今川 朱美

いまがわ あけみ

今川 朱美 Akemi Imagawa

工学部 都市デザイン工学科 准教授
出身:京都府
a.imagawa.vf@it-hiroshima.ac.jp
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植民地の理想都市はなぜ廃れてしまったか

都市計画を考える場合、大切なのは、そこにどんな人たちが住み、どのようなくらしを営んでいるかを理解すること。美しい建物を建てても、街並みをきれいに整備しても、人びとの生活を軽視しては、ユートピアは生まれません。
都市は突然発生するのではありません。長い歴史の中で、人びとが集い創り出されたものです。そうした背景を無視して「これが理想都市だ」と押し付けても、良い結果にはならないのです。
アジア・アフリカ・南アメリカの大半が英・蘭・仏国の植民地であった頃、各地に作られた都市を調べてみると、理想的な都市を目指して建設されたにもかかわらず、長く繁栄しなかった都市が多くあります。やはり、その国、その地域の気候・風土や文化・風習に適した街づくりをしなかったことが、大きな原因でしょう。都市や地域の計画は、そこで暮らす住人たちが、快適で、安全で、便利だと感じるものでなければならない。廃れてしまった植民都市がそれを証明しています。

街並みを大切にするイギリスでは、住宅改装も一苦労

私は若い頃、彫刻家を目指していました。ところが病気にかかり、体力的にハードな彫刻の作業ができなくなりました。そこで同じ"ものづくり"でも、彫刻ほどきつい作業を強いられない建築物の設計に方向転換したのです。
ある設計事務所で、ポストモダンの建築物に関わった時のことです。私はその建物が大好きだったのですが、地域では異質のものとして捉えられていました。「地域と調和しない」と。そういう見方があるのか、と目を開かされた思いがしましたね。
それから私は、建築設計から都市計画へとテーマを変えました。イギリス(スコットランド)・グラスゴー大学への留学でも、アーバンデザインを専攻することにしたのです。イギリスという国は、「まちなみ」に強いこだわりを持っています。建物を改築する際も、街並みに影響するファサード(道路側の外壁)は大きく手を入れることができません。そのため表通りからは見えない側だけを改装する、ということも、イギリスではよく見かけます。
日本人は海外の優れたものを取り入れ、自国流にアレンジすることに長けています。それによって、農業や工業の分野では、大きな成果をあげました。ところが、都市計画に関しては、まだまだ未熟な点が目立ちます。表層的な部分だけを真似するケースがたくさんあり、とても残念です。

環境と共生し、優しさの根づく都市計画を

研究室の学生は、「城下町の都市構造」「」「川の法面緑化と環境影響評価」「里山の整備と地域活性化」などの研究テーマに取り組んでいます。
これからは、「環境共生型の都市計画」が一層求められていくでしょう。さらに、社会の老齢化が進む中、バリアフリーなど福祉にも力点を置いた都市計画が重要になります。
根本にはいずれも、人の営みがあります。学生たちには、都市計画の本質を学んで欲しいと思っています。高度な建築技術や空間デザインを誇示するのが街づくりではない。歴史や文化、そして人間を深く理解し、豊かな生活の息づく"まち"を創造する。それが都市計画なのだ、と。