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広島工業大学

機械情報工学科

日野 実

教員紹介

日野 実HINO Makoto

工学部 機械情報工学科 教授

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○材料科学
○表面工学
○レーザ応用技術
【担当科目】
材料力学A/B 、 工業材料 、 近未来加工システム 、 キャリアデザインB
【研究テーマ】
1.高機能性軽金属材料の開発
2.水素社会構築をめざした耐水素脆性表面処理技術の開発
3.マグネシウム及びアルミニウム合金への表面処理に関する研究
4.接着・接合性に優れた表面処理技術の開発
5.レーザ応用に関する研究
【ひとこと】

「若いときの苦労は買ってでもしろ」とよく言われますが、若いときに流さなかった汗は、年老いて涙となって流れてくると思います。夢を持ち、その夢の実現に向け、チャレンジ精神を持って一緒に頑張りましょう。

研究紹介

日野 実HINO Makoto

工学部 機械情報工学科 教授

素材に2つの機能を持たせる「マルチマテリアル」
技術がCO₂削減問題に貢献
PROLOGUE

地球温暖化の要因の一つである二酸化炭素(CO₂)の排出量を減らそうと、世界中で対策がとられています。とりわけ、移動時に多くのCO₂を排出する自動車や航空機など輸送機器はCO₂削減に取り組む上で、大きな課題です。CO₂を減らすには、自動車の場合、車体の軽量化が重要になります。軽量化すれば少ないエネルギーでも長距離を走れるので、省エネやCO₂低減につながります。いろんな角度から車体軽量化が取り組まれていますが、中でも注目を集めるのが、日野先生の研究する「マルチマテリアル」です。

「軽い」のに「丈夫」など、相反する特長を同時に持たせることができる

自動車業界では各メーカーが、燃費向上のため「車体軽量化」を進めてきました。自動車に限らず、例えばスマホやパソコンだって、機能が同じならより軽い方が持ち歩きやすいですよね。
軽量化のため合金化したり、金属にいろんな元素を入れるなどの工夫がなされていますが、単一素材では強度を上げるのにも限界があります。そこで、性質の異なる素材を組み合わせて使う「マルチマテリアル」の開発が盛んに行われています。
金属の強度は高いですが、重量が重く、腐食します。逆に樹脂はそれほど強くない代わりに、とても軽く、腐食しません。金属と樹脂を接合すれば、メリットを活かしあった「軽くて丈夫な素材」に生まれ変わるわけです。実際に欧州の自動車業界では既に、金属と樹脂を接着させた材料が実際の車に使われています。
しかし接着剤はばらつきがあるとうまくくっつかないなど、課題もあります。そこで私は別の接合方法を検討してきました。それが「陽極酸化処理」です。金属材料を溶液に浸し、金属に電極をつないで電流を流します。すると溶液中のイオンが金属表面に集まり、被膜を形成する。これが陽極酸化処理の流れです。

陽極酸化処理による、
アルミと樹脂の接合材料

2回の陽極酸化処理で強いアルミを実現。企業と連携し、特許も出願中

現在、主に取り上げている金属はアルミです。アルミは自動車でも新幹線でも使われる素材なので、陽極酸化処理で樹脂が接合できると、市場に大きな影響を与えるでしょう。
しかしアルミの場合、従来から行っている陽極酸化処理ではうまくいきません。そこで陽極酸化処理を2回行うということを思いつきました。1回目は硫酸アルマイト溶液を用いて耐食性を上げ、2回目はリン酸系溶液で接着性を高めるのです。すると狙い通り、耐食性も上がり、接着性も高い表面処理ができました。接合した樹脂を引き剥がそうとしても全く離れず、樹脂が壊れてしまうほどの強力さです。この手法は企業との共同研究で開発したもので、特許も出願しました。
これを応用すれば、陽極酸化処理を施したアルミを用意し、プラスチックと一緒に射出成型したら、アルミとプラがくっついた部品になる、といった生産方法も可能になります。工程をかなり削減できるため、大幅なコストダウンにつながるでしょう。主な対象は自動車業界ですが、新幹線・航空機など多方面に広がることを期待しています。

接合した素材は、
引っ張り試験機にかけて
接合強度を調べます

水素脆性に強く、環境に悪影響を及ぼさないめっき技術にも取り組む

別の表面処理技術である「めっき」にも注目しています。金属にさまざまな機能を付与できるめっきは、多様な分野で広く用いられています。ところが、めっきで生じる水素が金属に吸収されると、金属の靭性(粘り強さ)を低下させてもろくなる「水素脆性」という課題があります。
水素脆性は、素材の強度が増すほど危険性が高まってしまいます。そこで航空機など、高度な安全性が求められる業界で用いられる高強度鋼に金属を皮膜させる場合、水素脆性を起こしにくいチタン・カドミウム(Ti-Cd)めっきを適用します。しかしカドミウムは人体にも環境にも悪影響を与えるため、使わないに越したことはありません。
そこで、環境に優しい素材を用いた、Ti-Cdめっきの代替技術を研究しています。今、取り組んでいるのは、亜鉛・ニッケル(Zn-Ni)シリカハイブリッドめっきです。実験してみると、Ti-Cdめっきと同等の、水素脆性に対する高い耐性を持つことがわかりました。また耐食性においては、Ti-Cdめっきの数倍に及びます。亜鉛は資源量の枯渇が懸念される素材ですが、ニッケルとのハイブリッド使用で亜鉛量を減らせますし、省エネにも貢献できます。
素材の表面処理、マルチマテリアル化をさらに追究することで、CO₂低減を始めとするさまざまな課題の解決につながる成果を提供していきたいと思います。

めっき技術の研究。緑の色はニッケル