未来につながる学びを体感する ~オープンキャンパス開催(2)

2018年10月21日

社会の未来につながる技術・研究とは何か。

川の氾濫を予知するシステム。
ゲームの新たな入力装置開発。
これまでと異なる建築スタイル。
リサイクル困難な"色付きガラス"の再生。
適切な医療機器のメンテナンス法。
「食べたい・飲みたい」のメカニズム。

...これらは全て広島工業大学の学生が、日々研究し、実験し、開発し、失敗を繰り返している対象。ここに挙げているものは、学生たちの取り組みのほんの一部に過ぎません。
彼らは研究の中で、もっと便利で、快適で、より良い社会の実現とは何か、を学んでいます。そうした広島工業大学の学びに触れられる、オープンキャンパス。
第二弾の今回は、情報学部・環境学部・生命学部のプログラムを、少しだけですがご紹介します。

10時過ぎには、広島市外・県外からの貸し切りバスが続々と到着。西日本のいろんな地域からやってきた来場者の方々が、足早に会場へと向かいました。

10時過ぎには、広島市外・県外からの貸し切りバスが続々と到着。西日本のいろんな地域からやってきた来場者の方々が、足早に会場へと向かいました。

マツダ(株)の協力のもと、最新車種を紹介するコーナーも設けられました。機械・電気・電子・化学・情報など、あらゆる分野の最先端の技術が搭載されている自動車は、研究材料としても最適。また広島工業大学の卒業生も、大勢マツダ(株)に就職しています。

マツダ(株)の協力のもと、最新車種を紹介するコーナーも設けられました。機械・電気・電子・化学・情報など、あらゆる分野の最先端の技術が搭載されている自動車は、研究材料としても最適。また広島工業大学の卒業生も、大勢マツダ(株)に就職しています。

広島工業大学のオープンキャンパスで毎回開催される恒例イベント「高校対抗・水ロケット大会」。500mlペットボトル2本を継ぎ合わせてロケットを自作し、飛距離を競います。さてこのロケット、何m飛ぶかな?ここまでの最高記録・59mを更新できるでしょうか?

広島工業大学のオープンキャンパスで毎回開催される恒例イベント「高校対抗・水ロケット大会」。500mlペットボトル2本を継ぎ合わせてロケットを自作し、飛距離を競います。さてこのロケット、何m飛ぶかな?ここまでの最高記録・59mを更新できるでしょうか?

学食ランチ体験では、パスタ・カレー・ロコモコ丼などが無料で振る舞われました。この日の一番人気メニューはオムライスで、早々に売り切れてしまいました。

学食ランチ体験では、パスタ・カレー・ロコモコ丼などが無料で振る舞われました。この日の一番人気メニューはオムライスで、早々に売り切れてしまいました。

ハードウェア面での苦労は、取得情報の精度を高めるため、センサの位置設定から回路の組立まで精密な手作業が必要だったこと。ソフトウェア面では、端末で情報を飛ばすシステム、パソコンで受け取るシステム、クラウドで共有するシステムの連携が大変でした。

ハードウェア面での苦労は、取得情報の精度を高めるため、センサの位置設定から回路の組立まで精密な手作業が必要だったこと。ソフトウェア面では、端末で情報を飛ばすシステム、パソコンで受け取るシステム、クラウドで共有するシステムの連携が大変でした。

情報遅延を防ぐアプリやネットワークの設計法とは
スマホでカメラ付きキャタピラ車を操作。前後左右を動かす程度なので操作は簡単です。ところが、道を先に進むと...足取りが怪しくなってきました。ボタンを押しても機敏に反応せず、イライラしてきます。
これは道の先で、情報が遅れて届く状態を実験的に発生させたため。高速道路は車線が減ったり車の量が増えると交通渋滞が発生しますが、情報通信ネットワークも同じで、流れる量によって情報が遅延してしまうのです。遅延すると、このキャタピラ車のように思い通り動かせなくなったり、動画の配信が途切れ途切れになるなどの問題が発生します。情報通信におけるサービスの品質をQoE(Quality of Experience)と呼びますが、情報遅延はQoEを損なう大敵。そこでQoE向上のためのアプリやネットワークの設計・制御法などを研究しています。

右下の白いカメラ付きキャタピラ車をスマホで操作。最初は快適でしたが、だんだん動きづらくなってしまいました。どの程度の量のデータを送れるか、を「ネットワークスループット」と言いますが、スループット以上の情報を送ろうとすると、オーバーした分だけの遅延が発生してしまうのです。

右下の白いカメラ付きキャタピラ車をスマホで操作。最初は快適でしたが、だんだん動きづらくなってしまいました。どの程度の量のデータを送れるか、を「ネットワークスループット」と言いますが、スループット以上の情報を送ろうとすると、オーバーした分だけの遅延が発生してしまうのです。

タブレット端末にはジャイロセンサや加速度センサが標準的に組み込まれており、移動スピードや端末の傾きなどが計測できます。この仕組みをそのまま活用するわけです。追究するのは、操作性とエンタテインメント性を両立させるスタイルとは何か、です。

