地上では滅多に見られない"シールドマシン"を見学 ~環境土木工学科・高速5号線トンネル工事見学

2018年10月10日

「地盤沈下するのでは?」地域の住民の不安を解消するために

広島の陸の玄関口・広島駅と山陽自動車道を、一本でつなぐ機能を果たす広島高速5号線。
その建設には、一つの大きな壁が立ちはだかっています。広島駅北口の二葉山をくり抜いてトンネルを造る必要があるのですが、二葉山の上には住居の密集するエリアがあるのです。ここで地盤沈下などを起こすわけにはいきません。
そこで高速5号線トンネルは、地表面の影響を最も少なくできるシールド工法で建設が進められることになりました。地上工事では極めて珍しく、滅多にお目にかかれないシールド工法が見学できる貴重なこの機会に、環境土木工学科の3年生、約50名が駆けつけました。

シールド工法とは、前面に巨大なカッターを装着したシールドマシンを用いる工事のこと。高速5号線トンネル工事の場合、カッター直径は約14mに及びます。14mとは、およそ5階建てビル程の高さ。このカッターが回転しながら前進し、土や岩を崩すのです。
マシンがくり抜いたトンネルの周囲には、セグメントと呼ばれる鉄筋コンクリートのパネルを設置します。マシン自体が圧力をかけながら掘り進め、後方でトンネルを支えるセグメントが保持することで、崩壊を防ぎます。だから軟弱地盤でも、地盤沈下を起こす心配が少ないのです。通常は、都心部の下水道工事や海底工事などに用いられるのですが、今回は二葉山の上に暮らす住民のことを考え、この安全な工法が採用されました。

「広島高速5号線が開通すれば、広島駅北口と広島高速1号線・間所ICは、現在の約半分の時間でつながります。商業施設はもちろん、広島市民病院・広島がん高精度放射線治療センターといった高度医療センターへのアクセスも良くなります。供用開始予定は平成32年度末です」。見学にあたり、広島高速道路公社の方々から工事の概要説明を受けました。

「広島高速5号線が開通すれば、広島駅北口と広島高速1号線・間所ICは、現在の約半分の時間でつながります。商業施設はもちろん、広島市民病院・広島がん高精度放射線治療センターといった高度医療センターへのアクセスも良くなります。供用開始予定は平成32年度末です」。見学にあたり、広島高速道路公社の方々から工事の概要説明を受けました。

高速5号線トンネルは長さ約1.8km。広島駅北口側から約1.4kmはシールド工法で、反対側の中山側からは、NATM(ナトム)工法と呼ばれる別の工法で約0.4kmのトンネルが掘られます。トンネル工事によって出る土砂の量は約21万立米(立米=1立方メートル)。10トンダンプカーで約4万5000台という途方もない量です。

高速5号線トンネルは長さ約1.8km。広島駅北口側から約1.4kmはシールド工法で、反対側の中山側からは、NATM(ナトム)工法と呼ばれる別の工法で約0.4kmのトンネルが掘られます。トンネル工事によって出る土砂の量は約21万立米(立米=1立方メートル)。10トンダンプカーで約4万5000台という途方もない量です。

シールドマシン全容の画像を広島高速道路公社様よりお借りしました。全面の青い部分がカッターヘッド。直径約14mという巨大さです。この部分が回転し、同時にマシン全体が前進することで、土を掘ります。

シールドマシン全容の画像を広島高速道路公社様よりお借りしました。全面の青い部分がカッターヘッド。直径約14mという巨大さです。この部分が回転し、同時にマシン全体が前進することで、土を掘ります。

トンネル上部から現場全体を見学。手前の白いカバーをかけられているのがシールドマシン。組立作業は1月から開始されており、巨大さゆえに約8ヶ月間をかけて完成します。

トンネル上部から現場全体を見学。手前の白いカバーをかけられているのがシールドマシン。組立作業は1月から開始されており、巨大さゆえに約8ヶ月間をかけて完成します。

広島駅北口側のトンネル工事の様子を撮影。写真下左の白いカバーをかけられているのがシールドマシンです。工事現場のすぐ上(写真上右)には、マンションが建っています。上部に住居が密集しているため、シールド工法が選ばれたのです。

広島駅北口側のトンネル工事の様子を撮影。写真下左の白いカバーをかけられているのがシールドマシンです。工事現場のすぐ上(写真上右)には、マンションが建っています。上部に住居が密集しているため、シールド工法が選ばれたのです。

