2009年度入学式式辞(2009年4月4日)

2009年度に入学された皆さんへ

広島工業大学で何を学ぶか

はじめに

広島工業大学入学、そして大学院進学、おめでとうございます。これまでと違った新しい環境への喜び・希望と同時に不安もあろうかと思います。私たち教職員・在学生は心から皆さんを歓迎します。一緒にやっていきましょう。

保護者の皆様にはご子女のご入学を心からお喜び申し上げます。また来賓の皆様、ご多忙のところ、若者たちの門出の席に足を運んでいただきましてありがとうございます。高いところからではございますがお礼申し上げます。

今日は、①広島工業大学はどんな大学か、②広島工業大学で何を学ぶか、そして③広島工業大学ではどのような学び方をするか、この3つについてお話しまして、皆さんへの歓迎の言葉とさせていただきます。

広島工業大学はどんな大学か

まず、広島工業大学はどんな大学か。
広島工業大学は、短期大学を前身として、1961年、創設されました。創設した方は鶴襄先生で本館前に銅像が建っています。今日、皆さんを迎えて執り行っているこの入学式で49回目の新入生を迎えることになります。本学を巣立った卒業生の数は、約38,000名になります。大学院は設置後20年になり、修了者は約1,000名です。技術系大学としては、この地域にあって最大規模の実績を誇る伝統ある大学です。

卒業生の皆さんは、広島、中国四国地方、関東、関西そして世界のあちこちで活躍しております。そうした卒業生の活躍と営々とした教育実績の積み重ねによって、本学には、誠実と言える学風が築かれています。それは建学の精神である「教育は愛なり」にふさわしいものです。先輩たちが築いた広島工業大学の伝統と学風を誇りに思ってください。

本学の名称にある「工業」は、「技術・technology」と言ってもいいかと思います。技術・technologyは、例えば、これまで100人で住んでいたところに、1,000人で、しかも限られたエネルギーのもとで安全に安心して住むことを可能にします。生産地に放っておけば腐るだけだったバナナを一定条件のもとで運ぶことによって、経済的価値を生み、作った人も食べた人も幸せにすることができます。技術・technologyは、不可能を可能にし、新しい経済的価値を生み、そして人々を幸せにします。

広島工業大学はどんな大学か。広島工業大学は、このような技術が日本にとって、そして人類にとって大切で欠くことができない重要な分野であるという認識をもって、それを担う人材を育成している大学です。

広島工業大学で何を学ぶか

次に、広島工業大学で何を学ぶか。
技術・technologyは、人の生活や命を預かります。手抜きをしたり、自然法則に則らない設計をすると人の命を奪うことになります。だから皆さんは、自然の法則や知識、そしてそれらを使いこなす方法と力を身につける必要があります。大学院ではもっと高度で体系的なものになります。それは技術者としての基本の学びです。技術系の大学であればどこの大学でも学ぶことです。

しかし、広島工業大学は、「常に神と共に歩み 社会に奉仕する」という教育方針を掲げております。これについては少しく説明する必要があるでしょう。

「常に神と共に歩む」は、人間の力をはるかに超えた何か偉大なもの、Something Greatとでも言えますでしょうか、を常に意識するということです。「ばれるばれない」、「人が見ている見ていない」を行動基準とすることがままあります。しかしSomething Greatを常に意識するのですから、「ばれるばれない」や「人が見ている見ていない」に関係なく、「やってはいけないことはやってはいけない」ということになります。これを「倫理」と言います。技術に関する倫理を特に「技術者倫理」と言います。

自然は人間の力で創ったものではなく、Something Greatの領域です。だから、Something Greatを常に意識することは、自然を畏敬すること、自然に対して謙遜になることです。それは環境を大切にすることを意味します。

「社会に奉仕する」については説明の必要はないでしょう。21世紀には、社会を第一としない技術、社会とのかかわりのない技術者はありえないでしょう。

広島工業大学で何を学ぶか。広島工業大学では、命を預かる技術者としての基本を学びます。そして、高い技術者倫理を実践する力、環境保全と社会奉仕のために行動する力、本学ではこれらを一言で「社会、環境、倫理」と言っていますが、これらを身につけます。

広島工業大学ではどのような学び方をするか

最後に、広島工業大学ではどのような学び方をするか。
皆さんはボランタリーという言葉を耳にしたことがあるでしょう。英語のvoluntaryのもともとの意味は「自ら進んで」という意味です。誰から命ぜられたことでもないが、自分の思いから何かをやるという意味です。だからvolunteerという英語には、誰に頼まれたわけではなくとも、祖国や正義あるいは目的のための戦いに命を懸けて名乗り出る志願兵や義勇兵という意味があります。先ほど紹介した教育方針の「社会に奉仕する」は、社会のvolunteer・志願兵であれという意味です。広島工業大学では、学び方においても自ら名乗り出る志願兵的な学び方が期待されております。

新入生の皆さんは、今日からは「学生・student」と呼ばれます。studentはstudyと類語で、studyには「工夫する」という意味があります。辞書には、「目的を達成しようとする工夫、苦心、その目的物」と説明されています。

自ら名乗り出る志願兵的な学び方とは、"student的"な学びをすることです。すなわち、目的を定め、その達成のために工夫、苦心する学び方です。幸い本学には、"student的"な学びのためのしかけや施設がたくさん用意されております。教育学習支援センターでの学びも、「目的を達成しようとする工夫、苦心」で、"student的"な学びです。

広島工業大学ではどのような学び方をするか。「自ら目的を考え、自ら研鑽し、苦心し、そして自らその目的を達成する」、それが広島工業大学での学び方です。

むすび

ところで、皆さんは、この体育館の前にある「三宅の森 Nexus21」という建物を初めて使う学年になります。名称にある「三宅の森」は、1961年本学が創設された場所のことです。「Nexus」は絆、つながりという意味です。「21」は21世紀の21です。本学創設の志とその後築かれた広島工業大学の学風と伝統、そして教育を21世紀につなげていく場とする、という思いが込められております。

皆さんはいわばその第1期生です。これからの4年間(大学院生にとっては2年あるいは3年でしょうか)、その役割も果たして欲しいと願っております。

改めておめでとうと申し上げて、入学・進学のお祝いの言葉といたします。