広島工業大学

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2021年度卒業証書・学位記授与式式辞

暖かい春の日差しに呼応してそこここで膨らみ始めた草木の芽も、人生の節目を迎え、新しい挑戦に向かう皆さんを祝福しているようです。本日、ここ広島工業大学に集われた大学院修了生及び学部卒業生の皆さん、修了そして卒業、誠におめでとうございます。本学教職員を代表し、心よりお喜びを申し上げます。

保護者の皆様、本日は令和3年度卒業証書・学位記授与式にご臨席を賜り、誠にありがとうございます。ご子女のご卒業を心よりお喜び申し上げますとともに、これまで、本学の教育・研究に深いご理解とご支援を賜りましたことに心から感謝を申し上げます。

修了そして卒業する皆さん、この2年間は新型コロナウイルス感染症の影響による制約のある環境の中、勉学や研究が思いどおりに進まず、不便を感じることも多かったと思います。大学では、建学の精神『教育は愛なり』、教育方針『常に神と共に歩み社会に奉仕する』の2つの教育理念のもと、皆さんが倫理観ある技術系人材として社会で活躍できるように、教育、そして、支援を行ってきました。皆さんがこれからの予測困難な社会の中で自信を持って歩んでいくことができるように、専門的な知識や技術である「専門力」はもちろんのこと、社会で自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力である「人間力」も身に付けてもらおうと、新型コロナウイルス感染症の影響下にあっても、さまざまな取り組みを進めてきました。

皆さんのこれまでの努力が実を結び大学生活を終える今、皆さんは、この専門力と人間力を身に付けて、社会に巣立っていきます。大学で得た知識や仲間と共に体験したさまざまな経験を活かし、これから大いに力を奮い活躍されることを期待しています。

皆さんにとって大学生活の最後を締めくくるこの一年も、振り返ってみると、新型コロナウイルス感染症への対応に追われる日々だったのではないかと思います。しかし、未知のウイルス感染症が急拡大した初めの頃とは異なり、世界中の人々が知恵を出し合い、このウイルスと共存する新しい日常を試行錯誤しながら創り出してきました。そして、それまでとは異なる形ではありますが、さまざまな活動を再開させてきました。

このような新しい日常を創り出すには、前例にならい、これまでを踏襲するという考え方から一歩離れ、新しい発想でものごとを考える柔軟な思考力が必要です。

例えば、多くの皆さんが経験した就職活動はその良い例でしょう。それまでの就職活動と言えば、学生が希望する企業を実際に訪問し、採用試験に臨むという方法が一般的でした。当時は当たり前にその方法しかないと思われていましたが、感染症対策により実際に対面で会うことができない中、採用活動を進めなければならないという状況になり、企業はオンラインでの採用試験に踏み切りました。これによって、全国どこからでも同じ条件で平等に試験を受けられるという新しく、大きなメリットを得ることができました。

これは、これまでの経験を参考にしながらも、普段とは違う側面からものごとをよく観察し、柔軟に思考した結果、既成概念を打ち破り、新しい形が出来上がった良い例です。

実は、皆さんも、これと同様なことを大学で経験しているのです。新型コロナ禍という前例のない環境の下、大学生活においても今までどおりが通用せず、自分で考え工夫して行動しなければならないことが何度もあったのではないでしょうか。そんな貴重な経験を積んで大学生活を送ってきた自分を信じて、新しい社会を創り上げる一人になってほしいです。

現在、感染症による経済への打撃が大きいことの影響かもしれませんが、数年前に比べると世界中が疑心暗鬼のうずに飲み込まれ、不安定になってきていると感じます。その結果、一人ひとりの幸せな暮らしはもとより、世界の平和をも脅かされる難しい状況になっています。皆さんには、これからの社会を力強く生き抜くために、個を大切にすると同時に、その個の集まりである全体、すなわち、世界を常に意識して行動する人間になってほしいです。

日本では世界を意識したグローバル人材が必要だと言われて久しいですが、真のグローバル人材とは単に語学が堪能な人材ではありません。異文化を理解し、その文化を基盤としている人たちの視点も考え併せて、ものごとを大きな視点で捉えられる人材を指します。皆さんにはこのような真のグローバル人材になってほしいと願っています。そのためには、意識的に異文化に触れ、異文化交流を積極的にすることをお薦めします。さらに、常に相手を意識した思考、すなわち、異なる側面からの視点も取り入れ、大所高所からものごとを思考することを心がけることです。グローバルな考えを持ち、世界中の人々が幸せな暮らしを送ることができる社会をめざしていきましょう。

これから、皆さんの進む道はそれぞれ異なりますが、これまで大学で同じ時を過ごした仲間とのつながりを大切にしてください。その仲間とはこれからもお互い自由闊達に意見し合える一生の友となるはずです。また、私たち、大学の教職員とのつながりもあります。さらに、今日からは、皆さんも50,000名を超える本学同窓生の仲間入りをします。既に社会に出てさまざまな分野で経験を積んでおられる先輩方とのつながりも、きっと皆さんの力になることでしょう。

皆さんが、これからも柔軟な思考力と人とのつながりを大切にして、本学での経験を十分に活かし、また、広島工業大学で学んだことに自信と誇りをもって、地域、日本、さらには、世界で活躍されることを期待して、修了そして卒業に際しての私の挨拶といたします。

令和4年3月19日
広島工業大学 学長  長坂 康史