自ら導き出した業務改善案を発表― 学科の枠を超えて学びを深める「地域課題解決実習」

2018年03月20日

今年度からスタートした授業科目「地域課題解決実習」を履修する学生3名が、2017年9月に訪問し、調査を行った食品包装機械メーカー、(株)古川製作所で、業務効率化に向けた改善案の報告会を行いました。「地域課題解決実習」は、広島の地域や産業が抱える課題を知り、学生ならではの視点で解決策を見出し、地域の課題解決に役立つ能力を養成する、全学科・全学年の学生が履修可能な科目です。今年度は、この「企業(製造業)」のほか、「宮島地区」、「石内地区」の3つのテーマで開講しました。

9月の現場調査をもとに問題点を分析し、改善策を提案
「企業(製造業)」をテーマとする「地域課題解決実習」の目的は、作業の流れや順序、道具の配置に至るまで細かく科学的に見直し、無駄のない工程を構築するIE(インダストリアル・エンジニアリング)という手法を用いて、現場改善のプロセスを体験することです。
学生たちは、9月の現場調査で、部品置き場や検品作業場で撮影した映像、社員の方に聞き取りした情報をもとに、作業の内容や時間、割合などを分析し、問題点を把握。多面的な考察から業務改善案を導き出しました。この日は(株)古川製作所製造部の中村部長をはじめ7名の社員の方々を前にプレゼンテーションを行いました。

学科の枠を超えて授業を履修する3名。学科の学びだけでは得られない知識と経験を獲得します

学科の枠を超えて授業を履修する3名。学科の学びだけでは得られない知識と経験を獲得します

報告会当日、本学からは、授業を担当する機械工学科教授の宗澤先生と学生3名、職員3名が出席しました

報告会当日、本学からは、授業を担当する機械工学科教授の宗澤先生と学生3名、職員3名が出席しました

発表① 環境を整え業務の負担を軽減
最初の報告者、山口貴史さん(建築工学科1年)は「部品置き場に関する分析」について報告しました。山口さんは、部品整理や部品探しにかかる時間の長さや、中腰姿勢による身体への負担を指摘。作業場の整理、作業台を高くすることによる作業時間の短縮や業務負担の軽減を提案しました。企業側からは部品をソーターで分けて分別時間を解消することや、立った姿勢で作業できるよう設備の変更を考えていることなどの回答をいただきました。

地域課題解決実習を履修して、建築以外の世界を知り視野が広がったという山口さん。これからの学びにもつながる経験となったそうです

地域課題解決実習を履修して、建築以外の世界を知り視野が広がったという山口さん。これからの学びにもつながる経験となったそうです

発表② 部品情報のバーコード化でPC作業時間を短縮
次に発表したのは新庄美月さん(建築デザイン学科1年)。検品台での作業を、価値を生む「検品作業」と、価値を生まない「検品以外の作業」に分類し、作業時間を測定したところ、検品以外の作業である、PC関連動作が全作業時間の21%を占めていることに着目。作業台とPCの位置関係を見直すと同時に、検品部品の情報をバーコード化することによるPC作業時間の短縮を提案しました。特に部品情報のバーコード化は、企業側が「採用したい」と意欲を見せるほどの高評価でした。

現場調査では、検品作業を半日かけてじっくり観察しました(写真:2017年9月撮影)

現場調査では、検品作業を半日かけてじっくり観察しました(写真:2017年9月撮影)

要点を伝えられるよう、短く分かりやすい言葉で資料を作成したという新庄さん

要点を伝えられるよう、短く分かりやすい言葉で資料を作成したという新庄さん

発表③ 効率化の鍵は作業台のレイアウト
最後の報告者、和田稀弥華さん(建築デザイン学科1年)も検品作業を分析。作業の7割を占める検品時間の中で、採寸は50%以上を占めており、この時間が短縮できないかと考えました。作業内容を細かく見ると、採寸時に照合する図面は製品全体を表しているため、その一部である採寸箇所を探すのに時間がかかっていることが分かりました。そこで、予め採寸箇所を図面にマークしておくことを提案。どこを測ればよいかが一目でわかり、時間短縮につながります。また同時に、検品台の作業スペースと同一線上にPCモニターを配置し、資料やかごを作業スペースに置かないレイアウトを提案しました。これによりモニターが見やすくなり、広く作業スペースが取れることで、効率的な作業を実現し、時間短縮の達成が可能となります。このレイアウトは、「検品台の上には検品対象と道具以外は置きたくない」という企業側の思いとも一致していました。

ビデオ撮影した映像をもとに分析(写真:2017年9月撮影)

ビデオ撮影した映像をもとに分析(写真:2017年9月撮影)

「物の配置の大切さは、建築現場でも共通だと思います」と和田さん

「物の配置の大切さは、建築現場でも共通だと思います」と和田さん

学生の視点が新たな発見を生む
3名の学生の報告を聞いた(株)古川製作所の方は、「現場に慣れ、見落としてしまっていることも多い。今日の提案の3件とも、我々が気付かない小さな発見。このような発見から大きな改善につながるのだと思います」と講評。そして、「社会に出ると、また新たな視点でものを見ることができます。発注者である当社は納入業者の検査部門ではありません。検品作業の改善も大切ですが、本当に必要なものは何かを、考えるヒントにしてほしい」と学生にエールを送っていただきました。

3名の発表に対して、企業側の率直な評価をいただきました

3名の発表に対して、企業側の率直な評価をいただきました

最後に、(株)古川製作所 製造部 次長 杉原様に、今回の実習の感想を伺いました。

「先入観のない学生の感覚が、我々の"当たり前"を打ち破ることを期待しています。5秒の作業が3秒になるのであれば、積み上げれば相当な改善になるので、意見を積極的に取り入れたいと思っています。今後も希望する学生さんがいれば受け入れを継続していきます。次回は提案を導入してみるところまで計画しています。自分の思いをその場で実践できる。学生さんにとっては、将来に生かせる貴重な体験になると思います」

今年度から始まった「地域課題解決実習」は、ご賛同いただいた地域や企業の皆様のおかげをもちまして、無事に終了しました。広島工業大学では、今後も、「地域課題解決実習」をはじめ、学生の主体的な経験・知識の獲得を目的とするPBL(課題解決型学習)を通じて、社会に貢献できる実践的な力を養成していきます。

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