トンネル工事における異なる手法を同時に見学

高速5号線トンネルの広島駅北口側を見学した学生たちは、再びバスに乗り、反対側となる中山に移動。こちらの工事の様子も見学しました。
中山側から0.4kmはNATM(ナトム)工法でトンネルが掘られます。NATM工法とは、主に山岳部におけるトンネル工法のひとつ。ダイナマイトによる発破や機械などで岩を砕き、穴を掘ります。掘った穴が崩落しないよう、支保工という鋼製の支えを壁面と天井面に設置。そしてコンクリートで壁面を造り上げた後、支保工に沿って長さ3~4mもある鉄製の釘(ロックボルト)を山に向かって打ち込むのです。
NATM工事の特徴は、シールド工法に比べコストが安いこと。しかしロックボルトを使って、山(土)自体の支持力でトンネルを支えるため、軟弱地盤には向きません。 また、中山側坑口の先には中山ICが設けられます。出口ランプに必要な道幅を確保するために、中山側のトンネル入口付近はトンネル断面を変化させる必要があり、シールド工法では対応できません。
このように、条件やコストにあわせ最適な工法を採用し、工事を行っています。

高速5号線トンネルの中山側(写真右側)。まだ穴は空いていません。2018年11月頃からNATM工法によるトンネル工事が始められる予定です。

高速5号線トンネルの中山側(写真右側)。まだ穴は空いていません。2018年11月頃からNATM工法によるトンネル工事が始められる予定です。

「道路の壁面で、コンクリートブロックの組み方が異なる箇所がありました。低い箇所はジグソーパズルのようで、高い箇所は格子状になっています。なぜ違いが生まれるのですか?」という学生の質問に「現場条件によって擁壁の高さや構造が変わるからです。盛土では5m、切土では7mを超える箇所で構造を変更する必要があります」と技術者の方から回答を頂きました。同じように見える壁面でも、高さや土質によって工法が異なることを、学生たちは学んでいました。

「道路の壁面で、コンクリートブロックの組み方が異なる箇所がありました。低い箇所はジグソーパズルのようで、高い箇所は格子状になっています。なぜ違いが生まれるのですか?」という学生の質問に「現場条件によって擁壁の高さや構造が変わるからです。盛土では5m、切土では7mを超える箇所で構造を変更する必要があります」と技術者の方から回答を頂きました。同じように見える壁面でも、高さや土質によって工法が異なることを、学生たちは学んでいました。

「シールド工法・NATM工法と、異なる2つの工法が同時に見学でき、勉強になりました。特にシールド工法では、トンネル周囲にセグメントを組み立て、セグメントにジャッキをかませて前進の推力を得る、という話を興味深く聞きました。ぜひシールドマシンが動くところも見てみたいです」と語る、環境土木工学科3年・亀本さん。

「シールド工法・NATM工法と、異なる2つの工法が同時に見学でき、勉強になりました。特にシールド工法では、トンネル周囲にセグメントを組み立て、セグメントにジャッキをかませて前進の推力を得る、という話を興味深く聞きました。ぜひシールドマシンが動くところも見てみたいです」と語る、環境土木工学科3年・亀本さん。

「私は建設コンサルタント志望です。自分の将来に直結する部分が多いこの見学は、とても有意義でした。自分も早く高速道路やトンネルの設計に携わってみたいですね。そのためには、今以上に知識をつけなければいけないと思います」と語る、環境土木工学科3年・宮里さん。

「私は建設コンサルタント志望です。自分の将来に直結する部分が多いこの見学は、とても有意義でした。自分も早く高速道路やトンネルの設計に携わってみたいですね。そのためには、今以上に知識をつけなければいけないと思います」と語る、環境土木工学科3年・宮里さん。

「広島でこれほど規模の大きな工事は、なかなかありません。シールド工法を、地上で直に見学できる。その貴重なチャンスを体験したことで、学生さんは様々な刺激を受けられたものと思います。見学で得た刺激や知識を活かし、ぜひ建設業界で活躍してほしいですね。今日お迎えしたみなさんといつか同じ現場で働ける日を楽しみにしています」と期待を語る、広島高速道路公社の主任・奥田さん。

「広島でこれほど規模の大きな工事は、なかなかありません。シールド工法を、地上で直に見学できる。その貴重なチャンスを体験したことで、学生さんは様々な刺激を受けられたものと思います。見学で得た刺激や知識を活かし、ぜひ建設業界で活躍してほしいですね。今日お迎えしたみなさんといつか同じ現場で働ける日を楽しみにしています」と期待を語る、広島高速道路公社の主任・奥田さん。

現場見学にご協力頂いた広島高速道路公社の技術者のみなさん。学生たちが貴重な体験を積む機会をご提供いただき、本当にありがとうございました。