全力で取り組むからこそ見えてくる新たな目標― HITフォーミュラ&JCDセンター活動報告会

2018年03月23日

広島工業大学の機械系学科の学生が中心となり、自動車製作とフォーミュラ大会の上位入賞を目指す「HITフォーミュラ」プロジェクトと、女子学生のキャリア形成や就職支援のための組織「女子学生キャリアデザインセンター(JCDセンター)」が、2017年度の活動報告を行いました。

報告会の会場には学長、教職員のほか、たくさんの学生の姿も見られました

報告会の会場には学長、教職員のほか、たくさんの学生の姿も見られました

製作コンセプト一新!3年計画でゴールを目指す「HITフォーミュラ」プロジェクト

HITフォーミュラは、学生の手で企画・設計・制作を行ったフォーミュラスタイルの小型レーシングカーの性能を3部門の静的審査と5部門の動的審査で競う「全日本学生フォーミュラ大会」に挑戦している団体です。設計図面の完成度が低く、製作段階で度重なる調整を余儀なくされたこれまでの苦い経験をもとに、今年度から車両製作の構想を一新。3年計画で「全日本総合優勝を狙える」車両作りが始まりました。メンバーも代変わりし、1・2年が中心となったチームは「精度の高い図面作り」に着手しました。

学びを深めながらも、ものづくりの厳しさに直面
知識や経験の少ないメンバーは、設計能力や質の向上を図るため、設計ツール「Solid Works」の技術習得や学生フォーミュラの車検講習会、自動車メーカーの溶接講習会などに積極的に参加。自動車技術会関西支部の学生フォーミュラ委員会を通じた情報収集にも努めました。しかし彼らの努力をもってしても経験不足は否めず、完成したと思った図面でも、製作時にはさまざまな不具合が見つかりました。実際に製作することで、ものづくりの難しさに直面したのです。結果、大会までに車両を完成させることができず、実際に車両を走行させる動的審査へのエントリーを断念せざるを得ませんでした。

「来年こそはリベンジを」大会参加で見えた課題
車両は未完成のため、アクセラレーション、スキットパッド、燃費などを競う動的審査へのエントリーを断念せざるを得ませんでしたが、メンバーは自分たちに足りなかったものを学ぶために大会に参加。他大学の車検を見学したり、コースウォークで動画を撮影したり、企業のエンジニアと交流したりと、積極的に情報を集めました。また、デザイン、コスト、プレゼンテーションを競う静的審査にはエントリーし、プレゼンテーション部門での評価は前年の-75点から30点に大幅改善。審査員からのフィードバックには全員が参加し、来年の大会への足がかりを築きました。1年を通じてものづくりの厳しさを実感すると同時に、課題が明確になった「HITフォーミュラ」プロジェクト。次年度の目標「全種目完走」へ向けての道のりは、すでに始まっています。

今年度の活動について、堂々たる報告を行うリーダーの広井さん

今年度の活動について、堂々たる報告を行うリーダーの広井さん

大会に参加したHITフォーミュラのメンバー。総合順位は88位でした

大会に参加したHITフォーミュラのメンバー。総合順位は88位でした

チームワークの源はコミュニケーション
プロジェクトリーダーの広井笙太さん(知能機械工学科2年)は「チームとしての一体感を形成できるよう、モチベーションアップに努めます。これまで欠けていたメンバー間のコミュニケーションも重視したい」と語りました。今後の取り組みが後輩に引き継ぎできるよう、ノウハウの蓄積にも余念がありません。

「限られた時間の中でもメンバーの力を結集させるため、次年度はスケジュール管理も徹底します」

「限られた時間の中でもメンバーの力を結集させるため、次年度はスケジュール管理も徹底します」と広井さん。HITフォーミュラの挑戦は続きます

工夫、提案、常に新たなチャレンジを続けるJCDセンターのプロジェクト

JCDセンターは2017年度に行った13のプロジェクトを報告書にまとめました。報告会では、代表して、プログラミング教室、出張理科実験教室、こだわりルームプロジェクトの3つのプロジェクトについて発表。それぞれの報告を紹介します。

子どもの自主性を引き出す一工夫で、反響続々の「プログラミング教室」
プログラミング教室は、今年度計5回の教室を開催。活動は2年目を迎え、前年を上回る参加動員数として、100名を目標に活動をしてきました。プログラミング教室では、文部科学省提供の「プログラミン」を使用し、学生が子どもたちに基本的な操作やプログラムの仕組みを教えた後、自由な発想でプログラムを作ってもらう「自由課題」の時間を設けています。しかし、どのようなプログラムを作成すればいいかわからない子どももいたため、新たに「課題カード」を考案。「自由課題」作成時に提示することで、スムーズな自由課題への導入を図りました。参加者へのアンケート調査では、参加後の満足度として「とても楽しかった」「楽しかった」の合計で100%に達し、満足度の高い授業内容であることがわかりました。新聞の取材を受けたり、小学校の教員が見学に訪れるなど、地域からも注目されるプロジェクトになってきたと手応えを感じています。

子どもたちが作ったプログラムを披露する、リーダーの讃井裕美さん(知的情報システム学科2年)

子どもたちが作ったプログラムを披露する、リーダーの讃井裕美さん(知的情報システム学科2年)

