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建築デザイン学科

河内 浩志

教員紹介

河内 浩志KOUCHI Hiroshi

環境学部 建築デザイン学科 教授

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○建築施設整備計画・設計
○建築歴史・意匠・建築論
【担当科目】
建築デザイン論 、 建築計画 、 施設計画B 、 現代の建築 、 建築論 、 住居デザイン実習A/B 、 建築デザイン手法A/B 、 建築デザイン実習A/B 、 製図技法 、 デザインワークショップ 、 デザインスタディA/B/C/D 、 デザインスタジオ 、 専門ゼミナールA/B 、 居住環境計画(大学院) 、 都市計画(大学院) 、 居住環境システム(大学院) 、 環境構想システム(大学院) 、 環境学特別演習Ⅰ/Ⅱ(大学院) 、 環境学特別研究Ⅰ/Ⅱ(大学院)
【研究テーマ】
1.建築家・作庭家のデザインと建築史・建築論に関する研究
2.建築/住宅/庭園での3Dデータ活用と体験的・総合的デザインへの展開の研究
3.少子高齢化社会での地域連携複合型の幼児関連施設の計画に関する研究
4.CLTを用いた住宅・建築のデザイン展開と木材利用の促進に関する研究
【ひとこと】

感動する建築の花は、苦労と苦悩の間に、香しい作品を開花させます。漠とした思考や直感を美しい形へ結実させるには、「稽古」を重んじ「初心」を忘れぬことが大切で、それは、建築の本質・建築の花を知る近道であり最善の武器でしょう。

研究紹介

河内 浩志KOUCHI Hiroshi

環境学部 建築デザイン学科 教授

目に見えない住まいの「豊かさ」や「温もり」は、
どうすれば実現できるか?
PROLOGUE

「建築家」と言うと、「カッコイイ建物」や「オシャレな住宅」を設計する人、と思っていませんか? 有名な建築家の作品を見て、自分もあんな風にカッコイイ建物をつくってみたい…と憧れるのも無理はありません。でも、河内先生は言います。「建物をつくるだけが建築家(技術者)の役割ではない。住まいであれば、庭やインテリアにも創意を施し、“豊かさ”や“温もり”まで実現しようというのが、本当の建築家(技術者)です」。でも“豊かさ”や“温もり”って、どうやったら目に見える形になるのでしょう?

広い視野を持った、「本物の建築家(技術者)」を育てたい

「建築」と聞いて多くの人は「建物(モノ)をつくること」と考えるでしょう。しかし本来の「建築」、Architectureの意味はもっと広い概念です。
例えば、住まいは、生きている人間と深く係っている。共にある庭も、建築の一部。どんなテーブルや椅子を使うか、インテリアはどうするか…なども含みます。さらに、そこにどんな「豊かさ」や「温もり」、「心地良さ」があるか、といったことも。どれほど性能や構造に優れた住まいでも、それだけでは単なるハコ(モノ)に過ぎません。人々の日常の営みがあって初めて、建築は「住まい」となるのです。
温もりのある住まいが寄り添い合って「街」ができます。街がいくつか集まると「地域」「都市」となり、「環境」「風土」となる。本当の建築家(技術者)は「都市」「環境」まで見渡す広い視野を持っています。その最小の構成単位である「住まい」で、どんな“豊かさ”や“温もり”を実現すべきか、と考えながら建築と向き合うものです。
私は、本当の建築家(技術者)を育てたいと思っています。目に見えず、触ることも測ることもできない“豊かさ”や“温もり”まで建築に込める、本物の建築家(技術者)を。

「何をつくるか」ではなく「“豊かさ”や“温もり”をどう実現するか」

目に見えない“豊かさ”や“温もり”を実現するために、どうすればよいか? 私は、学生に、一流と評される建築家(技術者)の作品と、その発言を紹介することから始めます。
吉村順三という建築家(技術者)がいます。彼はよく、住宅の中に暖炉を設置します。とてもカッコイイ外観ですが、実はこの暖炉、あまり薪が燃えません。と言うのも、彼は「チロチロと燃える火を見るのが好きで、火となるべく長く付き合いたかった」のです。つまり、吉村順三は「カッコイイ暖炉』をつくりたかったのではなく、「火と長く向き合える喜び、炎と語り合える楽しみ』を実現したかった。その手段が「燃えない暖炉」だったに過ぎないのです。また吉村順三は照明を設置する際、「どんな照明器具にするか」ではなく、常に「人とあかりがどんな付き合い方をするか」と考えていました。
一流の建築家(技術者)は、誰しも同様の考え方をしています。「何をつくるか」ではなく「それをつくることでどんな“豊かさ”や“温もり”を実現するか」が、彼らの基本姿勢。これらを学ぶことが、本物の建築家(技術者)になる第一歩だと思います。

1年次のうちから設計を体験。できた作品は実際に建築されることも

「一流の建築家(技術者)たちの作品や発言を学ぶ」以外にも、学生には通常の建築デザイン系学科であまりないことに取り組んでもらっています。
私の担当の設計演習では、1年次のうちから住まいの設計をします。そこでは設計製図の基本を学びながら、実際の敷地に配置を決め、自由設計の木造住宅を建てる、といったテーマを設定して実施します。こう言うと「構造の勉強もしていない1年次生に建物が設計できるのか?」と驚かれます。学生諸君は、建築家(技術者)を志しているのですから。スポーツでも、素振りやランニングばかりでなく、試合させる方が成長は早いでしょう?
実際1年次生が作った設計図を見ると、緊張感を持ちつつ楽しんでいるし予想以上にしっかりしていますよ。設計図ができたら次はパースを作成し、さらにスタディ模型までつくります。協力者援助者のハウスメーカーの社長が、1年次生の作品を見て感心し、「ぜひ実際に建築させてほしい」と言い出し、実現したこともあります。実は、1年次生の作品を見て一番驚いているのは、私自身なのです。私が学生の頃はできませんでしたから。
本物の建築家(技術者)は設計だけじゃなく、現場の工事や建設費用についてもよく知っています。全体を見渡せるから、良い建築ができるんです。学生たちにはここで学ぶことで、そういった視野も身につけてほしいと思います。