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電子情報工学科

戸梶 めぐみ

教員紹介

戸梶 めぐみTOKAJI Megumi

工学部 電子情報工学科 准教授

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○医療安全システム
【担当科目】
医用機器安全管理学 、 医用機器安全管理学実習 、 医用治療機器学実習 、 生体機能代行装置学 、 生体機能代行装置学実習 、 生体計測装置学実習
【研究テーマ】
1.医療機器技術教育用トレーニングシステムの開発とその教育効果の検証
【ひとこと】

医学と工学が融合した臨床工学という学問のおもしろさを体感しながら、未来の有望な臨床工学技士を目指し、共に学んでいきましょう。

研究紹介

戸梶 めぐみTOKAJI Megumi

工学部 電子情報工学科 准教授

医療現場のリアルを疑似体験できる
トレーニングシステムを開発。
PROLOGUE

⼼臓や肺に代わる働きをする『⼈⼯⼼肺装置』、自発呼吸が困難な⼈の換気を助ける『⼈⼯呼吸器』、⽼廃物などの排泄・代謝機能が働かなくなった場合に使う『⾎液透析装置』。⼤学を卒業し、現場に出た臨床⼯学技⼠は、いきなりそうした機器と向き合うことになります。実習や講義を⼗分に受けていても、経験が少なければ、誰でも不安を抱くもの。そこで「医療機器操作のトレーニングシステムがあれば不安解消に役⽴つのでは?」と研究を重ねるのが⼾梶先⽣。臨床⼯学技⼠として9年間働いたキャリアを⽣かし、開発に取り組んでいます。

⾞の運転を学べるシミュレータはある。では、医療機器のシミュレータは?

⾃動⾞教習所では、運転シミュレータによって「事故を体験させる」講義があります。ひとつ間違えば命に関わる場⾯で、どう対処するか…。シミュレーションという仮想空間でトレーニングを繰り返すことは、緊迫した状況での正しい判断と⾏動を⾝に付ける上で、有効な⽅法です。
臨床⼯学技⼠の世界でも、こうしたシミュレーショントレーニングが活発化しています。実は私⾃⾝も、臨床⼯学技⼠を目指して⼤学に進学しました。しかし、学べば学ぶほど職務の責任の重さを痛感し、「患者さんを目の前にしたとき、冷静に対応できるのだろうか…」という不安に駆られるようになったのです。
不安を払拭するには、現場特有のリアル感のもとで訓練を重ねるしかない…。卒業研究のテーマを選択する際に、私の頭の中に真っ先に浮かんだのがトレーニングシステムの研究でした。そこで、所属ゼミの先⽣とともに、まず⼈⼯⼼肺装置のトレーニングシステム開発に着⼿したのです。

医療現場を目指す学生たちに
良いトレーニングの機会を
提供するため、
研究に取り組んでいます。

⼈⼯⼼肺使⽤時の容態変化や、トラブルを疑似体験できる。

従来、⼈⼯⼼肺装置の操作トレーニングとしては、体外循環⽤の⾎液回路を水で満たし、循環の様⼦を確認するだけの、ごく初歩的な内容しかありませんでした。しかし医療現場では、患者の状態に対し、いかに臨機応変に対応できるかが重要です。⽔を流して基本操作を覚えるだけでは、臨機応変さは習得できません。
そこで考案したのは、⼈⼯⼼肺装置を必要とする様々な患者の⾎圧や⼼電図などをモニタ上に再現するシミュレーションシステムです。システムを⼈⼯⼼肺装置に接続すると、システムが患者の状態変化などの情報を送ってきます。訓練を受ける者は、システムが送ってきた⾎圧や⼼電図の情報から状況を読み取り、⼈⼯⼼肺装置を操作して容態を安定させるのです。
システムでは患者の⽣体データだけではなく、⼈⼯⼼肺装置そのものの機械トラブルも再現できます。シミュレーションの中で対処を繰り返すことで、技術を確実に⾝に付けさせることができるわけです。このトレーニングシステムは医療機器メーカーによって製品化され、現在では医療従事者の研修や養成学校の教材として活⽤されています。

ゼミの学生と⼒を合わせ、⼈⼯呼吸器のトレーニングシステム開発に着⼿。

⼈⼯⼼肺装置の後、⾎液透析装置におけるトレーニングシステムも開発。この開発も⼀段落し、現在はゼミ⽣とともに⼈⼯呼吸器のトレーニングシステム開発に取り組んでいます。
呼吸療法には臨床⼯学技⼠だけではなく、看護⼠や理学療法⼠、ドクターなど複数の医療従事者が携わります。でも、全員が機器のメカニズムに習熟しているわけではなく、治療中に「ヒヤリ」とした経験をした⼈も多くいます。そういう意味では、トレーニングシステムのニーズが⾼いと⾔えます。しかし、開発にあたってはたくさんのハードルがあります。例えば⼀⼝に「呼吸不全」と⾔っても、肺の弾⼒性の低下によるものもあれば、気道抵抗によるものなど、原因は様々。また肺胞とそれを取り囲む⾎液とのガス交換の状態など、幅広い病態のデータを組み込まなくてはなりません。多様な課題を、ゼミ生とともに役割分担しながら研究を進めています。
⼀⼈ひとりが強みを発揮しながら、チームとしてひとつのモノをつくっていく。こうした経験は単なる知識の獲得にとどまらず、将来、チーム医療の⼀員として働く上でも役に⽴つはずです。
すべての人々に健康と福祉を届ける。SDGsのそんな目標を実現するためにも、医療現場を目指す学生に質の高い教育を提供し、医療サービスのレベルアップに寄与していきたいですね。