宮島の魅力を最大限に引き出すアイデアとは?~学生の発見した解決策を住民の前で発表

2018年02月06日

観光客にもっと長く滞在し、宮島を堪能してもらうには?

学生が自主的に地域の課題を発見し、解決する力を養おうという目的で2017年度、新たに開講した「地域課題解決実習」。そのテーマの一つに宮島のまちづくりがあります。
このテーマのもと、活動を続けてきた学生5名が、地域のみなさんや行政の方々に対して成果の発表を行いました。また、後半には都市デザイン工学科(2016年度から環境土木工学科に改編)の4年生2名が、町家通りの無電柱化についての卒業研究を発表。それぞれの発表後、参加した一般の方々から多くの質問・意見が寄せられました。

発表テーマ①:宮島を最大限に楽しめるルートの提案
発表者/
六車 凌さん(工学部建築工学科・2年)
西下 修平さん(工学部電子情報工学科・3年)
走浦 晴也さん(工学部電子情報工学科・3年)
胡本 拓己さん(工学部都市デザイン工学科・4年)
仙波 哉太さん(工学部都市デザイン工学科・4年)

古くから観光地として知られる宮島。近年は外国人観光客からも注目を集めています。しかし、大半は滞在時間の短い日帰り客であり、島内消費はあまり高くありません。そこでメンバー5名は、宮島に出向いて観光客へのインタビューや宮島の穴場スポットの発掘、観光案内板の調査などを実施。それらをもとに2種類の観光ルートを作成し、プレゼンテーションを行いました。

会場となった「広島工業大学地域環境宮島学習センター(通称・宮島こもん)」は、宮島の伝統的建築様式を残した住居を借り受け、2006年に開設しました。学生たちの研究活動の拠点として、また大学・地域・行政の連携の場として、幅広く活用されています。

会場となった「広島工業大学地域環境宮島学習センター(通称・宮島こもん)」は、宮島の伝統的建築様式を残した住居を借り受け、2006年に開設しました。学生たちの研究活動の拠点として、また大学・地域・行政の連携の場として、幅広く活用されています。

「この実習は、学生自身が現地に出向いて課題を見つけ、課題の解決案を検討・提案するプロセスを通じて、主体的に行動する姿勢や倫理観を身につけることを目的としています」と、授業担当教員の伊藤雅教授が、参加者のみなさんに実習の目的を説明しました。

「この実習は、学生自身が現地に出向いて課題を見つけ、課題の解決案を検討・提案するプロセスを通じて、主体的に行動する姿勢や倫理観を身につけることを目的としています」と、授業担当教員の伊藤雅教授が、参加者のみなさんに実習の目的を説明しました。

学生たちは、宮島を楽しむための観光モデルコースとして日帰り型、宿泊型の2つのルートを考案しました。また、島内に置かれた案内板の改善案、SNSの活用などについても提案を行いました。

学生たちは、宮島を楽しむための観光モデルコースとして日帰り型、宿泊型の2つのルートを考案しました。また、島内に置かれた案内板の改善案、SNSの活用などについても提案を行いました。

学生たちの考案した宿泊型観光ルート。若者らしい感性で発掘した観光スポット、グルメ・雑貨などの店舗を網羅しています。

学生たちの考案した宿泊型観光ルート。若者らしい感性で発掘した観光スポット、グルメ・雑貨などの店舗を網羅しています。

質疑応答では、質疑応答では、「学生らしい感覚を活かした案をまとめてくれている」といった評価をいただきました。その上で「立ち寄る場所が増えても、宿泊に結び付けられるだろうか?」など、いろいろな視点から意見・質問が飛び交いました。

質疑応答では、「学生らしい感覚を活かした案をまとめてくれている」といった評価をいただきました。その上で「立ち寄る場所が増えても、宿泊に結び付けられるだろうか?」など、いろいろな視点から意見・質問が飛び交いました。

質疑応答でも、自分たちの考えをハキハキと答えていきます。その姿勢に、数か月間の取り組みによって得た自信や成果が表れているように感じます。

質疑応答でも、自分たちの考えをハキハキと答えていきます。その姿勢に、数か月間の取り組みによって得た自信や成果が表れているように感じます。

「みなさんから指摘いただいた箇所は、実は私自身も調査や分析をしている時に気になった点でした。気付いたことがあれば後回しにせず、納得いくまで追究していこうと思いました」と走浦さん。

「みなさんから指摘いただいた箇所は、実は私自身も調査や分析をしている時に気になった点でした。気付いたことがあれば後回しにせず、納得いくまで追究していこうと思いました」と走浦さん。

「2年生は私一人で最初は緊張しましたが、先輩に引っ張られて発表の日を迎えることができました。みなさんからたくさん意見もいただき、いい経験になりました」と六車さん。

「2年生は私一人で最初は緊張しましたが、先輩に引っ張られて発表の日を迎えることができました。みなさんからたくさん意見もいただき、いい経験になりました」と六車さん。

