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機械システム工学科

岡部 卓治

教員紹介

岡部 卓治OKABE Takuji

工学部 機械システム工学科 教授

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○機械材料学
○材料力学
○塑性加工学
【担当科目】
材料の基礎 、 材料力学A/B 、 機械工学実験B
【研究テーマ】
1.メカニカルミリングのメカノケミカル活性化効果を利用した粉末焼結体の作製
2.熱間等方圧プレス(HIP)処理による多孔質焼結体の作製
3.サーボプレス付き放電プラズマ焼結機による反応焼結鍛造
【ひとこと】

自分の可能性を信じ、「得意淡然、失意泰然」で、楽しく充実した大学生活を過ごしてください。

研究紹介

岡部 卓治OKABE Takuji

工学部 機械システム工学科 教授

造る時には加⼯しやすく、完成した後は頑丈。
そんな⾦属材料は⽣まれるか︖
PROLOGUE

例えば⾃動⾞は、様々な⾦属部品の組み合わせで造られています。一つひとつの部品は、素材となる⾦属を目的に合った形に加⼯することで⽣まれます。素材があまりに硬すぎると加⼯が難しくなるので、加⼯のことを考えると、素材はできるだけ柔らかい(加⼯しやすい)⽅がいいでしょう。しかし製品の完成後は、簡単に壊れるような部品は安⼼して使えないため、頑丈になってくれないと困ります。「加⼯しやすさ」と加⼯後の「頑丈さ」という、相反する条件を満たす…そんな⾦属材料を造りたい!と取り組むのが岡部先⽣です。

⾦属粉末をボールの入った容器に⼊れ、激しくかき回すこと(ボールミル)で合⾦化する

金属はいくつかの種類と混ぜ合わせて、合⾦にして⽤いることが頻繁にあります。これにより「硬くてサビに強い」など複数の機能を持たせられるのです。合⾦を造るための⼿法として私が研究しているのが『メカニカルアロイング(MA)』。簡単に言うと、複数の⾦属(セラミクスを加えることもあります)の粉末を、パチンコ玉のようなボールの⼊った容器の中に⼊れ、ボールごと粉末を激しくかき混ぜるのです。実験で主に取り上げるのは「チタンとアルミ」や「ニッケルとアルミ」といったアルミナイド系の材料です。
ボールミル容器内でかき混ぜられた粉末は原⼦レベルで混ざり合い、やがて化合して⾦属間化合物になります。新たな合⾦(化合物)のできあがりですね。ただし私は、完全に反応を完了させず、「加熱などのあと⼀押しで化合物となる」⼿前の状態でとどめます。完全なる合金化が目的でないので、『メカニカルミリング(MM)』というのが正しいかも知れません。
通常、燃焼による合⾦化(燃焼合成)では、混合粉末の圧粉成形体に着⽕させ、化合発熱により1000℃を超える⾼温となり、反応速度も速く、全体が⾦属間化合物となった後は加⼯しづらくなります。しかしメカニカルアロイングを利⽤し比較的短時間で止めると、着⽕する温度は低まり、⽐較的低い温度でゆっくり反応が進むので、制御も可能。合⾦化してしまう前に加⼯・成形できるわけです。

熱間加⼯前
熱間加⼯後
(難加⼯材が超塑性的に⼤きく変形し、
コイン状になっています)

メカニカルアロイングを軸に、新たな材料や加⼯法を追究

融点差や⽐重差が⼤きいなど、溶解による合⾦化が難しい素材の場合、メカニカルアロイングは特に効果を発揮します。私は、混合する⾦属粉末を変えて合⾦・材料を造り、その性質を調べています。そして「メカニカルアロイングと燃焼合成」という具合に様々な⽅法を複合的に⽤いることで、効果の高い塑性加⼯や、加⼯しやすく壊れにくい新材料について研究しているのです。
⼀般に、材料は強度を上げようとするともろくなります。簡単には壊れない(靭性が高い)が、強度もある『粘り強い材料』はなかなか造れません。この突破⼝になると考えているのが、結晶粒がナノオーダーという非常に小さい材料です。結晶粒を小さくすると、靭性を⽐較的落とさずに強くすることができ、熱間加⼯性(塑性加⼯)が向上し、熱間の加⼯速度も向上するはずです。メカニカルアロイングによって熱間加⼯性を向上させる材料開発も⾏っています。
メカニカルアロイング以外で、熱間等⽅圧プレス(HIP)にも注目しています。これは、対象とする材料に、⾼熱と共にガスによる⾼圧を加え、材料内の空隙を押しつぶして緻密化し、⾼性能な材料を創製しようというもの。これを利⽤した⾼強度多孔質体の創製に取り組んでいます。HIP設備を学内に持つ⼤学は少なく、広島⼯⼤だからこそできる研究の一つです。

HIP装置

究極の目標は、「加⼯しやすく、壊れにくい」材料の開発

せっかく大学内の研究・実験設備に恵まれているので、学⽣にはこれらを使⽤した、より新しいテーマに取り組んでもらいたいと考えています。具体的には、メカニカルアロイングのほか、新しいサーボプレス式通電焼結法や、最新型のスポット溶接機を活かした直接通電焼結法などを研究する学⽣もいます。環境にやさしく短時間・省エネ焼結を目指しています。材料に関して、塑性加⼯についてなど、研究内容はバラエティーに富んでいますね。
私たちの目標は「加⼯しやすく壊れにくい」など、これまでにない新材料の開発に寄与すること。いろんな素材を、多彩なやり⽅で混合するのですが、狙い通りの結果を得るのは簡単ではありません。⽇本の様々なメーカーが⻑い期間をかけて挑戦するほどの⼤きなテーマですから、無理もないでしょう。ですが、こうした研究を積み重ねることが、将来の画期的な成果を⽣む基礎になるのです。

治具が取り付けられた抵抗スポット溶接機
(直接通電焼結実験)