タブレット端末にはジャイロセンサや加速度センサが標準的に組み込まれており、移動スピードや端末の傾きなどが計測できます。この仕組みをそのまま活用するわけです。追究するのは、操作性とエンタテインメント性を両立させるスタイルとは何か、です。

歩かないのに、進める。VRで散歩を楽しむ
VR画像を楽しめるヘッドマウントディスプレイ(HMD)。これを装着し、靴を脱ぎ、TVゲームで使用するバランスボードの上に立ちます。そして、体をゆっくり前に傾けると...HMDに写る3Dの風景の中を、自動で進み始めました。右へ傾くと右へ進み、左へ傾くと左に。足を一歩も動かすことなく、風景内を散歩している感覚にとらわれます。これは、バランスボードに内蔵された荷重センサが体の傾きを感知。その情報に連動して3Dの風景が動くためです。後ろに傾いたら?今度はバックをし始めました。あまりにも自然な動きに、体験した高校生も興奮冷めやらぬ様子でした。

バランスボードと3D画像を連動させ、HMDに映し出してリアルに見せる。このシステムは、高齢者や体が不自由な方のリハビリに活用したいと研究されているものです。このシステムがあれば、足の上げ下ろしなどの動作に連動させて、家にいながら散歩の感覚が味わえます。

バランスボードと3D画像を連動させ、HMDに映し出してリアルに見せる。このシステムは、高齢者や体が不自由な方のリハビリに活用したいと研究されているものです。このシステムがあれば、足の上げ下ろしなどの動作に連動させて、家にいながら散歩の感覚が味わえます。

模型の横では、レーザーカッターによる部材製作の実演が行われていました。パソコンで自分の名前を入力し、スイッチを押すと、30秒程度で自分のネームタグができあがるのです。形状は楕円を2つ組み合わせたもので、カーブも滑らかです。

模型の横では、レーザーカッターによる部材製作の実演が行われていました。パソコンで自分の名前を入力し、スイッチを押すと、30秒程度で自分のネームタグができあがるのです。形状は楕円を2つ組み合わせたもので、カーブも滑らかです。

街の緑に溶け込む、巨大な"チーズ"
まるで巨大なチーズのような、てっぺんの切れた四角錐型の建物がずらっと並んだ風景。これ、一階を店舗、中層階をオフィス、上層階を住居として利用することを想定した複合施設の模型です。横5、縦3の計15棟並んだ"チーズ"は、空中の渡り廊下で結ばれ、自由に行き来できるようになっています。なぜこうした、四角錐のてっぺんのとんがりを切ったような、上に行くほど幅が狭くなる形になっているのでしょう?
施設の前面には歩道に並木がずらりと並んでおり、また施設の裏面には緑豊かな公園があります。そこで上層階の幅を狭め、建物同士の間をあけたのです。こうすると、並木側から見た時、建物の間に公園の緑が見えます。逆に公園側からも、建物の間に並木が見えます。街の緑と建物を溶け込ませるための工夫が、そこにはありました。

ビルやマンションは、四角い直方体で造りがち。その方が室内空間は広く取れるのですが、外観は無機質になってしまいます。しかしこの建物は上層階に行くほど建物同士の間が広がるため、並木や公園の緑を同時に見通せます。街に存在する建物である以上、街の景色に溶け込むべきではないか。この模型には、そんな思いが込められています。

ビルやマンションは、四角い直方体で造りがち。その方が室内空間は広く取れるのですが、外観は無機質になってしまいます。しかしこの建物は上層階に行くほど建物同士の間が広がるため、並木やと公園の緑を同時に見通せます。街に存在する建物である以上、街の景色に溶け込むべきではないか。この模型には、そんな思いが込められています。

女子学生が持つカブトガニは、本物の剥製。瀬戸内海の干潟にフィールドワークに行った先輩が、許可を得て合法的に捕獲したものです。こうした

女子学生が持つカブトガニは、本物の剥製。瀬戸内海の干潟にフィールドワークに行った先輩が、許可を得て合法的に捕獲したものです。こうした"生きた化石"に出会うチャンスがあるのも魅力の一つ。また海浜植物の植生を調べるため、ドローンを使った調査も行っています。

再利用の難しい色付きびんを、水の浄化装置としてリサイクル
透明な瓶やビール瓶は、空になると回収され、瓶として繰り返し利用されます。ところがワインなどの入った色付きびんは再利用が難しく、大半が不燃ごみとして捨てられるしかありません。そこで、色付きびんの再利用法を研究しています。
まずびんを細かく砕いて、ガラスカレットと呼ばれる状態にします。そしてカレットに発泡剤を添加し、800~900度の高温で焼成します。すると石ころのような「発泡ガラス」が誕生します。発泡ガラスの表面には、無数の小さな穴が空いています。この発泡ガラスを公園の池などに多量に撒けば、穴の中に微生物が住みつき、水を浄化してくれるのです。表面からアルカリ分などの各種イオンが溶出するため、水の腐敗を抑制する効果もあります。

