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情報コミュニケーション学科

松本 慎平

教員紹介

松本 慎平MATSUMOTO Shimpei

情報学部 情報コミュニケーション学科 教授

研究者情報

プロフィール

【専門分野】
○社会システム工学
○教育工学
【担当科目】
HIT基礎実践A/B/C/D 、 HIT応用実践A/B/C/D 、 メディア活用 、 アルゴリズム入門 、 アルゴリズム基礎1/2 、 プログラミング基礎1/2 、 アルゴリズム基礎 、 プログラミング基礎 、 専門ゼミナール 、 情報技術英語 、 情報システム応用演習 、 Webプログラミング 、 Webサービスシステム開発実践 、 IE・OR 、 自校教育論 、 知能システム特論
【研究テーマ】
1.ソーシャル技術の社会実装およびその社会システムとしての有用性評価に関する研究
2.数理学的知見に基づく生産流通環境の最適モデル構築に関する研究
3.プログラミング学習支援に関する研究
4.数理的手法を用いた学習効果測定に関する研究
5.オープン情報指向アプローチに基づく学習支援に関する研究
【ひとこと】

まだ夢や目標が見付かっていない人は、技術や知識の有無に関係なく、面白そうな事を見つけて、積極的に挑戦して下さい。本当の意味での技術や知識は、やりたいことを見つけることで、初めて身につくのではないかと思います。行動を起こした結果、興味や知識を共有できる仲間を見つけることができます。大学生の間に、沢山の仲間を作り、交流することで、多様な価値観を身につけて欲しいと思います。

研究紹介

松本 慎平MATSUMOTO Shimpei

情報学部 情報コミュニケーション学科 教授

学習の“結果”だけでなく“プロセス”を評価し、
正しい論理展開を習得させる支援システム。
PROLOGUE

勉強って難しいですよね。やってもやっても成績が上がらない時もあるし、そもそもどうやれば成績が上がるのか、方法がまるでわからないという場合もあるし。いろんな学習教材にチャレンジはしてみるものの、本当に自分の力になっているのか、実感がわかない…。
そんな学習者に対し、システムをうまく利用することで支援を行おう、と研究しているのが松本先生。「問題の正解にたどりつくには、正しい思考プロセスがあります。それを習得させたいのです」と意欲的です。

解答に至る筋道を理解させないと、本当に習熟したとは言えない。

何かの学習を行う場合、教材はいろいろあります。参考書や問題集、スマホアプリにWeb上のe-ラーニングなど、実に多彩です。私は大学で、学生にC言語によるプログラミングを教えていますが、この分野も教材は豊富です。
しかし多くの場合、教材は画一的で、正しい解答を求めることに主眼を置いています。自分で勉強を進めていけるレベルにある学習者は、それで十分でしょう。が、中には解答にたどりつくどころか、そもそも勉強をどう進めていいかわからない人もいます。こういう学習者に、解答を答えさせるだけの教材を与えても、成績アップは期待できません。なぜなら、解答に至る正しい筋道が理解できていないからです。
学習者がわけもわからず選択した答えが、たまたま正しかった、というケースもあります。この場合、指導者には結果しか見えず、論理展開が正しいかどうか、まではわかりません。結局、指導すべきタイミングを見落とすことになります。
学習者と指導者が抱えるこうした問題を解決するため、私は、教育工学を基にした学習支援システムを構築しました。

松本先生が構築した、
プログラミング学習向けの支援システム。
プログラミングを進める上で必要な構文が選択肢などで提示されます。

学習者のレベルに応じて、正しい論理展開をたどりながら解答。

私が担当するプログラミング学習を例にとります。プログラムには、良いアルゴリズムというものがあります。正しい論理展開によって書かれたプログラムは計算負荷が少なく、高速で処理を終えます。「どうプログラムを書いても、最終的に動けばいいじゃないか」ではないのです。
「正しい論理展開」を学ばせるため、私の学習支援システムでは始めからプログラム全体を書かせるのではなく、最初の部分だけを書かせます。学習者のレベルに応じ、選択肢問題や虫食い問題にするなど、問題の難易度も変えます。それが正しく行えたら、次の部分に進みます。
学生の問題の進め方については、システム内で全てログを取っています。ログを解析し、システムが「支援を要する」と判断したら、指導者に注意を喚起するのです。そこで指導者は学習者に適切なアドバイスを行い、正しい筋道に戻します。最後の部分までたどりつけば、正しい論理展開によるプログラムができあがっている、というわけです。言い換えれば、学習者の解答だけでなく、そこに至る思考プロセスを評価するシステム、と言えるでしょう。

教材設計やユーザーインターフェースの工夫が大事になる。

この学習支援システムでは、教材の設計が重要になります。論理展開を理解させるため、どこでどういう問いかけが必要か、誤った道に進まないよう学習者をどう制御するか、などユーザーインターフェースを工夫しなければなりません。解答だけに主眼を置いた種々の教材とは、そこが決定的に異なる点です。
実際、学生100人ほどに体験してもらったところ、従来であれば不合格の可能性が高かった学生の多くが、テストに合格しました。「楽しかった」「わかりやすかった」と、評価も好意的です。
無論、他の科目にも転用できます。正しい論理展開が求められる理系領域の大半に適用可能でしょう。研究を進めれば、LD(学習障害)で悩む人の支援もできるのでは…と期待しています。
将来は、教育分野以外への活用も考えられます。例えばe-コマースのマーケティングにも有効ではないでしょうか。商品を買ったか買わないか、という結果だけでなく、そこに至るプロセスの評価に主眼を置いたシステムなので、レコメンドの精度向上にも役立つかもしれません。
勉強の途上で悩む学習者、そしてさらに多くの人々をサポートするため、学習支援システムの研究をより深めていきたいと思います。

実際の講義に導入したところ、
学生の合格率は向上。
「わかりやすい」と評価も上々です。