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生体医工学科

小川 英邦

教員紹介

小川 英邦OGAWA Hidekuni

生命学部 生体医工学科 教授

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○生体情報
○情報技術
○ネットワーク
○システム工学
【担当科目】
情報処理工学 、 システム工学 、 問題解決法 、 人間情報学(大学院) ほか
【研究テーマ】
1.点滴モニタリングシステム
2.インターネットを用いた介護支援システム
3.徘徊高齢者介護支援システム
4.高齢者コミュニケーションサポートシステム
5.高齢者安全生活支援システム
【ひとこと】

大学は、欲しがる学生に知識を与えるところです。じっと待っていては、何も得るものはありません。1年生も積極的に顔を見せに来てください。環境は人を変える。朱に交われば赤くなる。霧の中を歩めば覚えざるに衣湿る。

私の考えは、「来る者は拒まず、去るものは追わず」です。(他学科学生も歓迎)
大学生活を有意義に過ごしたい人は、一緒にいろいろしませんか?特に、資格取得を目指す人は、ぜひ相談に来てください。勉強の仕方やコツ教えます。

資格を取得している人は、お手伝いしてください。人の資格取得を手伝うと、自分にも大きな力を得ることができます。

大学生活は、自由であるべきです。しかし、自由には、必ず責任がついてくることを忘れないように。

研究紹介

小川 英邦OGAWA Hidekuni

生命学部 生体医工学科 教授

万が一の医療トラブルも見逃さない。
点滴の落下を監視するシステムを開発
PROLOGUE

病院に行くと、ベッドに横になり、点滴を受けている患者さんを見かけることもあるでしょう。ぶら下がった輸液の袋から流れた液は、筒のところで滴となりポタポタと落ち、チューブをつたって体の中に入っていく、という点滴は、病気の治療に欠かせないものの一つです。もし、点滴に何らかの問題が発生してしまったら、患者さんにとっては大変な事態となります。こうした万が一の医療トラブルを防ぐためのシステムを開発したのが小川先生。先生は、医療のさらなる高度化に貢献しているのです。

点滴の状態を、看護師の目視ではなく、自動で検知できないか?

患者に輸液を投与する方法はいろいろあるのですが、日本の病院では自然落下式が主流です。一滴ずつポタポタと落とし、少しずつ患者の体に送り込む、というやり方ですね。あの「一滴ずつ」という落ち方には、ちゃんと意味があります。輸液の種類によっては、あまりにも早く患者の体に入ってしまうと、患者にかえってダメージを与えるものもあります。そうならないように、輸液の入るスピードをコントロールしているわけです。
自然落下式の場合、輸液が予定通りの安定的な速度で落ちているか、輸液がなくなっていないかといったことは、看護師が自分の目で確認するしかありません。もちろん、医師や看護師は点滴で問題が発生しないよう、細心の注意を払った管理を行っています。とは言え、他にも多くの患者を担当する看護師が、自然落下の輸液を100%完全に管理するのは難しいのもまた事実です。
ならば、輸液の落下を看護師に代わって監視するシステムがあればいいのではないか、と考えました。輸液の落下部に手のひらサイズの小さなセンサを組み込み、輸液の状態を自律的に検知するのです。

自然落下式の点滴の、落下速度と終了時間を厳密管理できる

輸液の落下部では、まず小さな粒ができ、それが徐々に膨らみ、大きな一滴となってチューブに落ちていく、という現象が繰り返されます。また輸液は電気を通します。そこに着目し、落下部の周囲に電極を配置することにしました。
粒が小さく、周囲の電極から離れているときは、電圧も小さいまま。ですが粒が大きくなり、電極に近づくに従って電圧が大きくなります。落下するといったん小さい状態にリセットされ、次の粒が大きくなるに従い、また電圧が大きくなっていきます。これをモニタしグラフにすると、ノコギリの刃のような波形が表れます。
つまり波形で輸液の落下を確認できるのです。波形の間隔が狭いと、輸液の落下速度が早くなっていることを示します。グラフが完全にゼロになり、ノコギリ状の波形が表れなくなったら、その時の電圧で輸液がなくなったか、輸液が中断していることを意味します。
抗ガン剤など、患者の体に送る速度を厳密に管理しないといけない輸液の場合、自然落下式でなく輸液ポンプを用いる場合もあります。ただ、輸液ポンプは圧力がかかるため、血管の弱った高齢の患者に使いにくいという懸念があります。しかしこの輸液監視システムなら、自然落下式で厳密な管理が可能となります。

輸液監視システムを使うとこのようなノコギリ状の波形が検出されます。この波形が出ているときは輸液が落下していることを示します

専門の異なる研究者同士が、力を合わせて課題解決にあたる

他に、高齢者向けの災害時避難誘導システムも手掛けました。高齢者の中には人工呼吸器が必要な人もいます。こういう高齢者が災害で避難する場合、停電を想定し、自家発電設備の整った場所へ誘導しないといけません。同様に、人工透析を行っている人は、透析に必要な水を確保するため、浄水設備のある場所へ誘導する必要があります。また車椅子の方の場合は階段のない避難所へ誘導する、など、高齢者の状況に合った避難誘導システムになっています。
これらのシステムは、私一人の力で開発したわけではありません。学科に所属する先生や学生に協力を仰いで協働したおかげで、いろんなアイデアが生まれ、システムを向上させることができたのです。
本学科には互いの知識を集めて目的達成を図る、という風土があります。学生のゼミ室を先生ごとに隔てていないのも、異なる分野の学生・先生同士が協力体制をとれるように、との配慮からです。学科内には、特許を取得できるような研究・開発テーマがごろごろ転がっており、年に2〜3本は特許申請しています。学生の研究が特許取得や最先端医療機器の開発に結びつくことも珍しくなく、やりがいの持てる研究テーマに恵まれていると思います。