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情報工学科

永田 武

教員紹介

永田 武NAGATA Takeshi

情報学部 情報工学科 教授

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○知的情報処理
○システム工学
○分散情報処理
【担当科目】
電力システム工学 、 知的情報処理 、 自律分散情報処理
【研究テーマ】
1.マルチエージェントを利用した自律分散型システムの産業界への応用技術
2.電力自由化市場における新しい電力エネルギー供給技術
3.省エネルギーのためのエネルギ監視システムの開発
【ひとこと】

「I、T、πの精神で技術者生活を送れ」・・・これは、私が企業で仕事をしていた時に、技術的活動する際の行動指針の一つとして聞いたものです。 "I"とは、技術者たるもの一つの専門分野を見つけ、それを掘り下げよと言う意味、"T"とは、一つの専門を極めたら、他の分野についても伸びていけということです。さらに、"π"のもう一つの縦棒は、一流の技術者になるには専門をもう一つ持てという意味を表しています。このようなことで、もう一度「I、T、π」を眺めてみると、技術者としての一つの生き方が凝縮されているように思えます。時々、この言葉を思い出して、身を引き締めています。

研究紹介

永田 武NAGATA Takeshi

情報学部 情報工学科 教授

農業、医療、介護、地域ビジネス…
さまざまな分野のIoT推進に貢献する技術を開発
PROLOGUE

あらゆるモノをインターネットでつなぎ、日常生活や仕事をもっと便利にするIoT化が本格的に進行中。メーカーやIT系企業ではもちろん、教育、農林水産、地域ビジネス、観光、防災、医療、介護、健康など、さまざまな分野でIoTの活用が検討されています。こうした状況を受け、IoTの普及・発展に貢献する技術を提供しようと研究を重ねているのが永田先生。IoT関連の講義を担当し、小型コンピュータのRaspberry Pi(通称:ラズパイ)について教える先生のもとには、学生のアイデアによるさまざまなテーマが寄せられています。

小型コンピュータのラズパイを活用し、IoTの難しい環境でシステムを構築

小型コンピュータのラズパイは電力をそれほど消費しませんし、サイズが小さいのでどこにでも組み込めます。それでいてセンサを制御したりデータを無線で飛ばすなど、一通りの機能は持っているため、使い勝手が良いのです。私のゼミでは、ラズパイを利用したIoT環境を構築しようと取り組んでいます。
簡単な仕組みとしては、温度・人感センサとの連携があります。センサによって部屋に人が移動したかどうかをチェックし、無線で遠隔地まで情報を飛ばすのです。これは例えば、離れた田舎で暮らす高齢の親の無事を確認したい、といった見守りシステムとして使えます。
カスタマイズすると、農地を荒らす鳥獣の監視にも役立ちます。防水仕様の赤外線カメラを農地に設置。取得した動画データはラズパイにより無線で飛ばします。無線の通信距離はせいぜい数百メートルですが、農地の脇の民家まで飛べば、そこから先はネットにつながるので問題ありません。農地に電源はありませんが、小サイズの太陽光パネルを上部に置き、その電力で稼働します。実際に設置してみると、夜間に農作物を食べに来るイノシシの姿が、ちゃんとキャッチできました。

ゼミ室内に設置した人感・温度センサ。
ゼミ室への入室状況が一目でわかります

準天頂衛星「みちびき」とトイドローンを応用したシステム構築も検討中

農業関連では「キャベツの収穫時期を知りたい」というテーマもあります。自宅からキャベツ畑まで車で2時間ほどかかり、わざわざ行って収穫できないと無駄足になるため、タイムリーにわかるシステムが欲しい、というものです。基本は鳥獣監視システムと同じですが、植物の生育状況をどう判断するか、遠隔地の無線データをどう経由させるか、などが課題です。
「ため池からポンプで汲み上げた水を、みかん畑に適切なタイミングで水撒きをするシステム」に取り組む学生もいます。池から水を汲むのも重労働なので、自動で汲み上げたい。どうせなら汲むだけじゃなく、畑の水分をセンサで計測し、乾燥状態に応じて自動で水を撒くようにしたい、というものです。これもラズパイで機器のオン・オフを制御させれば、実現できそうです。
今後取り組みたいのは、準天頂衛星みちびきのデータと簡易なトイドローンを連動させたシステムです。みちびきを利用すると、誤差数センチという非常に高い精度で位置データを取得できます。みちびきの精度でトイドローンを動かし、そこにラズパイを搭載して農地の生育状況をかなり詳細に把握することも可能でしょう。しかもコストはせいぜい数万円なので、このシステムは多方面に活かせると思います。

研究用のトイドローンとラズパイ。
サイズが小さいので、トイドローンにも搭載可能

マルチエージェントシステムで大規模ネットワークの問題を解決

私は従来から、マルチエージェントシステムの研究に取り組んできました。処理能力の大きなコンピュータに、ネットワーク上で起こる全ての課題を処理させようとすると、システムが膨大になってしまいます。そこでネットワークをいくつかのエリアに分散し、エリアごとに置いたエージェントに問題を解決させます。こうするとシステムの負荷が軽減できますし、一つのエージェントがトラブルに見舞われても他のエージェントが補完するため、ネットワーク全体のダウンといった深刻な事態が避けられます。
特に電力ネットワークなどの規模の大きなネットワークでは、効果が期待できます。昨今は地震や豪雨など自然災害も多発していますが、社会の重要なインフラである電力には、決してダウンしない堅牢性が求められます。また「スマートグリッド」などの環境を実現するには、電力供給・消費がどこでどの程度行われ、どの電力をどこに送るか、といった全体最適を実現する仕組みが欠かせません。まさにマルチエージェントの特長が発揮できる分野なのです。
IoTとマルチエージェントシステムを2本柱として、社会のさまざまな課題を解決していきたい。そうした経験を学生にも積ませたいですね。

学内環境を使って
マルチエージェントシステムを研究