©Hiroshima Institute of Technology. All Rights Reserved.

学生自ら製造現場で課題を調査し 実践で学ぶ地域課題解決実習(PBL科目)

2019.11.06

このニュースは、クローズされました

地域の産業や行政が抱える具体的な課題を学生自らが調査し、解決策を見出すPBL科目。それが「地域課題解決実習(※)」です。学生が、課題解決という目標に取り組みながら、技術者に必要とされる主体的行動力と倫理観をあわせて修得することを目的としています。今回、株式会社今仙電機製作所にご協力いただき、実際の製造現場で課題抽出のための情報収集を行いました。学生がチャレンジするのは、製造工程管理技術の一つインダストリアル・エンジニアリング(通称:IE)。IEとは工場内の工程や作業を科学的に分析し無駄を見つけ、生産の効率化や品質向上につなげていくというものです。学生はどのように調査を行ったのか、その様子をご紹介します。

※「地域課題解決実習」は、全学科・全学年の学生が履修可能な授業科目であり、学科・学年の枠を超えて、お互いに刺激しあいながら学ぶことができます。
また、実習先は本学と協定を結んでいる企業や自治体の中から学生が希望(多い場合は抽選)することができます。

東広島市八本松にある広島工場を訪問。会社説明と工場見学後、分析のため製造現場の測定を行いました。

東広島市八本松にある広島工場を訪問。会社説明と工場見学後、分析のため製造現場の測定を行いました。

IEに挑むのは山本賢さん(電気システム工学科2年)。「知らない分野だけど、自分を変えたかった」と履修を決めたそうです。

IEに挑むのは山本賢さん(電気システム工学科2年)。「知らない分野だけど、自分を変えたかった」と履修を決めたそうです。

改善のヒントは、現場にある
今回、調査したのはクルマの部品を生産するセルライン(円形型のライン)です。ここでは2人の作業員が役割分担をして生産を行っていました。山本さんは、全体の作業工程の把握から開始。その後、機械作業、ネジ締めなどの人的作業、部品の補充や完成品の移動など、細かく動きをチェック。時には現場の作業員にお話を伺いながら確認していきました。

体幹の衰えは基礎代謝の低下にもつながります。片足立ちで目を瞑り何秒バランスを保てるかで体幹を確認することができます。

調査対象となったセルラインがこちら。現場にはピリッとした空気が張りつめていました。

定点カメラを設置し作業員の動作を撮影。映像は持ち帰って細かく分析し、数値化していきます。

定点カメラを設置し作業員の動作を撮影。映像は持ち帰って細かく分析し、数値化していきます。

カメラに映らないところは目視でチェック。山本さんは活発に動き回り、あらゆる角度から観察していました。

カメラに映らないところは目視でチェック。山本さんは活発に動き回り、あらゆる角度から観察していました。

現場で気づいたことは即座にメモ。

現場で気づいたことは即座にメモ。

株式会社今仙電機製作所の方と本学担当教員に改めてお話を伺いました

電子事業部 製造部(広島工場)部長 伊尾木美樹さん
「普段働いている我々は、生産工程に固定観念ができてしまっている部分があります。現場を知らないからこそ気づける課題がきっとあるはず。そんな第3者目線に期待しています。学生さんの自由な発想で分析していただき、改善案をどんどん提案していただきたいですね」

「良い提案は積極的に採用したい。どんな報告が聞けるのか今から楽しみです」と伊尾木さん。

「良い提案は積極的に採用したい。どんな報告が聞けるのか今から楽しみです」と伊尾木さん。

宗澤良臣先生(機械システム工学科 教授)
「人が行う作業は、ずっと同じではなく必ずばらつきが出ます。『なぜ違うのか?』を分析し、忍耐強く考えることが大切。それこそが社会で役立つ力になります。ものづくりは設計・開発が注目されがちですが、生産効率を上げる技術の必要性も実感してほしいですね」

「IEはデータ重視で数値に現れる。学生の発表でも説得力が違うので企業側の信頼も大きい」と宗澤先生。

「IEはデータ重視で数値に現れる。学生の発表でも説得力が違うので企業側の信頼も大きい」と宗澤先生。

丸1日かけて情報収集が終了。しかし、ここからがいよいよ本番です。山本さんはこれから撮影した動画や資料をもとに、大学内で本格的な分析を始めます。「少しでも会社に貢献できるよう、しっかり分析に取り組みたい」と、意気込む山本さん。果たしてどんな改善アイデアが生まれるのでしょうか。今後に期待しています。