左の学生が持つような色付きびんをガラスカレットにして発砲材と共に焼成すると、右の学生が持つ発泡ガラスになります。

左の学生が持つような色付きびんをガラスカレットにして発砲材と共に焼成すると、右の学生が持つ発泡ガラスになります。

このビンに入っている消しゴムのようなものが発泡ガラス。現在は発泡ガラスを、雨水を溜め込んでおくタンクの中に投入し、水の腐敗抑制・浄化にどの程度効果があるか観察しています。

このビンに入っている消しゴムのようなものが発泡ガラス。現在は発泡ガラスを、雨水を溜め込んでおくタンクの中に投入し、水の腐敗抑制・浄化にどの程度効果があるか観察しています。

除細動器は規模の大きな機器ではありませんが、点検項目は30にも及びます。心室細動は時間との勝負であり、1分遅れると、電気ショックによる心拍正常化の成功率は7~10%下がる、とも言われます。使いたい時に意図通り動作するよう、事前の点検・準備が欠かせないのです。

除細動器は規模の大きな機器ではありませんが、点検項目は30にも及びます。心室細動は時間との勝負であり、1分遅れると、電気ショックによる心拍正常化の成功率は7~10%下がる、とも言われます。使いたい時に意図通り動作するよう、事前の点検・準備が欠かせないのです。

心電図を測定する回路を自作してみる
胸や足に電極を取り付けて、心臓の動きを記録する心電図。健康診断などでも広く利用されており、心臓の病気を発見するための最も基本的な診断方法です。この心電図を測定する回路作りに高校生たちが挑戦しました。小さな穴がたくさん空いた、電子回路試作用の基板であるブレッドボードを机の上に置き、設計図に従って抵抗やコンデンサ、ICを差し込んでいきます。穴が小さいため、うっかりすると差す場所を間違えそうですが、図面通りに組み立てられればOK。試しに装着してみると、鼓動のような動きがきちんととらえられていました。

医師を中心とする医療チームの中で、機械に強いという特徴を持つのは、医療機器の操作を受け持つメディカル・エンジニアのみ。回路設計して装置を組み立てることは医療現場では滅多にありませんが、回路を読み取れる程度の基礎知識がないと、十分な保守管理はできません。生体医工学科でこうした知識が学べるのは、本学の基盤に工学があるからこそ、とも言えます。

医師を中心とする医療チームの中で、機械に強いという特徴を持つのは、医療機器の操作を受け持つメディカル・エンジニアのみ。回路設計して装置を組み立てることは医療現場では滅多にありませんが、回路を読み取れる程度の基礎知識がないと、十分な保守管理はできません。生体医工学科でこうした知識が学べるのは、本学の基盤に工学があるからこそ、とも言えます。

コダカラソウの葉っぱには細かく凹凸があります。芽が出るのは、その凹んだ部分だけ。でっぱった部分からは芽が伸びません。芽が出るのは上の方の葉だけで、下の葉からは出ません。実に不思議なメカニズムです。

コダカラソウの葉っぱには細かく凹凸があります。芽が出るのは、その凹んだ部分だけ。でっぱった部分からは芽が伸びません。芽が出るのは上の方の葉だけで、下の葉からは出ません。実に不思議なメカニズムです。

人がお酒を飲む時、脳内でどんなメカニズムが作動するか
お酒は、飲む人を心地よくさせます。「もっと飲みたい」という気分になって、2杯、3杯とコップを重ねる大人は少なくありません。またお腹が空いてきたりもします。なぜか。脳の視床下部には、側坐核を中心とする「脳報酬系」と呼ばれる部位があります。これは別名「快楽中枢」とも言われ、人間の「気持ちいい」という感情を司っています。お酒を飲むと、脳報酬系で、グレリンという食欲に関係するホルモンが増加します。このグレリンの増加が、人に「食べたい・飲みたい」気持ちを起こさせるのです。同時にグレリンは、神経伝達物質であり、快楽に大きく関与するドパミンを刺激します。その結果、人は気持ちよくなり、飲食への欲求を高めるのです。脳報酬系で起こるこうしたメカニズムを詳細に解明し、生活の改善などに役立てる。そんな研究が続けられています。

お酒に「はまる」、ゲームに「はまる」、スイーツに「はまる」...。「はまる」対象は異なっても、脳報酬系で起こるメカニズムは、実は同じ。「はまる」メカニズムを効果的に活用すれば、摂食障害に陥った人に「食べたい」という気持ちを起こさせることもできるかもしれません。

お酒に「はまる」、ゲームに「はまる」、スイーツに「はまる」...。「はまる」対象は異なっても、脳報酬系で起こるメカニズムは、実は同じ。「はまる」メカニズムを効果的に活用すれば、摂食障害に陥った人に「食べたい」という気持ちを起こさせることもできるかもしれません。

いかかでしたか?
ほんの一部ではありますが、広島工業大学の学びや研究に触れることができたのではないでしょうか。オープンキャンパスが、ご来場いただいた高校生の未来を決める指針や参考となったなら、これに過ぎる喜びはありません。
暑い中、多くの方にご来場いただき、ありがとうございました。