プログラミング教室当日の様子。子どもたちのペースに合わせて丁寧に指導しました

プログラミング教室当日の様子。子どもたちのペースに合わせて丁寧に指導しました

視察&新実験の考案 常に研究を怠らない「出張理科実験教室」
出張理科実験教室は、子どもたちに理科や科学の面白さを伝える体験講座。2008年から小中学校からの依頼を受けて行っています。今年度は、ステンレス電解研磨資材メーカーの(株)ケミカル山本が小学生を対象に行う実験教室「わくわくケミカルクラブ」を見学。実験中の子どもの見守りや、配付物、用具の準備などで学ぶことが多かったそうです。そして、見学で得たことを生かし、今年度は5回の教室を開催。そのうち1回は、初めて本学に小学生を招いて、ペットボトルロケットの発射実験を行いました。さらに、夏休みを利用して、新しい実験の開発にも取り組みました。

「新実験の"持てる水"は子どもたちに好評でした」と報告する中村日向子さん(地球環境学科2年)

「新実験の"持てる水"は子どもたちに好評でした」と報告する中村日向子さん(地球環境学科2年)

ペットボトルロケットの発射実験は大盛況でした

ペットボトルロケットの発射実験は大盛況でした

産学連携の新企画 女子大生の感性を生かす「こだわりルームプロジェクト」
建築系の学生が不動産会社と共同でリフォームを手掛ける、こだわりルームプロジェクト。1年生は(株)レオパレス21と、2年生は島根不動産(株)とプロジェクトを進めました。レオパレスの物件では提示されたコンセプトは「インスタ映えする部屋」。建築工学科の学生が壁面のリフォームを、建築デザイン学科の学生が小物作りを担当しました。壁に小物が置ける棚を据え付けたり、室内の随所にマスキングテープやタイルで装飾した小物を配置したりと、部屋の内装はまさに「インスタ映え」。実際にインスタグラムにも投稿しました。

島根不動産(株)の協力を得て活動した2年生は、改装中のマンションを見学した後、各自がリフォームコンセプトを発表。施工部屋が決定した後は、プレゼンテーションを重ね、決定した案が施工可能かどうかなどの入念な打ち合わせを行いました。初めてのCAD操作も体験し、リフォーム図面を製作。コンクリート壁のため変更の自由度が低い中、洋間の半分を畳にして和と洋を楽しめる部屋に変え、ユニット式のバストイレは、トイレとシャワールームに分割するというアイデアを具現化しました。計画から施工まですべての工程を経験し、現場を通してしか得られない「生きた学び」を手にすることができました。

リフォーム物件を撮影しインスタグラムに投稿した画像を紹介する松川智美さん(建築工学科1年)

リフォーム物件を撮影しインスタグラムに投稿した画像を紹介する松川智美さん(建築工学科1年)

実際に完成した部屋。細部にまで学生たちのこだわりが見られます

実際に完成した部屋。細部にまで学生たちのこだわりが見られます

学生発案の「和テイスト」のプラン誕生までの経緯について説明する黒子葉月さん(建築工学科2年)

学生発案の「和テイスト」のプラン誕生までの経緯について説明する黒子葉月さん(建築工学科2年)

普段の授業ではなかなか経験できない、クロス貼りにも挑戦しました

普段の授業ではなかなか経験できない、クロス貼りにも挑戦しました

メンバー拡大で活動しやすい環境に
2017年度のJCD幹事長を務めた林成美さん(食品生命科学科3年)は、慢性的な人員不足を解消するため、新入生向けのウェルカムセミナーに全リーダーの参加を要請。組織の拡大に力を入れました。どんな活動でも最高のパフォーマンスを発揮できるよう、全力で楽しむことを心掛けた林さん。「一番の収穫は、後輩たちの成長を間近に見ることができたこと」と、この1年を振り返りました。
次年度のJCD幹事長は讃井裕美さん(知的情報システム学科2年)。プログラミング教室のプロジェクトリーダーとして、この1年はメンバー間のコミュニケーション向上に励んできました。次年度はJCDのさらなる活性化を目指して、リーダーやサブリーダー以外のメンバーも役割を持って参加できるよう工夫していきたいと抱負を語りました。

「人前に出ることも、発表することも苦手でしたが、克服するならこの機会しかないと思って、この1年を頑張りました」と林さん

「人前に出ることも、発表することも苦手でしたが、克服するならこの機会しかないと思って、この1年を頑張りました」と林さん

「私も人前でしゃべることが苦手ですが、尊敬する林さんの姿に憧れ、幹事長という大役に挑戦することにしました」と讃井さん

「私も人前でしゃべることが苦手ですが、尊敬する林さんの姿に憧れ、幹事長という大役に挑戦することにしました」と讃井さん

学長総評「目の前の課題に全力で取り組んでほしい」
1、2年生でこれほどの報告ができれば申し分ありません。さまざまな経験やチャレンジの中から多くのことを学んでもらいたい。もう25年も前の話ですが、当時の工大附属中学校(現・広島なぎさ中学校)の生徒が河口を遡上したボラを見て「ボラが淡水で生きられるなら、メダカが海水で生きられるのでは」と関心を持ち、実験しました。結果、ある塩分濃度においてはメダカの成長が早く、しかも大きくなると分かったのです。ヒントは身の回りにたくさんあります。今ある課題をどうやったら解決できるか、全力で取り組んで次年度の活動に生かしてください。

「この1年の経験は、必ず将来に生きてきます」と学生を鼓舞しました

「この1年の経験は、必ず将来に生きてきます」と学生を鼓舞しました

それぞれの課題を胸に、新しい年度に向かう学生たち。今春にはフレッシュな新入生の力もプラスされて、活動はますます加速していくことでしょう。広島工業大学は、さまざまな学生主導のプロジェクトを応援しています。

JCDセンター