松本 慎平

まつもと しんぺい

松本 慎平 Simpei Matsumoto

情報学部 知的情報システム学科 准教授
出身:京都府京都市(私立東山高等学校)
s.matsumoto.gk@it-hiroshima.ac.jp

勉強の進め方から体力トレーニングまで。あらゆる問題を『組み合わせ最適化』が解決!

「語学を身につけたい!」と思った時。単語もやらなきゃいけないし文法もあるし、ヒアリングやスピーキングも...どれから手をつけようか、と悩むことはありませんか? 「体を鍛えたい」と思い立っても、ジョギングもあれば腹筋もあるし。世の中にたくさんある、こうした「何をどれだけ、どういう順番で行えば最も効果的か?」という問題を、『組み合わせ最適化』と『アルゴリズム』によって解決したい。松本先生はそう考えて、研究を続けています。

自分の体型と目的に合った「自転車運動」を、システムが教えてくれる

スポーツクラブなどで自転車をこぐ運動に挑戦する人は大勢います。でも、体型は人によって異なるのに、他の人と同じやり方で、効果的な運動ができるでしょうか。そこで、その人の体型に合った、より効率的にエネルギー燃焼できる自転車運動のやり方を判断するシステムが作れないか、と考えました。
まず目をつけたのはサドル位置です。サドル位置をいろいろ変え、被験者に自転車運動を行ってもらう。この時、筋肉がどれほど動いたかを測るのです。どの位置が被験者の筋肉をどう動かすか、どういう傾向があるか分析すれば、被験者にとって最も運動効果の望めるサドル位置がわかります。多くの人のデータを収集・分析すると、どんな人に対しても「最も良いサドル位置」を自動判別するシステムが完成するはずです。
サドル位置だけではありません。ハンドル位置やペダルの負荷など、他の要素のデータも収集すると、システムの有用性はいっそう向上するでしょう。
「何をどのように、どういう組み合わせ・順番で行えば、最も効果的か?」という『組み合わせ最適化』の問題は、日常の至る所にあるんです。

自分の学習の習熟度と、どんな学習法が効果的か?までわかる

今後力を入れていきたいのが、Webベースの学習支援システムです。これは、実際の授業にも活かそうと考えています。
大学の授業はたいてい半年、10~15回程度を一区切りに行われます。そこで、基礎力・応用力などいくつかの項目に分け、各回の授業を受けたことでそれぞれの項目がどこまで伸びるかを学生に明示するのです。そしてe-ラーニングを活用し、学生が自己の習熟度をチェック。学生のその時点での学力や不足している部分が、自分で理解できるようになります。
さらに、不足部分を補うため学習内容や方法までアドバイスする、というレコメンドまでできれば、学習をより効率的に行えるでしょう。こうした、授業の進度に合わせた習熟度チェックと学習法アドバイスまでを一連で行うシステムを今、考案しているところです。
また、ゼミ内でSNSを構築し、学生が自分の行った学習や研究について蓄積していき、学生同士で検索・閲覧できるシステムを造ろうと思っています。先輩がどんな問題でつまづき、学習をどう進めていったか見られるようにしておけば、後輩はそれらを参考に自分の学習をもっと先に進められるでしょう。

『組み合わせ最適化』で解決できる問題が、世の中にはたくさんある

3年前には、学生食堂への導入を想定したメニューオーダーシステムに取り組みました。簡単に言うと、写真を見てタッチパネルでメニューが選べるシステムのこと。今や回転寿司店などで取り入れられており、珍しいものではなくなりましたが。
ただ私のシステムや、タブレットPCや携帯端末を使ってのオーダーも可能。またこれらの情報端末を使うと、メニューを選んだ時、成分表示されるんです。大学には海外からの留学生もたくさんいます。彼らは宗教上の戒律などで、ある種の食材を禁じられている場合があります。日本語がまだうまく使えない留学生も、写真と成分表示を確認すれば、安心してメニューがオーダーできる点は特徴的と言えるでしょう。
このシステムをうまく活用すれば、食材の廃棄を減らすこともできます。また成分表示に加え、食材の生育環境や、環境に与えた負荷の大きさといった情報も搭載できます。そうした面から、環境問題の解決に寄与できれば...と考えたシステムなんです。
他にも『組合せ最適化』と『アルゴリズム』によって解決できる問題は、たくさんあります。学生たちと一緒に、世の中に貢献できるシステムを提示していきたいですね。

ゼミ取材 こぼれ話
博士課程の頃には、企業の生産計画をテーマに掲げていた、という松本先生。企業は様々な素材を使って製品を造り出します。どういう工程をどういう順番でこなせば、効率的かつ低コストで製品を造るか...は、まさに『組合せ最適化』の発想が適用できる問題。「それだけじゃ面白くありません。私はシステムに“熟練者の経験とカン”まで取り入れ、柔軟に運用できるものにしたいと考えました。熟練者の知識を明示化・数値化し、それを基にアルゴリズムを組むんです」。このシステムの研究も継続中。先生のゼミでは、日常の身近な問題から産業の発展に関わることまで、多彩なテーマに触れられます。

  • 松本先生が使用しているパソコンモニター(縦に連結されている)