのトンネルになります。

ダム用コンクリートは、他の場所から持ってくるのではなく、建設現場内で製造します。これはそのためのバッチャープラントです。使用する骨材は、もともと錦川を流れていた川砂利などを有効活用しています。

ダム用コンクリートは、他の場所から持ってくるのではなく、建設現場内で製造します。これはそのためのバッチャープラントです。使用する骨材は、もともと錦川を流れていた川砂利などを有効活用しています。

コンクリートの打設現場を上から見たところ。約100名の作業員が従事しています。コンクリートの高さは現在50m。完成後は73mになるので、約6割まで到達したところ。高さ3m以上はあるはずの重機(区ローラークレーン)がミニカーのように小さく見えることからも、ダム全体の規模が想像できるでしょう。右側にある上が白で下が青の小さな看板は常時水が溜まるラインを指しています。

コンクリートの打設現場を上から見たところ。約100名の作業員が従事しています。コンクリートの高さは現在50m。完成後は73mになるので、約6割まで到達したところ。高さ3m以上はあるはずの重機(区ローラークレーン)がミニカーのように小さく見えることからも、ダム全体の規模が想像できるでしょう。右側にある上が白で下が青の小さな看板は常時水が溜まるラインを指しています。

「これが、総貯水量2,950万㎥にも及ぶダムか」「あのコンクリートの壁、厚さ20mはあるな。さすが重力式ダムだね」と、現場の迫力に思わず息をのむ学生たち。

「これが、総貯水量2,950万㎥にも及ぶダムか」「あのコンクリートの壁、厚さ20mはあるな。さすが重力式ダムだね」と、現場の迫力に思わず息をのむ学生たち。

圧倒感に息を呑みながら、「いつか手がけてみたい」と意欲を燃やす学生たち

その後、再びバスに乗って移動。ダムの底となる河床部の見学です。まだ50m、完成サイズの6割とは言え、見上げると改めて平瀬ダムの規模が実感できます。
「近くで見ると、使用しているコンクリートの量の膨大さが実感できた」「スケールが大きいというか、迫力に圧倒される。自分もいつかこういう建設を手がけてみたい」と、どの学生も興奮気味にダムの様子を見つめていました。

プラントで製造されたコンクリートは専用バケットに入れられ、ケーブルクレーンで持ち上げられて現場まで運搬されます。一度の運搬で、街中を走っているコンクリートミキサー車1台分以上の量を運ぶ能力があります。

プラントで製造されたコンクリートは専用バケットに入れられ、ケーブルクレーンで持ち上げられて現場まで運搬されます。一度の運搬で、街中を走っているコンクリートミキサー車1台分以上の量を運ぶ能力があります。

ここは「減勢工」と呼ばれる箇所。ダムから吐き出された水をそのまま流すと、勢いがあり過ぎて川底を傷つけてしまうため、減勢工でいったん水をプールのように溜め、勢いを落としてから川に流すのです。減勢工の右には発電設備も建設されています。

ここは「減勢工」と呼ばれる箇所。ダムから吐き出された水をそのまま流すと、勢いがあり過ぎて川底を傷つけてしまうため、減勢工でいったん水をプールのように溜め、勢いを落としてから川に流すのです。減勢工の右には発電設備も建設されています。

工学部・環境土木工学科/野村さん(右)「コンクリートをこれほどたくさん使っているんだということを知り、びっくりしました」工学部・環境土木工学科/西下さん(左)「ダムについては授業で何度も習っていました。今日、本物を見て、先生が言ってたことはこういうことだったんだと実感しました」

工学部・環境土木工学科/野村さん(右)「コンクリートをこれほどたくさん使っているんだということを知り、びっくりしました」
工学部・環境土木工学科/西下さん(左)「ダムについては授業で何度も習っていました。今日、本物を見て、先生が言ってたことはこういうことだったんだと実感しました」

工学部・環境土木工学科/岡本くん「想像以上にでかいし、高い。自分もいつかこういうものを造ってみたいですね」

工学部・環境土木工学科/岡本くん「想像以上にでかいし、高い。自分もいつかこういうものを造ってみたいですね」

錦川総合開発事務所・中川さん「各プラントや現場を楽しみながら体験してもらえました。こういうことから興味を持ってもらえたら、と思います」

錦川総合開発事務所・中川さん「各プラントや現場を楽しみながら体験してもらえました。こういうことから興味を持ってもらえたら、と思います」

工学部・環境土木工学科/竹田先生「土木建設を理解するには、現場を見るのが一番です。工事の規模や従事する作業員の多さ、設備や重機の豊富さなどあらゆる点でインパクトがあり、どのように進められるのか、よくわかりますから」

工学部・環境土木工学科/竹田先生「土木建設を理解するには、現場を見るのが一番です。工事の規模や従事する作業員の多さ、設備や重機の豊富さなどあらゆる点でインパクトがあり、どのように進められるのか、よくわかりますから」

そこに行かなければわからない、ナマの迫力や活気を体験できたことは、学生たちにとって大きな刺激となりました。今後の学びや将来の進路の検討においても、大いに参考になるはずです。
貴重な機会を提供して頂いた錦川総合開発事務所、および日建連中国支部の皆さま、本当にありがとうございました。