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機械システム工学科

長谷川 信也

教員紹介

長谷川 信也HASEGAWA Shinya

工学部 機械システム工学科 教授

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○ディジタルホログラフィ
○情報光学
○光応用計測
【担当科目】
数値計算 、 情報の基礎 、 情報システム 、 情報システムA/B 、 機械工学実験
【研究テーマ】
1.光干渉技術を用いた、物体形状、分布などの計測技術に関する研究
2.振幅と位相を独立に制御できる位相変調素子に関する研究
【ひとこと】

貴重で短い大学生活で、自分のやりたいことを見つけてほしい。日本経済の長期低迷や少子化時代などにより、あまり夢や希望を持たないのではないかと危惧している。自分のやりたいことがわかれば、それに対し夢や希望を持ってやったことにはきっと結果がついてくるので、そのための努力を続けよう。

研究紹介

長谷川 信也HASEGAWA Shinya

工学部 機械システム工学科 教授

"光の技術"を利⽤し、ミクロンサイズの微粒⼦を精密に計測
PROLOGUE

⼀万円札の左下に、キラキラしたシールのようなものがあります。⾒る角度を変えると「10000の数字」や「桜模様」など、違う絵柄が出てくることに気づくはずです。これを「ホログラム」といいます。精巧に作られたホログラムは複製が困難なため、お札やクレジットカードの偽造防⽌という防犯上の理由で以前から使われていました。しかし、ホログラムの応⽤範囲は、セキュリティ分野にとどまりません。⻑⾕川先⽣は、そんなホログラムの多彩な可能性を追求しています。

ディスプレイや光ディスクなどに幅広く利⽤されている「ホログラフィ」。

ホログラムによって3次元の⽴体像を再⽣する技術を「ホログラフィ」と呼びますが、この技術はいろんなシーンで使われています。例えばディスプレイがそうです。⽴体像を再⽣できるので、⾒る⼈に強い印象を与えられます。これを医療分野に応⽤し、患者の体内を⽴体像で再現する研究も⾏われています。
⼀⽅、CD・DVD・ブルーレイなどから、⾳楽や映像を再⽣する場合、ディスク情報を再⽣する光ヘッド部にホログラムを⽤いるケースがあります。それによって、光ヘッドを⼩型化できるんです。最近では、⾃動⾞のフロントウィンドウに情報を表⽰するヘッドアップディスプレイや、VRで用いるメガネのようなウェアラブルディスプレイを開発する際にも、光学素⼦としてのホログラフィ技術が活かされています。
いろいろな場⾯で活躍しているホログラフィですが、そもそもホログラフィとは何でしょうか?ある物体に、波の性質をもっているレーザ光をあてます。物体にあたって反射(または透過)した光(「物体波」といいます)は、もともとの波と⽐べると、波⾯に変化が⾒られます。この変化した波⾯を正しく記録しておけば、物体がそこに無くても、もとの形を再現できるようになります。これがホログラフィのもととなる考え⽅です。

光と光を⼲渉させることで⽣まれる「⼲渉縞」がカギ。

では、変化した波⾯をどうやって記録するのでしょうか?
物体波に対し、別⽅向からレーザ光をあてます(「参照波」といいます)。すると光同⼠が「⼲渉」し、「⼲渉縞」という縞模様を作ります。この縞を写真乾板に記録したものをホログラムと呼びます。
⼲渉縞は、物体波と参照波の交差する角度で縞の間隔が決まります。さらに、対象物の形状により交差する角度は場所ごとに変わるため、縞の間隔も変わり、物体を3次元化する情報を得られます。
これらの情報を記録したホログラムに光をあてると、⼲渉縞が回折格⼦(グレーティング)の役割を果たし、物体の3次元の⽴体像が再⽣されます。このホログラムから物体を再⽣する⼿法の性能をいかに向上させるかが、私の研究テーマの⼀つです。

⼀本のレーザ光を分けて、一方は「物体波」として物体(この図でいえば、中央の⿃)を照らします(図の左の光)。もう一方は「参照波」として、物体から反射した光に⼲渉させます(図の右の光)。これによって「⼲渉縞」が得られます
「⼲渉縞」を分かりやすく表した図。図1(上)と図2(下)では、⼆つの波(光)のあたる角度が異なっているため、「⼲渉縞」の間隔も違っています。交差する角度が⼤きいときには、
⼲渉縞は図2のように細かくなります

3次元の⽴体的な物体の形状を⼀瞬で記録するホログラフィ技術。

私が目指しているのは、デジタルホログラフィを⽤いた3次元物体計測のAIを用いた⾼性能化です。例えば、流体の流れの複雑な動きを可視化するために、トレーサと呼ばれるミクロンサイズの微粒⼦を流体に入れて、その位置を動的に調べることが行われています。また環境保全のために、空間を時々刻々移動する微粒子の3次元の分布を測定する必要があります。
ただ1つ、⽋点があります。⼲渉縞の記録に使う写真乾板は、記録のたびに取り替えないといけません。つまり、現象のある瞬間は計測できても、時間変化を継続してとらえることは難しいわけです。そこで、デジタルカメラに使われているCMOSのような素⼦をホログラムの記録に⽤いる「デジタルホログラフィ」の研究が進められています。
また、凸レンズにより光を集めた波をホログラムに記録したとしましょう。このホログラムに光を当てると、凸レンズと同じように光を集められます。凸レンズは中央部に膨らみをもたせる必要がありますが、ホログラムは平板のままで機能します。その分、サイズを⼩さくできるわけです。レンズや鏡のような光学素⼦に比べ省サイズ・低コストで、複雑な波⾯を再⽣できる。ホログラムにはそういった「回折光学素⼦」としての可能性もあります
セキュリティ、ディスプレイ、医療、物体計測、環境・エネルギーまで。ホログラフィの活躍領域はますます拡⼤します。そのためにも、基礎研究を積み重ねたいですね。

先⽣の指導のもと、
レーザ光を⽤いた⼲渉縞の
記録を⾏うゼミの学⽣たち
レーザ光の角度が変わると
⼲渉縞も異なるので、
丁寧に設置しないといけません