宮島の町家通りを、コストを抑えながら無電柱化する

発表テーマ②:宮島の町家通りにおける無電柱化の方策とその効果に関する研究
発表者/
胡本 拓己さん(都市デザイン工学科・4年)
仙波 哉太さん(都市デザイン工学科・4年)

宮島の桟橋から厳島神社に向かう表参道商店街は、常にたくさんの観光客であふれています。その1本山側に位置するのが町家通り。伝統的な木造建築が立ち並ぶ情緒豊かなこの通りは、地域の生活道として、また観光客の隠れた人気ルートとして親しまれてきました。
この町家通りの無電柱化をテーマに卒業研究に取り組む胡本さんと仙波さんは、従来のような地中に電線を埋め込む共同溝方式ではなく、裏配線・軒下配線という手法を提案しています。人目につきにくい裏道に配線する裏配線や、沿道家屋の軒下などに電線を這わせる軒下配線は、共同溝方式に比べてコストを大幅に削減できます。さらに、観光客などに実施したアンケートも紹介。町家通りの無電柱化の有効性を訴えました。

景観、安全、防災の観点から、首都圏などを中心に無電柱化の動きが盛んになってきています。宮島でも、20年くらい前まで無電柱化に取り組んでいましたが、財源などの問題により現在は行われていません。そこで、コストメリットのある裏配線と軒下配線に着目しました。

景観、安全、防災の観点から、首都圏などを中心に無電柱化の動きが盛んになってきています。宮島でも、20年くらい前まで無電柱化に取り組んでいましたが、財源などの問題により現在は行われていません。そこで、コストメリットのある裏配線と軒下配線に着目しました。

参加したみなさんからは、「無電柱化によって通行車両のスピードが上がり、事故の危険性が増すのではないか?」「裏配線、軒下配線にデメリットはないのか?」などの意見・質問が寄せられました。

参加したみなさんからは、「無電柱化によって通行車両のスピードが上がり、事故の危険性が増すのではないか?」「裏配線、軒下配線にデメリットはないのか?」などの意見・質問が寄せられました。

「学内の中間発表では技術的な内容に関する質問が多かったのですが、今回は学外のみなさんから違う視点で意見をいただきました。今日の経験を、2月の卒業研究発表に向けて役立てます」と仙波さん。

「学内の中間発表では技術的な内容に関する質問が多かったのですが、今回は学外のみなさんから違う視点で意見をいただきました。今日の経験を、2月の卒業研究発表に向けて役立てます」と仙波さん。

「自分たちなりに精一杯研究に取り組んできましたが、見落としていることがたくさんあると感じました。とくに裏配線・軒下配線のデメリットについては、本当にいい気付きになりました」と胡本さん。

「自分たちなりに精一杯研究に取り組んできましたが、見落としていることがたくさんあると感じました。とくに裏配線・軒下配線のデメリットについては、本当にいい気付きになりました」と胡本さん。

宮島で宿泊施設を営む菊川さん。「テーマを見つけて取り組もうという学生たちの姿には感心しました。彼らの活動が事例として積み重なっていけば、後輩たちにとってもいい刺激になるし、活動内容もさらにレベルアップしていくだろうと期待しています」と学生たちにエールを送ってくださいました。

宮島で宿泊施設を営む菊川さん。「テーマを見つけて取り組もうという学生たちの姿には感心しました。彼らの活動が事例として積み重なっていけば、後輩たちにとってもいい刺激になるし、活動内容もさらにレベルアップしていくだろうと期待しています」と学生たちにエールを送ってくださいました。

広島工業大学に在籍していた頃から宮島の活性化に熱心に取り組まれていた森保名誉教授。退任された現在も、学生のサポート役となって指導していただいています。「少しでも学生のためになればと思い、こうした発表会には必ず参加しています」と丁寧にアドバイスを送ってくれました。

広島工業大学に在籍していた頃から宮島の活性化に熱心に取り組まれていた森保名誉教授。退任された現在も、学生のサポート役となって指導していただいています。「少しでも学生のためになればと思い、こうした発表会には必ず参加しています」と丁寧にアドバイスを送ってくれました。

広島工業大学と廿日市市は、大学の持つ技術や研究を地域の課題解決に役立てようと包括連携協定を締結しています。「学外からのストレートな意見や質問は、学生たちにとって大きな刺激になったでしょう。きっと、これからの活動や研究につながると思います」と伊藤先生。
実習や研究の実績を重ね、いずれは地域のみなさんや行政の方と一緒に課題を解決するような内容にレベルアップさせたいと、意欲的に話してくれました。

広島の地域や産業が抱える課題を知り、解決策を見出す。そうした実践の中で、地域の課題解決に役立つ能力を養成する主旨で今年度から開講した「地域課題解決実習」。今年度は、この「宮島地区」のほか、「企業(製造業)」、「石内地区」の3つのテーマで開講しました。「地域課題解決実習」は、全学科・全学年の学生が履修可能な授業科目であり、学科・学年の枠を超えて、お互いに刺激しあいながら学ぶことができます。来年度は、どんな課題を見つけ、どんな解決策を導き出すのか、今から楽しみです。

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