ものづくりには、いくつかの段階があります。『素材を準備』し、素材を『加工して部品を造り』、部品を『組み立てて製品に』して、世の中に『流通』させる、という具合に。それぞれがバラバラだと、質の高い製品を効率的に生み出すことはできません。一連の流れをトータルでとらえ、より良いものづくりのあり方を考えるのが、私の専門である『生産システム工学』です。
しかし最近は、ここに挙げた範囲だけではうまくいかなくなってきました。製品は世の中に出ると消費され、やがて寿命を迎えます。その後をどうするか?すなわち、リサイクルの観点も組み込んでおかないといけません。
そして、ものづくりの出発点は製品の企画・設計です。出発点で最後まで見通していなければ、後の工程で取り返すのは難しくなります。高品質な製品を低価格かつ短い納期で、しかも環境負荷にも配慮して造り上げる...これらの多様な条件を克服するには、上流から下流まで全てに目を配った、ライフサイクル・エンジニアリングとでも言うべきものづくりの仕組みを構築する必要があります。私はそこに取り組んでいるのです。
ITの普及は、ものづくりを大きく進化させました。とりわけ、3D技術とシミュレーション技術の貢献度は大きい。
今や設計者は、3DCADと呼ばれる3次元空間での設計システムを使って設計する。図面など書きませんよ。そのデータが生産工程に送られ、データ通り加工し、組み立てる。試作も、3Dデータによって作ったヴァーチャルな製品を、シミュレーション上で動かし品質確認するのが主流。デジタルデータのやり取りでものづくりが進むのです。
各段階をデジタルでつなぐのですから、ミスがないし、作業も早い。余計なコストもかからない。昔は携帯電話の筐体を作るのに3週間以上かかっていましたが、今では24時間以内で可能となっています。これなど、3D技術・シミュレーション技術がいかにものづくりを革新したか、を示す好材料でしょう。
しかし、デジタルでのやり取りが可能になったということは、設計段階で配慮が足らないと、後の全工程にアッと言う間に波及してしまう、ということでもあります。だからこそ、全ての段階をトータルにとらえたライフサイクル・エンジニアリングの考え方が重要なのです。
学生には、より良いライフサイクル・エンジニアリングを実現するため、ものづくりの各段階がどうあるべきか、という観点で様々な研究に取り組んでもらっています。
3D技術を用いた設計手法をどう改善させれば良いか、というテーマに挑む学生もいますし、従来型ではない、状況適応性の高い生産管理のあり方を追究する学生もいます。素材や部品、製品をどうリサイクルし、ものづくりの流れに取り込むかを考える者もいますよ。最近は、設計段階に関する研究が増えていますね。設計の個別技法に焦点をあてた研究はたくさんありますが、設計のプロセス全体を視野においた研究は、あまりないのではないでしょうか。
『生産システム工学』とは、1976年に日本で生まれた研究分野。それだけ日本人は、もともとものづくりの仕組みを構築し、改善するのが得意だったんです。デジタル時代においてもその強みを発揮できるよう、学生の時からしっかり知識を深めておいてほしいですね。
ゼミ取材 こぼれ話
学生には、より良いライフサイクル・エンジニアリングを実現するため、ものづくりの各段階がどうあるべきか、という観点で様々な研究に取り組んでもらっています。
3D技術を用いた設計手法をどう改善させれば良いか、というテーマに挑む学生もいますし、従来型ではない、状況適応性の高い生産管理のあり方を追究する学生もいます。素材や部品、製品をどうリサイクルし、ものづくりの流れに取り込むかを考える者もいますよ。最近は、設計段階に関する研究が増えていますね。設計の個別技法に焦点をあてた研究はたくさんありますが、設計のプロセス全体を視野においた研究は、あまりないのではないでしょうか。
『生産システム工学』とは、1976年に日本で生まれた研究分野。それだけ日本人は、もともとものづくりの仕組みを構築し、改善するのが得意だったんです。デジタル時代においてもその強みを発揮できるよう、学生の時からしっかり知識を深めておいてほしいですね。